ランダム応答解析

モーター、道路状況により車両に生じる、あるいはロケットやジェット エンジンに生じる振動は、多くの周波数の組み合わせであり、特定の不規則性を伴います。ランダム応答解析(モード法)では、オブジェクトまたはサポートされるオブジェクトの構造がどのように規則的または不規則な振動に反応するかが特定されます。

ランダム応答解析(モード法)では、線形固有値解析からの入力値およびパワー スペクトル密度曲線が使用されます。これらは統計形式において振動周波数およびエネルギーの表示となります。解析によって、経時的な規則、不規則振動の結果である変位および応力の二乗平均平方根の反応が決定されます。

この情報は、車両の構造的完全性と、車両の積載量に対する振動の影響を識別するのに役立ちます。

ランダム応答解析は励起(0 の平均値を伴うパワー スペクトル密度(PSD)または交差スペクトル密度(CSD))に適用されます。出力は二乗平均平方根(RMS)で、結果は入力された励起に対して相対的となります。

注:
  • ランダム応答解析は統計的解析であり、既知の強制関数にわたる荷重を表わす決定論的解析ではないことに注意してください。また、入力の平均値が 0 であるため、平均反応も 0 になります。このため、変位と応力の二乗平均平方根は標準偏差と等しくなります。このため、ランダム応答解析のすべての結果は、結果の標準偏差であり、実際の結果ではありません。たとえば、[結果]環境で確認できる変位の結果は、変位の標準偏差であり、実際の変位ではありません。

  • ランダム応答解析(モード法)ではモード解析の結果が使用され、オペレーティング システムではそれぞれ異なる形式を伴うファイルが作成されます。このため、同じオペレーティング システム上でモード解析およびランダム応答解析を実行しなければなりません。(理論的には、ファイル形式はエンディアンによって決まります。同じエンディアンを使用するオペレーティング システムの組み合わせであれば、どちらの解析にも使用できます。)

ランダム応答解析を実行する一般的な手順は次のとおりです。

  1. 固有値解析または固有値解析(初期応力考慮)に使用するモデルを設定します。計算済みのモード形状が、ランダム応答解析時に結合されます。モード解析において計算される周波数の数は、モデルを適切な方向に励起するために十分である必要があります。(一般的に、設計規格では別の最小値を要求することができますが、励起方向の累積質量は 80% など、特定の比率より上である必要があります。)
  2. 固有値解析を実行します。
  3. モデルを新しい設計シナリオにコピーします。ツリー表示内の現在の設計シナリオの見出しを右クリックして、[コピー]を選択します。
  4. 新しい設計シナリオの解析タイプをランダム応答解析に変更します。([解析] [変更] [タイプ] [線形] [ランダム応答解析])
  5. [解析パラメータ]ダイアログ ボックスに、パワー スペクトル密度(PSD)およびパラメータを入力します。
    1. どの設計シナリオにモード結果が含まれるかを示します。
    2. PSD および方向を指定します。PSD 荷重が適切な境界条件を通じてモデルに伝達されます。(X 方向の PSD は X 移動が固定など任意の境界条件を通じて伝達されます。)
    3. モデルに適用されるその他のタイプの荷重は、解析に影響を与えません。
  6. 解析を実行します([解析] [解析] [シミュレーションを実行])。
  7. 解析が完了したら、[結果]環境で結果を確認します。各固有値解析に対する結果と反応を切り替えるには、[結果オプション] [解析指定] [結果]を使用します。各固有値解析での反応を確認するには、[結果オプション] [荷重ケース オプション] [荷重ケース]を使用します。変位結果は地盤励起(入力スペクトル)に対して相対的となることに注意してください。