表面形状と等価断面形状を持つ変換要素

すべてのプラスチック成形品に、両側が平坦である標準的な断面があるわけではありません。グリルのような複雑な形状の解析時には、微細なメッシュを使用して成形品形状を正確にモデリングする必要があります。これには、非常に時間がかかり、高い計算オーバーヘッドが必要となります。

Midplane 解析テクノロジでは、このように複雑な断面は、等価材料体積を持つ薄肉で平坦な断面を使用して表現することで近似化します。

Midplane メッシュは、成形品のエッジは考慮しません。形状ファクターは、金型と接触する追加の表面積を考慮します。表面パターンの形状ファクターは、実際の接触表面の比率に対する等価平坦表面の比率として定義されます。

注: 3D メッシュの形状は、等価肉厚を使用したモデリングはできず、適切なメッシュ密度を使用した完全なモデリングが必要です。

サポートされる三角形要素断面形状

直径と形状ファクターがビーム要素に使用されるのと同様に、厚みと形状ファクターは Midplane 三角形要素の属性です。表面の断面が一定である場合、厚みは指定され、形状ファクターが 1 となります。しかし、外観および機能上の理由により、プラスチック成形品設計では表面パターンが頻繁に使用されます。表面パターンのある成形品をモデリングするには 2 通りの方法があります。表面パターンにある形状よりも小さな要素を使用する方法、または、表面パターンから生じる追加の冷却および流動抵抗を補正する等価肉厚と形状ファクターを持つ要素を使用する方法です。最初の方法は、パターン内の小さな形状をモデリングするため、大量の要素を使用することになります。2 番目の方法は、実際的な問題を解消できる、より効果的な方法といえます。

下図は、スラブ状の表面を示したものです。等価肉厚と形状ファクターは、繰り返されるパターンの基礎単位から計算されます。

パターンの基礎単位には、投影面積 、接触表面 (表面、裏面、および側面を含む)、表側表面と裏側表面の間の体積 が含まれます。等価肉厚が同じである場合、形状ファクターが大きいほど、任意の体積での接触表面および壁面からの冷却効果が増大し、形状の不規則性による流動抵抗も高くなります。プログラムは、Midplane 要素に対して個別の形状ファクターに基づいて、これらの 2 つの影響を自動的に調整します。



グリルのあるモデル形状をモデリングするには、グリルの相対寸法とメッシュ サイズに応じて、2 通りの方法があります。下図の成形品 (a) に示すように、グリル部分の長さがメッシュ サイズより長い場合、グリルを適切な等価直径と形状ファクターを持つビーム要素としてモデリングするべきです。下図の成形品 (b) に示すように、グリル サイズがメッシュ サイズより小さい場合、グリッド全域を等価肉厚と形状ファクターを持つ三角形要素としてモデリングする必要があります。



(c) 断面 A-A、(m) メッシュ サイズ、(r) ビーム (ランナー)要素



(c) 断面 A-A、(m) メッシュ サイズ、(u) 基礎単位

計算例

穴サイズ()が 2 mm で、穴の間の距離()が 1.5 mm の成形品肉厚が 3 mm であるとした場合、まず、計算の基礎となるグリルを表現する領域を決定します。上図では、これは領域 で示されます。

投影面積 (A) の面積です。

または、 = 12.25 とします。

接触表面(S)は [2 x 投影面積(表側表面と裏側表面)] - [2 x 穴の面積] + [穴の外周 x 穴の深さ(b)]。これは次のように変換されます

。値を代入すると、結果は = 37.07 となります。

体積(V)は [投影面積の体積] - [穴の体積]。これは と等しくなります。 または、 = 27.33 となります。

等価肉厚 (t) または、27.33/12.25 = 2.23mm。

形状ファクターは [接触表面積(S)] / [2 x 投影面積(A)]、または 1.51

Midplane メッシュ モデルでグリル領域を選択します。右クリックして[プロパティ]を選択します(または、[編集] [形状]タブ > [プロパティ]パネル > [編集]をクリック)。[断面]ボックスで[その他の形状]を選択します。[寸法の編集]をクリックし、表示される[断面寸法]ダイアログ ボックスで、算出した等価肉厚(2.23)と形状ファクター(1.51)を入力します。

注: グリルはよく使用される設計形状です。四角い穴または丸い穴のグリルの等価肉厚と形状ファクターを自動計算するためのオプションが、[断面]ドロップダウン リストから利用できます。ドロップダウン リストから適切なグリル タイプを選択し、[寸法の編集]をクリックし、グリル形状を入力します。これにより、プログラムは適切なファクターを使用します。