周期対称

モデルの一部分のジオメトリ、荷重、拘束、結果を軸回りにコピーして作成した完全なモデルは、周期対称になります。代表的な例がファンの羽根やタービンです。羽根部分の荷重とジオメトリを繰り返す場合、必要なのは羽根 1 枚のみで、X 枚の羽根のハブ全体は不要になります。図 1 を見てください。解析結果は小さくなるため、解析にかかる時間を短縮できます。

図 1: 周期対称の例(荷重などハイライト表示部分を、O 軸回りに 7 回コピーを繰り返すと完全なモデルが作成されます)

特に周期対称の場合、正面の節点の半径、接線、軸方向の変位(図 1 の A)は反対面の対応する節点と一致します。

注:
  • 周期対称は、線形材料による静解析、固有値解析、過渡応答解析(直接積分)の解析タイプでのみ使用可能です。応答スペクトル解析などモーダル結果を用いるタイプの解析は、MPC の効果が盛り込まれた結果を作成します。
  • 周期対称は結果が周期対称性ではない場合は使用できません。これは通常、一部のモード形状だけが周期対称になる固有値解析で問題となります。周期対称を使用して一部のモデルを除外します。これは振動解析でも同様です。

周期対称モデルを設定する

周期対称境界条件の基本的な設定手順は次のとおりです。

  1. 周期対称面の位置を決定します。周期対称条件を満たすためにパーツを切断することはできますが、通常、切断面の節点数が最も少なくなるように切断するのが最適な方法です。図 2 にいくつかの例を示します。切断面は真っ直ぐな平面である必要はなく、切断面のサーフェス数は任意に作成できます。
    (a) オプション 1。挿入図はフル モデルを表しています。シェーディングされた部分は周期対称で使用されるモデルです。 (b)オプション 2 では、A と反対側の B の切断面を一致させて、節点の数を減らしています。
    図 2: 切断面の例
  2. メッシュの作成時に、面の節点は反対面の節点と一致させる必要があります。つまり、面のサーフェス A の節点が、X 軸回りに回転させたときに、反対面のサーフェス B の節点と一致する必要があります。節点の一致に使用する許容誤差は、定義した[マッチング]サーフェスの最初のパーツからサーフェスまでの最短ラインの 1% になります。
    ヒント: CAD ソリッド メッシャや 2D メッシャでは、反対面のメッシュを一致させることはできません。一致するメッシュがメッシャで自動的に作成されない場合は、周期対称モデルの 3 つの断面でメッシュを作成すると、一致するメッシュを生成できます。図 2 では、3 枚の羽根でメッシュを作成した後、そのうち 2 枚の羽根を非アクティブにしています。
  3. 通常どおり、荷重と境界条件を適用します。モデルは全 6 方向で静的に安定している必要があり、周期対称では接線方向の運動は妨げられません。剛体の回転量は任意です。いずれも許容解となります。通常、モデル化されたパーツは、シャフトなどモデル化されていないものに接着しています。この場合、解析ではシャフトに関連するモデルの変位が計算されるため、シャフトの接着点の境界条件が完全固定となります。
    ヒント: 周期対称と指定境界条件により、理論上静的に安定したモデルが生成されますが、境界条件だけでは静的に安定したモデルは生成されないため、反復ソルバーは収束が難しくなる可能性があります。この場合、モデルに弱いばねを追加することをおすすめします。節点をいくつか選択し、右クリックした後、[節点] [節点剛体境界]を選択します。安定性の獲得に必要な方向を固定し、剛性の値を低く設定します(つまり、追加した弱いバネの荷重は、モデルに適用した荷重と比べると小さいことを意味します)。
  4. 対応する反対側の切断面の互いに一致するパーツ番号とサーフェス番号を書き出します(図 2(a)では、A と B、C と D)。
  5. モデルで何も選択せずに、表示領域で右クリックした後、[追加] [周期対称]を選択します。
  6. [軸上のポイント][軸方向ベクトル]を入力して、周期軸(図の O)を定義します。
  7. [行を追加]ボタンを使用して、切断面にあるサーフェスのペアの数だけ必要な列を[一致するサーフェス]表に追加します。図 2(a)では、互いに一致するサーフェスが 2 つあるため、表に 2 列追加する必要があります。図 2(a)では、一致するサーフェスが 1 つだけのため、表に追加する必要があるのは 1 列だけです。
  8. 切断面上の一致する面のパーツ番号とサーフェス番号を入力します。
  9. [OK]ボタンをクリックしてデータを保存します。
  10. 解析を実行します。

結果を確認する

反復ソルバーを使用する解析の精度は収束許容誤差に左右されるので注意が必要です。結果を確認する際、反対面の変位が同一であるかどうかを確認する必要があります。円筒座標系を使用すると確認が簡単になります。詳細は「解析の設定と実行」>「局部座標系を使用」ページを参照してください。