スキン層配向結果

スキン層配向結果は、充填完了時の局部領域での分子の平均的な主要整列方向を表示する、成形品の表層での分子配向の指標です。

充填時に、最初に金型に接触した樹脂は瞬時に固化するため、速度ベクトルの結果はスキン層での最も確実な分子配向の指標となります。

これらのベクトルの大きさは 1 つに正規化され、その値に与えられた表示倍率を掛けた値が表示されます。スキン層配向は、流動先端が特定の位置に、最初に到達したときの速度方向で決定します。

この結果の使用法

スキン層配向結果は、成形品の機械的特性を評価するときに役立ちます。たとえば、通常、スキン層の分子配向方向での衝撃強度は、非常に強くなります。繊維充填樹脂の使用時には、引張強度もスキン層の配向方向で強くなります。これは、表面の繊維がその方向に整列するためです。スキン層配向は、一般的に、強い強度が得られる方向を表します。衝撃または力に対する強い耐性が必要とされるプラスチック成形品では、スキン層配向が衝撃または力が加わる方向と同じになるようにゲート位置を設計します。

成形品の線形収縮も、スキン層配向に依存します。繊維等非充填樹脂の場合、スキン層配向の収縮(流動方向の収縮)は、分子配向によりコア層の収縮(流動垂直方向の収縮)より大きくなります。繊維充填樹脂の使用時には、スキン層配向方向における繊維の剛性と低い収縮によって、この状況が逆になることがあります。

スキン層配向結果と充填時間結果を比較することで、成形品内のアンバランス流動を確認します。

適切な分子配向は、ヒンジの機械的品質を確保する上で重要です。次の左図で示すように、均一な分子配向となるような射出位置を設定する必要があります。右図は、成形品の品質を低下させる不均一な分子配向を示しています。



確認事項

スキン層配向結果の参照時には、次の点について確認します。
  • アンバランス流動
  • 不均一な配向
注: Autodesk Simulation Moldflow Insight繊維配向解析を実行することで、より高精度な繊維配向予測を得ることができます。