等方性相変化材料特性

等方性相変化材料モデルは、固体から液体への相変化(融解)または液体から固体への相変化(凝固)の効果を含めることができます。したがって、解析タイプは非定常熱伝導解析となります。

温度に依存しない特性を備えた材料モデル、および温度に依存する特性を備えた材料モデルを使用できます。熱伝導率および比熱は、選択した材料モデルに応じて、定数として指定するか、温度に対する熱伝導率および比熱のテーブルとしてスプレッドシートに入力します。

質量密度

材料の質量密度は単位体積あたりの質量です。パーツの状態が固体から液体に変化するときに、実際の材料の質量密度が変化する場合がありますが、熱伝導解析では体積は変化しません。したがって、解析における質量密度は一定です。モデリングするパーツの質量と体積に基づいて、質量密度を正しく設定してください。

融解潜熱

固体の単位質量を液体に変換するのに必要な熱エネルギー量です。

固相線温度

パーツが完全に固体になる温度です。温度が上昇して固相線温度を超えると、パーツの融解が開始します。

液相線温度

パーツが完全に液体になる温度です。温度が低下して液相線温度を下回ると、パーツの凝固が開始します。

ヒント: 固相線温度と液相線温度の間の温度においては、材料は固体と液体間で非定常の状態にあります。分率は、どの部分が液体になっているかを定義します。分率の計算は節点温度の計算値に基づいて行われるため、固相線温度と液相線温度を同じにすることはできません。分率の計算方法は、[解析パラメータ]ダイアログ ボックスの[オプション]タブで選択します。「解析の設定と実行」の「熱」の「解析パラメータ」の「非定常熱伝導解析」の「液相率を計算する」を参照してください。

溶剤の溶解温度

合金が溶剤に混入されている溶質で構成される場合、溶剤の溶解温度は、純溶剤が固体から液体に変化する温度です。このパラメータは、液相率を計算する場合の Scheil 関係式でのみ使用されます。(「解析の設定と実行」の「熱解析」の「解析パラメータ」の「非定常熱伝導解析」の「液相率を計算する」に記載されている方程式を参照してください)。

注: 3 つの温度に関する入力パラメータの関係は、固相線温度 < 液相線温度 < 溶剤の溶解温度となります。

平衡分配係数

合金が溶剤に混入されている溶質で構成される場合、平衡分配係数は、合金の総量中の溶質の体積分率です。このパラメータは、液相率を計算する場合の Scheil 関係式でのみ使用されます。

熱伝導率

材料の熱伝導率は、材料の熱伝導能力の指標です。高い熱伝導率を持つ材料は、低い熱伝導率を持つ材料に比べ、より優れた熱伝導性を保有します。パーツの固体状態と液体状態に応じて異なる伝導率を使用します。

パーツが凝固中または融解中である場合、伝導率は液相率の加重平均です。つまり、凝固中/融解中の伝導率は、(液体の伝導率)*(液相率)+(固体の伝導率)*(1 - 液相率)に等しくなります。

温度に依存する特性を使用する場合は、温度に対する伝導率のルックアップ テーブルとしてスプレッドシートに伝導率を入力します。固相の温度範囲は、最低でも最低温度の計算値から液相線温度まで拡張します。液相の温度範囲は、最低でも固相線温度から最高温度の計算値まで拡張します。解析の反復法の性質により、中間の反復における温度の計算値が最終の温度範囲から外れる場合がある点に留意し、特性を入力する際はある程度余裕のある指標値を考慮します。

要素の伝導率は、節点温度の平均値によるスプレッドシートの線形的な補間に基づきます。伝導率-温度曲線の勾配が大きいか、曲線に急激な変化がある場合、要素内の変化する伝導率の効果を捕捉するには、小さな時間ステップまたは小さいメッシュ(あるいはその両方)を使用する必要があります。温度は昇順で入力します(またはデータの入力後に[ソート]ボタンをクリックします)。

比熱

材料の比熱は、1 つの単位質量の材料の温度を 1 度上げるために必要なエネルギー量です。この特性は、すべての熱要素に適用できます。パーツの固体状態と液体状態に応じて異なる比熱を使用します。

パーツが凝固中または融解中である場合、比熱は液相率の加重平均です。つまり、凝固中/融解中の比熱は、(液体の比熱)*(液相率)+(固体の比熱)*(1 - 液相率)に等しくなります。

温度に依存する特性を使用する場合は、温度に対する比熱のルックアップ テーブルとしてスプレッドシートに比熱を入力します。固相の温度範囲は、最低でも最低温度の計算値から液相線温度まで拡張します。液相の温度範囲は、最低でも固相線温度から最高温度の計算値まで拡張します。解析の反復法の性質により、中間の反復における温度の計算値が最終の温度範囲から外れる場合がある点に留意し、特性を入力する際はある程度余裕のある指標値を考慮します。

要素の比熱は、節点温度の平均値によるスプレッドシートの線形的な補間に基づきます。比熱-温度曲線の勾配が大きいか、曲線に急激な変化がある場合、要素内の変化する比熱の効果を捕捉するには、小さな時間ステップまたは小さいメッシュ(あるいはその両方)を使用する必要があります。温度は昇順で入力します(またはデータの入力後に[ソート]ボタンをクリックします)。

ヒント: 質量密度および比熱を適切な単位系に変換するヒントについては、「一般オプション」の「単位系」の「質量単位系を変換する」を参照してください。または、質量に対して指定された単位を使用する表示単位系を定義します。