圧縮プレス

圧縮タイプの成形プロセスでは、プレスによってキャビティの厚さが減少して、キャビティの未充填部分に樹脂が送り込まれます。圧縮方向は、Z 軸の正の方向に設定されています。

成形プロセスでは、モデル中に圧縮される要素と圧縮されない要素が存在します。モデル要素のうち、圧縮されるサーフェス要素は[圧縮表面]プロパティで識別します。

次のセクションでは、これらのシミュレーション プロセスで使用される用語について説明します。

プレス オープン距離

プレス オープン距離とは、充填材を未圧縮の状態から最終的な成形状態に変形するために必要なプレスの移動距離です。
射出圧縮成形
プレスオープン距離 とは、射出開始時のプレスの初期位置から、金型の固定部分と可動側部分との間の空隙間隔が最終的な成形品の肉厚と同じ数値になる時点のプレスの位置までの距離です。通常、この範囲は 0 から成形品の最大厚さの 3 倍までであり、プレス圧縮過程でプレスがプレス オープン距離全体を移動できることが理想的です。解析ログを参照して、圧縮過程の終了時にプレスが完全に閉じていることを確認します。
圧縮成形
プレス オープン距離は充填形状によって異なり、その厚さを反映します。

[純粋な圧縮プレス オープン距離] [自動] 設定では、プレス オープン距離(D)を次のように定義します。

D = (P2 - P1)

ここで、
  • P1: 成形品の上部(可動)部分の位置
  • P2:充填材が開始位置に移動したの初期充填の上部(金型)部分の位置
注: 開始位置への充填の移動は自動的に行われます。
圧縮方向が既定(Z)方向である、複雑な形状の場合、
  • P1: 充填メッシュの XY 平面内にある成形品メッシュの圧縮側の最小 Z 値。
  • P2: 成形品の XY 平面内にある成形品メッシュの最大 Z 値であり、充填が開始位置に移動した後に測定されます。
指定の プレス オープン距離が
  • 自動計算で得られた値よりも大きい値に設定されている場合、プレスが初期充填に接触するまで流動計算は開始されません。この位置に到達するまでに要する時間は流動シミュレーションに含まれません。初期タイムステップと圧縮変位の結果のみが、この追加動作を反映するように変更されます。
  • 自動計算で得られた値よりも小さい値に設定されている場合、自動計算を反映するようにプレス オープン距離が変更されます。この場合、警告が出力されます。

プレス待機時間またはプレス圧縮開始

このオプションは、射出圧縮成形にのみ適用されます。

Midplane モデル
用語プレス待機時間は、Midplane の射出圧縮成形のみのオプションです。このオプションを使用すると、圧縮を射出過程の完了後に開始するように、圧縮開始時点を遅延させることができます。
3D モデル
3D 射出圧縮解析では、用語プレス圧縮開始 を代わりに使用します。この既定値は、 保圧終了時点 、つまり射出保圧プロファイルが完了する時点に設定されています。射出保圧プロファイルは、プレス圧縮開始に設定したオプションとは無関係に、速度/圧力切り替え時に開始されます。保圧プロファイルが完了すると、射出が終了し、周囲の壁などのノードに HTC 条件が適用されます。射出ノードには境界条件が適用されないため、射出ノードの圧力は、成形品の他の部分と同様に低下します。

プレス圧縮時間

キャビティに、事前に設定した量の溶融樹脂が送り込まれた後、その樹脂が圧縮されます。圧縮過程は、次の 2 つの工程で構成されます。
  • 最初は、圧縮プレスは速度制御で移動する。
  • 次の工程では、圧縮プレスは力で制御されて移動します。

この 2 つの工程完了に要する時間が プレス圧縮時間 です。この時間に達すると、プレスが停止して静止した状態になります。また、指定のプレス速度や力のプロファイルが完了していない場合でも冷却時間が開始されます。このため、十分に長い時間を指定することが重要です。

プレス圧縮力

圧縮力とは、溶融樹脂を圧縮するプレスを移動するために必要な圧力です。この圧力は、金型を破損せずに溶融樹脂を十分に圧縮する値にする必要があります。解析では、圧縮過程はまず速度制御され、指定のプレス圧縮力に到達した時点で圧力制御に切り替えられます。
注: プレス圧縮力を、最大型締力より大きくすることはできません。

プレス圧縮速度

圧縮プレスは、段階的に距離を移動します。各段階で、圧縮プレスは一定速度で移動しますが、各段階の速度は異なる値にすることができます。プレス圧縮速度をプログラミングするときには、プレスがプレス オープン距離の移動が完了していなくとも、プレス圧縮時間に達した時点でプレスが停止することに留意してください。このため、入力するプレス圧縮時間内に、プレス オープン距離を移動できるように十分に大きいプレス圧縮速度を指定することが重要です。