冷媒流による熱伝達

冷媒流が層流から乱流に変化すると、熱伝達の効果は高くなります。

層流の状態では、熱は層間で熱伝導のみによって伝達されます。しかし、乱流の状態になると、流れに半径方向の伝達が増加し、伝導と対流の双方によって熱が伝達されるようになります。その結果、熱伝達の効率は著しく高くなります。



左: 層流、右: 乱流

冷媒流が乱流になった状態では熱伝達の増加は少なくなるので、レイノルズ数が 10,000 を超えていれば冷媒流を増やす必要はありません。流量を増やしても熱伝達の上昇はわずかであるため、冷却管の圧力降下が大きくなり、ポンプのコストが増えることによって、そのメリットは相殺されます。

流れが乱流になった後で冷媒の流量を増やしても、熱流量は少ししか増加せず、冷却時間もわずかしか短縮されないうえ、圧力降下とポンプのコストが大幅に増加します。この関係を下図に示します。



流量

ここで、M = 最大熱流量、C = 冷却時間、F = 熱流量、P = 圧力降下。

注: 冷却システムのあらゆる場所で冷媒流が乱流に達していることを確認する必要があります。Autodesk Simulation Moldflow 解析は、冷却回路内で、流動が停滞している冷却管、迂回された冷却管、および高い圧力降下のような問題を検出して修正する補助をします。

制限流動プラグ

冷媒は、流動に対する抵抗が最も低い経路を流れます。高い熱負荷を持つ他の冷却管に冷媒が流れるようにするには、特定の冷却管で制限流動プラグを使用します。

注: 上記のようなプロセス設定の変更は、ライセンスのある Autodesk Simulation Moldflow Adviser または Autodesk Simulation Moldflow Insight 製品を使用した場合にのみ実行可能です。