線形座屈解析(座屈固有値解析とも呼ばれる)では、主軸荷重におけるモデルの幾何学的安定性を検査します。座屈は、ほとんどの製品の通常使用において発生した場合、極めて破局的な結果をもたらす場合があります。ジオメトリは、変形し始めると、少量の初期適用力にも耐えることができなくなります。
臨界座屈解析で使用可能な要素タイプは、ビーム、プレート、ブリック(そのバリエーション)です。選択した要素によって、計算される座屈乗数のタイプは異なります。例えば、ビーム要素は数学的に表現される断面を持つ単なるラインです。したがって、ビームでは、グローバル座屈のみを計算できます。プレートおよびブリック要素では、その断面が要素を使用してモデル化されているため、ローカル座屈を計算できます。図 1 を参照してください。
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(a) ビーム要素では、グローバル座屈形状および荷重乗数が提供されます。 |
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![]() 断面 |
(b) プレートおよびブリック要素では、グローバルおよびローカル効果が提供されます。この例では、ビームのフランジがローカルで座屈しています。このフランジには、全体座屈を引き起こす荷重よりも小さい臨界荷重がかかっている可能性があります。 |
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図 1: 柱または棒材にかかる偏心荷重 |
臨界座屈は、固有値の問題の解決(モーダル解析)により計算されるため、その結果は薄いまたは細長い構造(オイラーの柱など)に適しています。短柱、厚いプレート(プレートの長さおよび幅と比較)、または材料の降伏強度については、補正は一切実行されません。図 2 を参照してください。これは線形解析でもあります。たわみによる剛性の変化は発生しないため、P-デルタ(荷重-たわみ)効果などの大きなたわみ効果はありません。その結果、臨界荷重および座屈モード形状を決定できますが、座屈後に何が起きるかは判断できません。(座屈後の結果が必要な場合は、非線形解析を実行します。)
臨界荷重 |
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細長比 |
図 2: 柱または棒材にかかる偏心荷重 |
特定の荷重が座屈を引き起こしているかどうかを判別し、その座屈モードの形状を特定するには、座屈解析を使用します。解析後、ローカル座屈の発生を防ぐように支柱および剛性を設計できます。これは、パーツやアセンブリに軸荷重がかかる場合やモデルにエッジ圧縮が発生する場合に役に立ちます。
圧縮を生じさせない荷重は、座屈計算に対して影響を及ぼしません。ビーム要素の線形座屈解析を計算する場合には、荷重の軸方向成分のみが考慮されることに注意することが重要です。例えば、棒材の終端にかかるオフセット荷重を想像してみてください(図 3(a) を参照してください)。それは、棒材の終端にかかる軸荷重およびモーメントとして表現することができます(図 3(b) を参照してください)。ビーム要素においてモーメントによる軸応力は発生しないため、この解析のオフセット荷重では、純粋な軸荷重の結果と同じ結果が発生しません。(モーメントによって曲げ応力が発生します。ビーム要素の 1 つ側における理論的圧縮は、座屈計算に影響を及ぼしません。)
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(a) 距離 e を中心線からオフセットした荷重 P がかかる棒材の物理モデル。 |
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(b) FEA で作成したビームモデル。荷重偏心によって、節点に適用されるモーメントが生じます。ビーム要素および臨界座屈の性質上、モーメントは結果に対して影響を及ぼしません。この例では、誤った要素タイプが使用されています。 |
図 3: 柱または棒材にかかる偏心荷重 |
計算済みの座屈荷重乗数が結果環境、ログ ファイル、概要ファイルに表示されます。座屈荷重乗数は、いつ座屈がモデルに生じるかを示します。モデルのすべての適用荷重と座屈荷重乗数を掛け合わせると、座屈を引き起こす理論的荷重を求めることができます。実際の製造工程における非完全性(初期曲率、適用された偏心荷重など)により、実際のパーツでは、理論値よりも低い値において座屈が生じる傾向があります。現実的には、小さなずれが臨界荷重に対して非常に大きな影響を及ぼす場合があります。
負の座屈荷重乗数は、適用荷重を逆にすると(および乗数を調整すると)モデルが座屈することを示しています。例えば、1000 Pa の圧力をモデルに適用します。ただし、この圧力は引張に向けられます。-0.75 の座屈乗数は、750-Pa 圧縮荷重でパーツに座屈が生じることを示します。
臨界座屈解析では、計算済みの座屈係数に応じてすべての適用荷重が調整されます。状況によっては、活荷重(圧力など)のみを調整し、その他の荷重(重力など)は調整しない場合があります。一定荷重が大きいため含める必要がある場合は、次の手順を実行します。
臨界座屈は、固有値の解法であるため、変位結果に座屈モード形状が示されます。変位の大きさには意味がありません。同様に、臨界座屈解析では応力またはひずみ結果は一切発生しません。