物体間輻射は、モデル以外の任意の表示領域を右クリックすることにより、熱伝達解析に適用できます。メニューから[物体間輻射]コマンドを選択してください。 右クリックするときに、オブジェクトが選択されていないことを確認してください。選択されていると、それらのオブジェクトのメニューが表示されます。[物体間輻射]コマンドが表示されない場合、[Esc]を数回押して選択をキャンセルしてから、再度右クリックしてください。
輻射に含めるサーフェスに固有のサーフェス番号、具体的には、輻射する要素を構成する線の中の最大のサーフェス番号を付けます。ブリック要素の 6 面のうち輻射に関係する面を判別するために、要素を構成する各線のサーフェス番号がソルバーによって確認されます。最大のサーフェス番号で、これらの線の大半(4 面のうちの 3 つ、または 3 面のうちの 2 つ)がある各面を輻射に含めることができます。要素上の最大サーフェス番号に線がない面は、輻射に含めることはできません。
物体間輻射を設定するには、まず、輻射サーフェスを定義してください。これらの輻射サーフェスは、モデル内のサーフェスと同一のものや、モデル内のサーフェスの組み合わせであってもかまいません。[サーフェスを定義]ボタンを押してください。[物体間輻射サーフェス]ダイアログで、[サーフェスを追加]ボタンを押すと、[パーツおよびサーフェスの選択]ダイアログが表示されます。フルダウンを使用して、個々のサーフェスをモデルから輻射サーフェスに追加してください。 サーフェスをプレート要素パーツから追加する場合は、板のトップ、ボトム、または両側が含まれるかどうかを指定する必要があります。プレート要素のトップは、[要素定義]ダイアログで定義される通常の要素点から逆側です。 選択が終了したら、[OK]ボタンをクリックしてください。
[パーツおよびサーフェスの選択]ダイアログを使用してサーフェスを定義した後、サーフェスの放射率が温度非依存か温度依存かを[放射率のタイプ]ドロップダウン ボックスで指定する必要があります。[温度に依存しない]オプションを選択する場合、定数の放射率を[温度非依存の放射率]フィールドに入力する必要があります。[温度に依存する]オプションを選択する場合、各温度における放射率の値をテーブル形式で定義する必要があります。[放射率曲線]ボタンを押してください。 温度値の間の放射率の値は、直線的に内挿されます。
[ステータス]プルダウンは、すべての入力を削除せずに、輻射サーフェスを計算から除外する場合に便利な方法です。 オプションは次のとおりです。
輻射サーフェスを[パーツおよびサーフェス選択]ダイアログで定義する場合、サーフェス番号として[すべて]を選択するオプションがあります。 これは、パーツのすべてのフリー サーフェスが物体間輻射に含まれることを示します。 1 つのサーフェスを除くすべてのサーフェスが輻射に含まれる場合、[パーツおよびサーフェスの選択]ダイアログで[すべて]を選択し、[物体間輻射サーフェス]ダイアログの[回避するサーフェス]プルダウンを使用して、1 つのサーフェスを輻射サーフェスから除外すると、時間の節約になります。
輻射サーフェスの定義が終了したら、次に、これらをエンクロージャ内に配置する必要があります。 サーフェス間での反射があるため、物体間輻射は、通常の他のサーフェス相互作用とは異なる方法で定義する必要があります。 サーフェス間接触の例で説明します。表面 2 は、表面 3 と接触しており、それとは別に表面 4 とも接触しているとします。これは、表面 3 と表面 4 が接触しているという意味ではありません。物体間輻射において、表面 2 が表面 3 と表面 4 に輻射できる場合、表面 3 と表面 4 は、図 1 似示すように直接または間接的に輻射を交換することができます。
図 1。表面 2、3、4 (およびその周囲)によって 1 つのエンクロージャが形成されます。エンクロージャは、相互に輻射するサーフェスの集合ですが、これらのサーフェスは他のサーフェスとは輻射しません。
そのため、相互に対向するすべてのサーフェスが、直接または間接的に、1 つのエンクロージャを形成します。図 2 は、1 つのエンクロージャが定義されたモデルを示しています。図 3 は、4 つのエンクロージャが定義されたモデルを示しています。
図 2。 鋸歯状の定義に使用されているサーフェス番号の数(上記の図では 4 つが示されています)にかかわらず、すべてを 1 つのエンクロージャとして定義する必要があります。数学的には、表面 4 は複数の反射を介して表面 5 に輻射することができます。
図 3。 相互の間で輻射するサーフェスの独立した 4 つのセットが存在します。したがって、4 つのエンクロージャが定義されています。エンクロージャ 1: 表面 2 と 3。エンクロージャ 2: 表面 4。エンクロージャ 3: 表面 6、8、および 9。エンクロージャ 4: 表面 10 と 11。
[追加]ボタン([サーフェス]セクション)を押すと、輻射サーフェスをエンクロージャに追加することができます。
エンクロージャで形態係数の合計が 1 (完全密封ボリューム)にならない場合、そのエンクロージャは周囲条件に対しても輻射します。 完全密封ボリュームの場合であっても、数学的には形態係数の合計が 1 になることはまずありません。そのため、残りの輻射は, [時間に依存しない]または[時間に依存する]オプション([環境温度]ドロップダウン ボックス)を選択することによって指定されるソースに向かいます。 [時間に依存しない]オプションを選択する場合、定数の環境温度を[環境温度値]フィールドに定義してください。 非定常熱伝導解析を実行しており、[時間に依存する]オプションを選択する場合、環境温度がたどる荷重曲線を [環境温度荷重曲線]ドロップダウン ボックスに指定してください。
エンクロージャでシャドーイングを考慮する場合は、[作成する]オプション([影付け]ドロップダウン ボックス)を選択してください。シャドーイングとは、ある物体が別の物体のサーフェス間の直接的な視野を遮ることです。 代表的な例は、入れ子のシリンダです(図 4 を参照)。 数学的には、大きな筒の内側(表面 2)は、表面 3 を通過して直径全域に輻射することができます。 この状態を避けるには、シャドーイングを含める必要があります(エンクロージャ内に定義されたサーフェスのみがシャドーイング効果を持ちます)。図 2 のエンクロージャの場合も、(数学的に)物体を通過するのを避けるには、シャドーイングを[インクルード]に設定する必要があります。
(a) (b)
図 4。 シャドーイングを含めない場合(a)、パイプの内側の点が、パイプの内側にある他のすべての点を見通すことができます。シャドーイングを含める場合(b)、視野の一部が内側のシリンダによって遮られます。
[パラメータ]タブでは、物体間輻射設定の一般的なパラメータが設定されます。これらの設定は、すべての物体間輻射エンクロージャおよびサーフェスに適用されます。
サーフェス間の形態係数を計算する方法は 2 とおりあります。[形態係数の計算方法]プルダウンを使用して、使用する方式を選択してください。[点から点]オプションは、輻射するサーフェスが要素のサイズと比較して十分に分離されている場合、すなわち、ある要素から見た別の要素の形態係数が小さいときに適しています。この方式の利点は、形態係数の計算に最小限の時間しか要しないことですが、その代わりに精度が犠牲になります(この理由から、要素が十分に分離されていることが必要とさます)。図 4 のモデルは、ポイントツーポイント方式で許容可能な結果が得られる例を示しています。[String則/周回積分]方式では、精度は高くなりますが、計算時間が長くなります。この方式は、ある要素から見た別の要素の形態係数が大きい場合、すなわち要素が相互に近接している場合に使用されます。図 2 のモデルは、ストリング規則/コンター積分方式が使用される例を示しています。各鋸歯状面の根元ある要素は、相互に非常に近接しています。
エンクロージャに環境温度が含まれない場合、[形態係数許容誤差]フィールドが使用されます。システムは完全に密封されており、形態係数は 1 になります。任意の節点の形態係数の合計が、[形態係数の許容範囲]の値である 1 の範囲の収まらない場合には、モデルの解析時に警告メッセージが表示されます。