イベント シミュレーションの概要

イベント シミュレーションの主な特長は、必要な仮定が少なくなる点です。イベント シミュレーションでは、複雑な手計算、結果の解釈、または等価荷重を特定するための実験を行う必要はありません。仮定が少なくなるほど、間違いが生じる確率は低くなります。

イベント シミュレーションを実行する

MES によるイベント シミュレーションを実行すると、埋め込み運動や衝突を含む設計イベント全体のモデルを作成して、線形または非線形ダイナミクスについて設計イベントを解析できます。

イベント シミュレーションは次の 3 つの段階で実行します。

    イベント シミュレーションを実行するには、一般的に次の手順を実行します。

  1. 使用する要素のタイプを特定します。ジオメトリおよび必要な解析のタイプを表すための要素をブリック、4 面体、ビーム、板、2D などから選択します。これらの要素には、曲げの発生が想定されるモデルの中間節点が含まれている場合もあります。モデル内の複数の個別パーツの間には、ジョイントまたはピボットが含まれている場合があります。ジョイントまたはピボットは、モデルの 2 つのサブパーツの共有節点です。たとえば、はさみは 2 つのサブパーツと 1 つのピボットで構成されます。
  2. パーツのジオメトリの有限要素モデルを作成します。イベント シミュレーションに複数の物体を含めたり、イベント内で衝突サーフェスや他のパーツを接触させることができます。

    次の一覧から解析を選択します。

    • 線形材料による静解析
    • 非線形材料による静解析
    • 線形材料による MES 解析: パーツまたは接続しているパーツの振動、衝突、および運動を考慮します。運動の変化により生じる荷重が内部的かつ自動的に計算および適用されます。局部座屈が検出され、画面に表示されます。
    • 非線形材料による MES 解析: 線形材料による MES 解析に加え、非線形材料の挙動および非線形変形を解析対象に入れることができます。
  3. 線形材料特性を指定します。ヤング率、ポアソン比、およびせん断係数を指定します。直交異方性材料の場合、これらの値を方向ごとに指定する必要があります。
  4. 材料が非線形の場合、非線形材料モデル選択し、必要に応じてデータを指定します。荷重によりパーツに大きなひずみや破壊が生じる可能性が想定される場合は、弾塑性材料モデルを使用します。このタイプのモデルを使用する場合は、線形材料特性に加え、材料の降伏強度および降伏後の強度低減係数を指定します。これにより、イベント中にパーツが破壊する場合、画面上で破壊および破壊の過程を視覚的に確認できます。
  5. イベントを観察する時間の長さを指定します。イベントの時間が長くなる場合は長さを延長したり、逆に短縮することができます。また、変位および応力を経時的に計算するために 1 秒あたりのステップ数を指定します。指定した時間ステップの解析結果のみが結果ファイルに出力されます。
  6. モデルを拘束して、適用される実際の条件をシミュレーションします。モデルに適用する境界条件を指定して、さまざまな自由度で基準点を設定します。
  7. 使用する荷重曲線を指定し、解析におけるすべての荷重の大きさの尺度を設定します。
  8. 必要に応じて、重力場および加速場を指定します。
  9. モデルで発生する可能性のある回転または角加速度を指定します。ただし、これらの項目により、応力が直接発生するのではなく、イベント中に付加的な運動が最初に発生します。この運動から付加的な力が発生し、さらに応力が発生します。
  10. 強制変位を指定します。強制変位により、衝撃または加速度が生じ、空間での運動が発生します。荷重曲線に強制変位を割り当てます。強制変位は、経時的に増加する形で適用されるように指定します。イベントにおいては、強制変位をいつでも変更、適用、または除去できます。
  11. すべての衝突サーフェスの位置を座標値で指定します。モデルのパーツと衝突サーフェス間の接触は自動的に特定されます。接触が発生する節点を指定する必要はありません。すべての節点が自動的に考慮されます。
  12. 力を指定して荷重曲線に割り当てます。この指定は任意です。対象の力が明確に既知である場合にのみ指定します。既知でない場合は、運動の変化により力が特定されるようイベントを構築します。
  13. 圧力を指定して荷重曲線に割り当てます。圧力は、面積にかかる力として定義される点を除き、力と基本的に同じです。指定した圧力は、指定した力を使用する場合と同様に使用します。
  14. . 圧力の初期方向を指定します。モデルが空間内で変形または移動すると、圧力の方向が自動的に変わり、最初に圧力が適用されたサーフェスに対する初期方向を維持します。
  15. 質量を計算できるよう材料の質量密度を指定します。イベントでは、荷重で使用される重量およびパーツの慣性を使用できます。また、イベント中の異なる時点におけるモデルの質量を増減できます。この機能は、イベント シミュレーション中に除去または追加されるモデルのサブパーツをシミュレーションする場合に役立ちます。
  16. 相互作用のプロセスを開始して、イベントを実行します。運動、変形、および応力の発生をライブで監視して、イベントの進行状況を確認できます。値と時間によるグラフィカルなプロットを表示したり、グラフィカルな映像を表示することができます。また、モデル上の各点における速度と加速度も監視できます。
  17. イベント シミュレーション中に記録されたステップごとの応力コンター、運動、実際の変形のグラフィカル プロットを作成します。イベント時の最小応力と最大応力を取得して、疲労解析を容易に実行することができます。
  18. イベントの開始から終了までの時間ベースのアニメーションをリアルタイム、高速時系列、またはスロー モーションで作成します。アニメーションは、Media Player などのマルチメディア プログラムで再生できます。
  19. 解析のパラメータおよび結果の HTML レポートを作成します。