充填+保圧解析のラミネート

ここでは、層流が成形品肉厚の方向にどのように分割されるかを説明し、解析で層流を使用する方法を紹介します。

[肉厚方向のラミネート数]は成形品の肉厚方向に存在するレイヤーの数を定義するもので、プロセス設定ウィザードのソルバーのアドバンス オプションで指定できます。指定できる値は、8、10、12、14、16、18、および 20 です。

下図は成形品の選択した位置における、キャビティの肉厚方向 (Y) の温度 (X) を示します。肉厚方向のラミネート数が増加すると、カーブ上に示される結果数も増加します。

温度: XY プロット(肉厚方向に 8 ラミネートある成形品)

温度: XY プロット(肉厚方向に 20 ラミネートある成形品)

注: 繊維充填解析および応力解析では、成形品肉厚方向のラミネート数は「20」に設定され変更できません。

三角形要素では、0.0 は肉厚の中央平面、1.0 は金型表側壁面の位置、-1.0 は金型裏側壁面の位置をそれぞれ表します。表側とは要素の法線に対して正の方向で、要素の接続と右手の法則で定義されます。

ローカルの x 座標はノード 1 からノード 2 に向かう方向に存在します。Y 座標はノード 1、2、3 によって定義される平面上にあり、X 座標に対して垂直であるノード 3 方向を指しています。Z 座標 (要素の法線) は、ローカルの X 座標および Y 座標の外積で定義されます。



軸対称の 1 次元要素では、指定したレイヤー数の半分の数のレイヤーが解析で使用されます。この場合、次に示すように 0.0 は 1 次元要素の中心線の位置、1.0 は金型壁面の位置をそれぞれ示します。1 次元要素のローカル X 座標はノード 1 とノード 2 で定義される線に沿って存在し、その方向はノード 1 からノード 2 に向かう方向です。



肉厚方向の温度境界条件に応じて、解析で実際に使用されるレイヤー数は、指定した値、または肉厚方向のレイヤー数として指定した値の 1/2 のいずれかになります。解析では、内部で定義された不均一な層の厚さが使用されます。

温度、速度、せん断速度、粘度などの変数は、各レイヤーのグリッド点に保存されます。解析に使用するレイヤー数が多いほど、高精度の数値結果が得られます。一方で、レイヤー数が多くなると、解析の完了に要する CPU 時間が大幅に増加します。また、レイヤー数の増加に伴い、計算結果の保存に必要なディスク容量も増加します。

グリッド点の正規化座標を次の表に示します。ゼロは肉厚中央の位置を示し、1 は金型壁面の位置を示します。

肉厚方向のラミネート数
8 10 12 14 16 18 20
            1.000
          1.000 0.938
        1.000 0.926 0.864
      1.000 0.914 0.840 0.779
    1.000 0.900 0.816 0.743 0.685
  1.000 0.880 0.784 0.706 0.636 0.583
1.000 0.856 0.738 0.653 0.585 0.520 0.474
0.816 0.681 0.577 0.508 0.453 0.397 0.360
0.586 0.477 0.399 0.350 0.310 0.268 0.243
0.313 0.248 0.206 0.180 0.158 0.135 0.123
0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000 0.000
0.313 0.248 0.206 0.180 0.158 0.135 0.123
0.586 0.477 0.399 0.350 0.310 0.268 0.243
0.816 0.681 0.577 0.508 0.453 0.397 0.360
1.000 0.856 0.738 0.653 0.585 0.520 0.474
  1.000 0.880 0.784 0.706 0.636 0.583
    1.000 0.900 0.816 0.743 0.685
      1.000 0.914 0.840 0.779
        1.000 0.926 0.864
          1.000 0.938
            1.000