Autodesk® Simulation CFD と Autodesk® Simulation Mechanical 間の相互運用性により、CFD シミュレーションの温度結果を構造解析モデルに荷重として自動的に適用できる機能を提供します。これらの温度荷重は、モデル全体の節点すべてに適用され、応力解析では熱応力やひずみの原因となる熱膨張を発生させます。
次の解析タイプでは、転送された温度荷重の使用をサポートしています。
- 線形解析_線形材料による静解析
- 非線形解析_非線形材料による MES 解析
- 非線形解析_非線形材料による静解析
- 静電解析_静電電流と電圧解析
- 静電解析_静電界強度と電圧解析
CFD と構造解析ではメッシュ要件が大幅に異なることがあるため、相互運用においては、構造モデルに CFD の結果を転送するための基礎として、ジオメトリ モデルを使用します。これにより、それぞれの解析タイプに最適なメッシュ タイプの使用を可能とする高度な柔軟性を提供します。
また、相互運用では、2D 平面、2D 軸対称、および 3D モデルのほか、定常および非定常シミュレーションをサポートしています。
例
この相互運用性の用途は、電子機器筐体内のコンポーネントの熱応力を計算することです。Simulation CFD を使用して、複数のコンポーネントに対して熱散逸を割り当て、空気の流れと熱伝達をシミュレーションします。モデル内のすべてのコンポーネント上の温度分布に関する結果が得られます。
Simulation Mechanical で同じ CAD モデルを読み込んで、必要に応じて材料と拘束を割り当て、CFD 設計スタディ ファイルを選択します。解析を開始すると、Simulation Mechanical は温度結果を荷重として使用し、コンポーネントの熱誘導応力を計算します。結果として、筐体内の流れと熱挙動、および各コンポーネントの構造的挙動が含まれる、システムのパフォーマンスが表示されます。
プロセス
- Simulation CFD で熱伝導シミュレーションを設定して実行します。モデルには、流体ボリュームに加えてソリッド パーツが含まれている必要があります。CFD モデル内の流体ボリュームは、Mechanical の解析では使用されません。ソリッド パーツのみが考慮されます。
- Simulation Mechanical で CAD モデルを開きます。
- 上記の解析タイプの 1 つを選択します。
- 必要に応じて、材料、拘束、接触、および荷重を割り当てます。
- 線形および非線形解析タイプでは、既定の 0 が不適切な場合は、すべてのパーツに[無応力時の参照温度]を定義します。
- ブラウザで 1 つまたは複数のパーツの名前を右クリックし、[編集] > [要素定義]をクリックします。
- [要素定義]ダイアログ ボックスで、[熱]タブをクリックします。
- [無応力時の参照温度]フィールドに値を指定します。0 ℃ の既定値はほとんどの解析において物理的に現実的ではありません。
- CFD の結果を使用するには
- [セットアップ]リボンから、[パラメータ]を選択します。
- 線形解析_線形材料による静解析タイプでは、[熱]列に乗数を入力します。この乗数に関する詳細については、ここをクリックします。
- 非線形解析タイプでは、荷重曲線が既定の曲線と異なる必要がある場合は、必ず定義します。この曲線には、温度荷重に適用される乗数が含まれています。
- [熱]タブをクリックします。
- [温度のソース]に[Simulation CFD ファイル]を設定します。
- [参照]をクリックして、実行した CFD スタディの .cfdst ファイルを選択します。
- 設計スタディに 1 つのシナリオのみがある場合、既定で設計スタディの下にあるメニューに表示されます。スタディに複数のシナリオがある場合は、一覧から使用するシナリオを選択します。
- [使用するステップ]メニューから使用する結果ステップを選択します。
- 解析を実行して結果を表示します。
ガイドライン
Simulation CFD と Simulation Mechanical の相互運用に役立つガイドラインを次に示します。
- Simulation Mechanical で解析を開始する前に、Simulation CFD モデルを必ず閉じます。
- 2D モデリング
- Simulation CFD では 2D モデルを XY 平面で解析します。Simulation Mechanical では 2D モデルを YZ 平面で解析します。
- Simulation Mechanical でモデルを開く前に、CAD システム内のモデルを XY 平面から YZ 平面の方向に再設定する必要があります。モデルの X 方向は、全体の Y 方向を指す必要があり、モデル Y 方向は全体の Z 方向を指す必要があります。
- Simulation Mechanical の軸対称モデルでは対称軸として Z 軸のみを使用できるため、CFD モデルでは対称軸として Y 軸を使用していることを確認します。CFD モデルが X 軸に対して軸対称である場合は、エラーが出力されます。(すべての 2D モデルと同様に、Simulation Mechanical で開く前に、上記のマッピングを使用して、YZ 平面にモデルの方向を変更します。)
- Inventor で 2D モデルの方向を変更するには、ブラウザ ウィンドウでスケッチを右クリックして、[再定義]をクリックします。[原点]ブランチ下の平面の一覧から新規平面(YZ 平面)を選択します。これにより、上記の方向マッピングに従ってモデルの方向が自動的に変更されます。
- 温度結果は、Simulation CFD モデルに適用された温度初期条件からマッピングすることはできません。初期温度を転送するには
- Simulation CFD 実行ダイアログで、時間ステップ数に 0 (ゼロ)を設定して、[実行]をクリックします。これにより、初期条件によって定義された温度フィールドが結果セット(*.t0)に保存されます。
- 保存された結果セットからシミュレーションを継続して、温度分布の時間履歴を計算します。
- Simulation CFD 解析と Simulation Mechanical 解析の単位系は同じである必要はありません。ただし、Simulation CFD はミクロンの長さ単位をサポートしていないため、Simulation Mechanical 解析でミクロンを使用しないでください。
- Simulation CFD と Simulation Mechanical では、CAD のマルチボディ パーツの処理が異なるため、複数の接続されていないボリュームがあるパーツを作成するのはお勧めできません。すべてのパーツが連続したボディであることを確認してください。パーツに結合されていない領域がある場合は、Simulation Mechanical モデル内のパーツ数が、Simulation CFD モデルのパーツ数と異なることがあります。このため、Simulation Mechanical モデルの特定のパーツに結果を適切に適用できない可能性があります。
- Simulation CFD のジオメトリ ツールを使用して、CFD シミュレーション用に内部ボリューム、または外部空間を作成するのは問題ありません。しかし、CAD モデルで存在しなかったもので、Simulation CFD モデルで作成されたパーツは、Simulation Mechanical モデルには読み込まれないことに注意してください。このため、このようなパーツにのみ流体材料を割り当て、ソリッドとして使用しないでください。