射出圧力結果

射出圧力の結果は充填解析で生成され、充填過程で速度/圧力切り替えが起きる前に得られる最大射出圧力値を示します。

充填開始時には、金型内のどの部分でも圧力はゼロ(絶対圧力で 1 気圧)です。特定の位置の圧力は、メルト フロント(溶融先端)がその位置に到達した後から上昇し始めます。流動先端の通過後、指定の位置と流動先端間の流動長が長くなるため、圧力の上昇は続きます。

2 つの位置間の圧力差が、充填中に溶融樹脂を押し流す力となります。圧力勾配は、2 つの位置間の圧力差をその距離で割った値です。

水が高い所から低い所へ流れるように、樹脂は常に負の圧力勾配の方向に、高圧部分から低圧部分へ移動します。このため、下図に示すように、樹脂は樹脂射出位置で発生する最大圧力から充填過程のメルト フロントで発生する最小圧力へと流動します。



圧力または圧力勾配の大きさは、金型内部の樹脂抵抗によって異なります。これは、高粘度の樹脂をキャビティに充填するには、より高い圧力が必要となるためです。薄肉部分や小さいランナーなど、金型内部での流動が制限される領域や、流動長が長い領域でも、より大きい圧力勾配になり、高い充填圧力が必要です。

この結果の使用法

充填過程では、狭いコンター幅で示される圧力分布の大きな変化は、防止する必要があります。充填完了時のフロー パスの末端は圧力がゼロになる。

保圧過程の圧力の変化は、成形品各部の体積収縮に影響します。

充填完了時の圧力結果を圧力降下結果と組み合わせて、実際の射出圧力が過度に高い領域を特定します。

注: 射出成形機の射出用シリンダラムに加える一般的な最大油圧は約 20 MPa です。樹脂が射出されてノズルに送り込まれると、ノズルの領域の方が流路が狭いので、8~15 倍の範囲で樹脂の圧力が上昇します。そのため、ノズルでの圧力は通常、160 ~300 MPa の範囲となります。射出成形機の加熱筒 (バレル) のノズル部で発生し得る最大射出圧力のおおよその平均は、200MPaです。

確認事項

射出圧力が原因で発生するアンダーフィルまたは過充填の問題は、次のような方法で解決できます。
  • 射出位置を変更するか、または射出位置を追加して、問題領域を充填する。ゲート位置の数は、成形品形状、材料、および成形条件によって異なる。
  • バランスの良い充填パターンと均一な圧力分布が実現できる位置にゲートを配置する。
  • 充填が速く過充填となる領域や、ためらいを発生させる薄肉領域の近くにゲートを配置しない。
  • 成形品形状の変更
  • 射出圧力を低減するためにゲート位置を変更できない場合は、成形品の形状を再設計して肉厚を増加する。複雑な薄肉形状は、充填が困難になり、高い射出圧力が必要になる場合がある。
  • 低粘度材料を選択して、金型の充填に必要な圧力を低減する。
  • 樹脂温度を上げて、粘度を低減する。これにより、金型の充填に必要な射出圧力も低減する。
次のような問題がある領域も確認します。
  • ためらい
  • 高い射出圧力に起因する過充填
  • 収縮