圧力結果

圧力結果は充填解析で生成されます。この結果では、結果が書き込まれた時点における、金型内部でのフローパス上の圧力分布が示されます。

「圧力結果の定義」では、この結果の色分布について説明しています。充填開始時には、金型内のどの部分でも圧力はゼロ(絶対圧力で 1 気圧)です。特定の位置の圧力は、メルト フロント(溶融先端)がその位置に到達した後から上昇し始めます。流動先端の通過後、指定の位置と流動先端間の流動長が長くなるため、圧力の上昇は続きます。

注: 圧縮タイプ成形プロセスでは、この結果は既定の設定として変形メッシュ上にプロットして表示されます。この既定の設定では、タイム ステップをクリックして、樹脂が成形品の形状に圧縮されていく様子を確認できます。この設定をオフにして成形品の結果のみを表示するには結果を右クリックし、[プロパティ]を選択し、[変形後メッシュに表示]をオフにします。

2 つの位置間の圧力差が、充填中に溶融樹脂を押し流す力となります。圧力勾配は、2 つの位置間の圧力差をその距離で割った値です。樹脂は必ず、負の圧力勾配の方向に、高圧部から低圧部へ移動します(これは、水が高い所から低い所へ流れることに似ています)。そのため、充填段階では、最大圧力は必ず射出位置で発生し、最小圧力はメルト フロントで発生します。

圧力 (または圧力勾配) の大きさは、金型内部での樹脂抵抗によって異なります。これは、粘度の高い樹脂では、キャビティへ充填するために、より高い圧力が必要となるためです。薄肉部分や小さいランナーなど、金型内部での流動が制限される領域や、流動長が長い領域でも、より大きい圧力勾配になり、高い充填圧力が必要です。

注: 圧力結果は中間結果です。この場合、既定のアニメーションは経時変化を示し、既定のスケールは結果範囲全体の最小値から最大値です。

この結果の使用法

一般的に、射出成形機の加熱筒 (バレル) のノズル部で発生し得る最大射出圧力は、140 MPa (20,000 psi) 程度です。推奨最大圧力は、金型(成形品とフィード システム) では 100 MPa(14,500 psi)で、成形品では 70 MPa(10,000 psi)です。多くの成形機ではこの値より高い圧力能力があります。圧力能力が不明な場合は、140 MPa であると仮定します。

成形機の圧力能力が明らかな場合は、設計ガイドラインとして、金型全体に圧力の約 75% 以下を使用し、成形品のみに 50% を使用します。

シミュレーションにおけるデフォルトの成形機の圧力限界値は 180 MPa です。圧力限界値は次の 2 通りの方法で使用できます。成形品を作成する射出成形の圧力限界値は 140 MPa であると仮定します。デフォルトの圧力限界値、180 MPa で解析を実行して、金型の圧力要件を検討します。設計ガイドラインとしては、約 100 MPa を超えないようにします。解析圧力が 120 MP である場合は、圧力を低減します。または、成形機の限界値を 100 MPa に設定して、解析を実行することができます。この場合、圧力を制限したプロセスをシミュレーションすることになります。充填過程は圧力ではなく、速度で制御する必要があります。このため、プロセスを固定する必要があります。

注: 圧力 射出 MPa. 樹脂が射出されてノズルに送り込まれると、ラムを移動する油圧シリンダーと比較してラム領域の流路が狭いため、8~15 倍の範囲で樹脂の圧力が上昇します。 圧力 MPa and MPa. 140 MPa はおよその平均です。

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