完全な構造物における応力水準の面で設計が基準を満たしている場合でも、構造物やコンポーネントに亀裂や不良があると、致命的な結果を招くことがあります。亀裂の発生および進展に関する研究は、物理学、化学、力学などが絡む複雑なテーマです。破壊力学という工学の分野が確立され、亀裂伝播の問題に関する基本認識が高まりました。たとえば、既存の亀裂が進展を続ける条件をエンジニアが把握するように努めることは一般的なことになりました。
破壊解析は次の機能をサポートしています。
また、破壊力学の理論は次の事項に基づいて実践されます。
破壊解析はポスト処理機能です。つまり、応力解析を先に実行し、結果環境の既存の解析結果に対して破壊解析を実行します(ポスト処理)。破壊解析の基本実行手順は次のとおりです。
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亀裂があるパーツ(強調して表示) |
亀裂の周囲のメッシュの詳細 |
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| 図 1: 亀裂に関する専門用語 | ||
各亀裂に関連するパラメータは、ツリー表示の[破壊解析]ブランチを使用して結果環境で入力します。ブランチを右クリックし、[新規]を選択して亀裂を追加します(既存の亀裂定義を編集する場合は[編集]を選択します)。[破壊亀裂を定義]ダイアログ ボックスが表示されます。入力データを次の各タブで入力します(図 1 も参照してください)。
[前端]タブでは、亀裂に属している節点(亀裂先端)、および亀裂が進展する近似方向を指定します。
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亀裂平面を通過するスライス。軸 N は亀裂平面に対して垂直です。軸 T は各点の亀裂に接しています。(亀裂先端を赤で示しています)。軸 V は仮想亀裂伸張方向であり、軸 N と軸 T の両方に垂直です。 図 2: 仮想伸張方向 |
[前端]リストの行をハイライト表示すると、対応するモデルの節点がハイライト表示されます。必要に応じて、選択した行をリストから削除する場合は、[削除]ボタンをクリックします。
破壊解析は、亀裂先端の周囲の要素に対してのみ実行する必要があります。パーツ全体またはモデル全体に対して実行する必要はありません。このため、[地域]タブを使用して、解析で使用する要素を指定します。使用する要素を指定するには、2 通りの方法があります。
[地域]リストの行をハイライト表示すると、対応するモデルの要素がハイライト表示されます。必要に応じて、選択した行をリストから削除する場合は、[削除]ボタンをクリックします。

番号は、要素のリング 1、2、または 3 を指定したときに選択される要素に対応します。(リングが 2 つの場合、「1」と「2」で示された要素がすべて含まれます。リングが 3 つの場合、「1」、「2」、および「3」で示された要素がすべて含まれます)
図 2: 要素のリングの例
[出力]タブでは、実行する計算をコントロールします。
[進展方向規準]のオプションは、亀裂進展方向の計算に適用する理論をコントロールします。これらの基準では、初期伝播について若干異なる角度を予測しますが、これらはすべて、亀裂が伸張するときの亀裂先端における KII は 0 に等しいという含意があります。オプションは次のとおりです。
ここで、KII が 0 より大きい場合、ϑ
predicted
は 0 より小さくなり、KII が 0 より小さい場合、ϑ
predicted
は 0 より大きくなります。KI と KII は、モード I とモード II の応力拡大係数です。伝播角度 ϑ
predicted
は亀裂平面を基準にします。 

破壊解析は、解析全体ではなく、選択した荷重ケースまたは時間ステップに対して実行することができます。[開始]および[終了]フィールドに、解析する最初と最後の荷重ケース/時間ステップを入力します。一般的には、応力が最も高い荷重ケース/時間ステップのみを解析する必要があります。
[オプション]
[結果]タブを選択し、[亀裂定義の変更によって破壊解析結果が無効になった場合に、警告メッセージを表示]オプションを有効にします。 定義した亀裂をすべて解析するには、ツリー表示の[破壊解析]ブランチを右クリックし、[すべてを解析する]を選択します。個別の亀裂を解析するには、ツリー表示で亀裂を選択して右クリックし、[解析]を選択します。選択した亀裂を解析する場合、他の亀裂の解析結果は削除されません。破壊解析ではステップごとに速度と加速度が計算されるため、MES モデルに対して破壊解析を実行すると、静的モデルと比較して解析時間が大幅に長くなる場合があります。
亀裂ごとの解析結果が個別のファイルに書き込まれ、すべての亀裂の解析結果が結合されます。結果環境では、結合されたファイルの解析結果が読み込まれます。亀裂を削除または変更した場合(ツリー表示でエントリを右クリックして[削除]または[編集]を選択)、その他の亀裂の解析結果を再結合する必要があります。この操作を実行すると、大幅な遅延が生じる場合があります。
破壊解析が完了した後、[結果コンター]
[その他の結果]パネルに次の項目が表示されます。
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(a)モード I: 引張 |
(b)モード II: 面内せん断 |
(c)モード III: 面外せん断 |
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図 3: 変形モード |
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解析結果は、亀裂先端に沿って定義した節点にベクトル矢印ですべて表示されます。矢印の大きさと色は、選択した解析結果の大きさを表します。矢印の方向は、亀裂進展方向を表します。
[選択]
[節点])、解析結果の問い合わせを実行します([結果の照会]
[照会]
[現在の結果])。解析結果の方向成分は、解析結果の値で乗算された亀裂伝播の方向成分です。このため、表示されている解析結果が負の場合は、矢印の方向が 180 度単位で変化します。解析結果自体はベクトルではなく、成分を含んでいません。 亀裂先端の節点は、端点の順序に従ってリストに入力する必要があります。二次要素の中間節点を含める必要があります。亀裂先端に沿った節点はスキップできません。
[外観]
[表示スタイル]
[フィーチャ]または[表示]
[外観]
[表示スタイル]
[メッシュ]をクリックします)。最初の行で亀裂の特定の端点における節点をハイライト表示し、2 番目の行で次の節点をハイライト表示する必要があります。節点の順序が違っている場合は、ハイライト表示した行を右クリックし、[上へ]または[下へ]を選択して、節点の位置をリスト内で移動します。 要素タイプは破壊解析でサポートされていません