急速加熱冷却回路のレイノルズ数結果は、Dual Domain および 3D 解析において、冷却管の直径、および冷却管内の流体の流量と粘度から計算され、加熱冷却回路内の流体の乱流を示します。この結果は、非定常冷却解析を使用した金型の急速加熱冷却シミュレーションで生成されます。
効果的な除熱を行うには、流動が乱流であることが必要です。水で乱流が発生し始めるレイノルズ数は 2,300~4,000 です。レイノルズ数が 4,000 であれば十分な乱流が発生していると考えられますが、解析では、乱流が発生している条件としてレイノルズ数 10,000 を採用することをお勧めします。
急速加熱冷却回路のレイノルズ数結果は、解析ログ内のデータと一緒に使用すると最も効果的です。解析ログはプログラムのステップが変化するタイミングを示すため、レイノルズ数結果の確認時に、なにが起こっているかを把握できます。
熱伝達用途には乱流の方が適しています。しかし、冷却回路内のレイノルズ数が高い程、回路内の流動により多くのエネルギーが必要となります。このため、熱伝達のための理想的なレイノルズ数は 10,000 とされます。10,000 を超えるレイノルズ数を使用すると、高いレイノルズ数で達成できる熱伝達の向上という利点よりも、エネルギー損失という欠点の方が大きくなります。
冷却管の長さまたは数を増やすことで、熱伝達に使用できる面積を増やすことができます。この結果、冷却管内の大きな圧力降下が発生します。冷却管の直径を大きくした場合、乱流を発生させるには、より多くの流量が必要となります。このため、冷却管の直径と長さに対して、冷却ポンプの圧力と流量のバランスを取る必要があります。
急速加熱冷却回路のレイノルズ数結果の確認時に、測定可能なレイノルズ数が見られるのは、1 次エアー パージ中、冷却管内を冷媒が流動中、2 次エアー パージ中の 3 つの場合です。2 回のエアー パージでは、回路のパージに必要な高い空気圧のためにレイノルズ数は極めて高くなります。冷媒の流動時には、レイノルズ数は約 10,000 まで低減します。回路の加熱時には、レイノルズ数は測定できません。
急速加熱冷却回路のレイノルズ数結果の参照時には、次の点について確認します。