3D ガスケット要素

ガスケットは多くのアセンブリで広く使用されており、力を密閉し、伝達する上で重要な役割を果たしています。一部のガスケットは単純ジオメトリと材料成分から成りますが、ほとんどは複雑構造物と材料成分から構成されます。これらは、圧縮ロードおよびアンロードにおいて複雑かつ非線形の高い挙動を示します。通常、ガスケットを正確なジオメトリおよび材料成分に従いモデル化することは実用的ではありません。実際には、ガスケットの機械的応答が最も重要な事項となります。このため、特殊なガスケット要素を設計して、ガスケットの挙動をシミュレートし、ガスケット自体を細かく設定することを避けることができます。

ガスケット要素の挙動は、次の領域においてユニークなものとなります。

3D ガスケット要素には、ブリック(8 つの角の節点、6 つの 4 辺形側面)、ウェッジ(6 つの角の節点、2 つの 3 角形側面、3 つの 4 辺形側面)、ピラミッド(5 つの角の節点、4 つの 3 角形側面、1 つの 4 辺形側面)、4 面体(4 つの角の節点、4 つの 3 角形側面)といったジオメトリ形式が含まれます。厚さにわたり 1 つの要素のみが許可されるため、4 面体要素の面のうち少なくとも 1 つがガスケットの上部または底部にある必要があります。

ガスケット要素の材料モデルには、複数線形の弾性曲線、降伏点、複数線形の塑性曲線、および複数の除荷曲線の機能が含まれます。これらはそれぞれ複数線形曲線により定義されます。

サーフェスに荷重を適用する

均一な圧力、表面力、静水圧は、3D ガスケット要素の上面または下面のいずれかのみに適用でき、両方には適用できません。

モデルが CAD ソリッド モデルで作成され、手動で変更されていない場合は、圧力が適切である面のサーフェスを選択することによって、圧力を適用できます。面を構成する個々のラインのサーフェス番号は重要ではありません。純正の CAD モデルによって、サーフェスにどの面が属するかが把握されます。選択されたサーフェスがガスケットの上部または底部である場合に、圧力が適用されます。

手作業でメッシュ処理されたパーツの場合、あるいは CAD モデルが変更された場合(また、このために手作業でメッシュ処理されたモデルに相当するもので作業している場合)は、要素の面を構成するラインにおいて、同一のサーフェス番号上にほとんどのラインを配置し、圧力がその面に適用されるようにする必要があります。4 つの節点を伴う面の場合、同一サーフェス番号上にある 4 つのラインのうち任意の 3 つによって、その面のサーフェス番号が決まります。3 つの節点を伴う面の場合、同一サーフェス番号上にある 3 つのラインのうち任意の 2 つによって、その面のサーフェス番号が決まり、3D ガスケット要素を定義する面のうち最も高いサーフェス番号によって要素のサーフェス番号が決まります。選択されたサーフェスがガスケットの上部または底部である場合に、圧力が適用されます。

3D ガスケット要素使用の基本手順

  1. 単位系が定義されているようにしてください。
  2. モデルで非線形の解析タイプが使用されるようにしてください。
  3. ガスケットのメッシュを作成する際は、厚さにわたり 1 つの要素を使用してください。CAD ソリッド モデルのメッシャには、1 つの要素でメッシュを作成する特殊な設定があることに留意してください。(「CAD ソリッド モデルをメッシュ化する」を参照してください)
  4. 3D ガスケット要素とするパーツの[要素タイプ]の見出しを右クリックします。
  5. [3D ガスケット]コマンドを選択します。
  6. [要素定義]の見出しを右クリックします。
  7. [要素定義を編集]コマンドを選択します。
  8. [要素定義]ダイアログに適切な入力内容を指定して、ガスケット要素の解法パラメータを指定します。
  9. [OK]ボタンを押します。
  10. パーツの[材料]の見出しを右クリックし、[材料を編集]を選択します。ガスケットの材料特性を入力します。
  11. ガスケットの上面および底面を定義するサーフェスを選択します(複数可)。これは、表示領域([選択][選択] [サーフェス])、またはツリー表示の[サーフェス]ブランチにおいて選択できます。(2 つの面は同一のサーフェス番号上にも、異なるサーフェス番号上にもできます。)[座金の上/下]を右クリックして選択します。 自作のメッシュで作業する際は、上面および底面に接合するガスケット両面のラインは、上面または底面と同じサーフェス番号上にするべきではありません。

3D ガスケット要素パラメータの詳細

[要素定義]ダイアログのその他のパラメータによって、解析時のガスケットの挙動が決まります。

  • [解析定式化]プロダウンは、大きい偏向効果が解析内に含まれるかどうかを決定します。[幾何非線形]が選択されている場合、ガスケットの厚さと方向をの変更は、現在のガスケットのゆがみに基づいています。ジオメトリ変更による大きなたわみ効果が含まれます。[線形]が選択された場合、厚さおよび方向は元の位置から計算されます。小さなたわみ効果が想定され、ジオメトリ変更による効果は無視されます。
  • [積分オーダ]プルダウンによって、要素にわたる計算の精度が設定されます。長方形の要素の場合は、[第 2 オーダ]オプションを選択します。中程度に変形した要素の場合は、[第 3 オーダ]オプションを選択します。過度に変形した要素の場合は、[第 4 オーダ]オプションを選択します。要素剛性の定式化にかかる計算時間は、積分オーダの 3 乗に比例して増大します。この結果、処理時間を削減するには、許容可能な結果を生成する最も低い積分順序を使用するべきです。
  • [安定化係数]フィールドには、モデルの数値的安定性が示されます。ガスケットは厚さ方向にのみ剛性を伴うため、特に静的応力解析を実行している場合や、ガスケットにより接合したパーツがその他の方法(パーツを接合するボルト、境界条件など)による制約を受けない場合などに、厚さに対して垂直な運動は不安定となることがあります。[安定化係数]は、ガスケットが十分に拘束されている場合には 0 となることがあります。[安定化係数]によって追加される剛性は、安定化係数とガスケット材料特性曲線の最後のセグメントの剛性との積です。これは弾性マトリックスの対角項に追加される剛性であるため、結果の収束と精度に影響を与えない十分な小ささにする必要があります。
  • [既定の初期厚さ方向を最後まで使用]チェック ボックスは、[解析定式化]が[線形]に設定されている場合にのみ使用できます。アクティブにすると、ガスケットの厚さが[スカラー X][スカラー Y][スカラー Z]の入力により指定される一定厚さに設定されます。これは、節点座標における数値エラーが厚さに大きな影響を与える非常に薄いガスケットの場合に役立つことがあります。