材料の結晶化度

材料の結晶化は、流体の樹脂が透明な結晶状態に固化するプロセスです。

下図に示すように、樹脂の分子は原子が鎖状に連なった構造を持ちます。分子鎖が規則正しく並んでいるもの (結晶性構造)、無秩序に並んでいるもの (非結晶性構造)、および規則正しい部分と無秩序な部分が混在しているもの (半結晶性構造) があります。



収縮、反り、および結晶化度

成形品が金型の全方向および全領域で均一に収縮すれば、反りは発生しません。

本来、結晶性材料は、非晶性材料に比べて大きな収縮を示します。したがって、結晶化度のばらつきが大きい成形品は収縮差も大きくなり、反りが発生します。

結晶性の発生要因

結晶性材料は結晶化する性質を持ちますが、結晶化度は樹脂の冷却速度で変化します。樹脂の固化が速いほど、樹脂の結晶化部形成に使用できる時間が短くなります。

成形品の一部で冷却速度が遅くなると、その領域の結晶化度が高くなり、収縮率が高くなります。

樹脂の固化速度に影響する要因

金型温度
金型温度が高いほど、樹脂温度の冷却時間が長くなります。
金型形状
冷却が速く非晶性である薄肉部と比較して、厚肉部は冷却に時間がかかるので、結晶含有量と体積収縮度が高くなります。薄肉部の体積収縮は平衡 pvT データからの予測される値よりも低くなります。