固化層比率結果は、固化層の厚みを成形品の肉厚に対する比率として示します。
この結果の値の範囲は 0~1 です。高い数値は、固化層が厚いこと、および流動抵抗が高いことを意味し、したがって溶融層(流動層)が薄いことを表します。樹脂は、転移温度(Ttrans)よりも低い温度になると固化したと見なされます。
固化層は、充填時に流動が継続する領域では一定の肉厚を維持します。これは金型壁面への熱損失が、上流からの溶融樹脂熱の供給と釣り合うためです。流動が停止すると、肉厚方向の熱損失が優位になり、固化層の厚さが急速に増加します。
固化層の厚さは流動抵抗に大きな影響を与えます。温度の低下とともに、粘度が飛躍的に高くなります。固化層の厚さが増加するにつれ、流動層の厚さが薄くなります。
肉厚が薄くなることの影響は、せん断速度に代表される、流動率の定義によって概算できます。流動率は成形品の肉厚の 3 乗に比例します。成形品の肉厚が 50% 薄くなると、流動率が 8 分の 1 に低下します(または、流動抵抗が 8 倍になります)。さらに、ランナーの肉厚が 50% 薄くなると、流動率が 16 分の 1 に低下します。
成形品ができるだけ短時間で均一に固化することが理想的です。この固化層比率結果を突出可能温度への到達時間結果と組み合わせて、金型内の問題領域を特定します。固化層比率結果により、成形品に以下の問題が存在するかどうかを確認できます。
ホット スポットが発生した場合は、冷却回路設計の改善を検討します。