initget (AutoLISP)

次のユーザ入力関数の呼び出しで使用するキーワードを設定します。

サポートされているプラットフォーム: Windows および Mac OS

構文と要素

(initget [bits] [keywords])
bits

タイプ: 整数型

特定のタイプのユーザ入力を許可または禁止するビットコード。ビットは、値を加算して 0(ゼロ)から 255 の範囲で自由に組み合わせることができます。bits 引数を指定しなかった場合は、0(ゼロ)とみなされます。ビット値には次のものがあります。

1 (ビット 0): 要求に対してユーザが[Enter]のみを入力することを禁止します。

2 (ビット 1): 要求に対してユーザが 0(ゼロ)を入力することを禁止します。

4 (ビット 2): 要求に対してユーザが負の値を入力することを禁止します。

8 (ビット 3): ユーザが現在の図面範囲の外側に点を入力することを許可します。この条件は、AutoCAD システム変数 LIMCHEK が現在設定されている場合でも、次に呼び出されるユーザ入力関数に適用されます。

16 (ビット 4): (現在は使用されません。)

32 (ビット 5): 破線を使用して、ラバーバンド線またはラバーバンド ボックスを描きます。作図領域内の位置を指定することによってユーザが点を指定できる関数の場合、このビットの値によってラバーバンド線またはラバーバンド ボックスを、実線ではなく破線で表示できます(ディスプレイ ドライバによっては、破線の代わりに独自の色が使用されます)。AutoCAD のシステム変数 POPUPS が 0(ゼロ)の場合、AutoCAD はこのビットを無視します。

64 (ビット 6): getdist 関数への Z 座標の入力を禁止します。getdist 関数が 2D 距離を返すことをアプリケーションに対して保証します。

128 (ビット 7): キーワードかどうかに関係なく、任意の入力ができるようにします。このビットは、ビット 0(ゼロ)より優先します。ビット 7 とビット 0(ゼロ)が設定されているときにユーザが[Enter]を押すと、空の文字列が返されます。

256 (ビット 8): 任意の入力より直接距離入力を優先させます。外部アプリケーションでは、既定で任意の入力が直接距離入力より優先されます。AutoCAD に、ユーザ入力を直接距離入力として評価させるには、このビットをオンにします。キーボードからの適切な点入力は、常に、直接距離入力または任意の入力より優先されることに注意してください。

512 (ビット 9): getpoint または getcorner を呼び出す前にオンにすると、カーソルがソリッドの平面状の面のエッジに重なったときに、一時的な UCS が生成されます。一時的な UCS は、カーソルが面から離れるとリセットされます。別の面にカーソルを移動すると、ダイナミックに再生成されます。点が取得されると、ダイナミック UCS は、現在の UCS にリセットされます。この機能は、円柱の側面のような非平面に対しては有効ではありません。

1024 (ビット 10): getdistgetanglegetorientgetpointgetcorner を呼び出すとき、距離、角度、点、コーナーが、Z 方向には、直交モード、極トラッキング、オブジェクト トラッキングの影響を受けたくない場合があります。これらの関数を呼び出す前にこのビットをオンにすると、Z 方向の直交モード、極トラッキング、オブジェクト トラッキングが一時的に無効になります。この機能は、ポリライン、円弧、円などの 2D 図形を作成したり、AutoCAD の ARRAY[配列複写]コマンドで 2D 配列を作成する場合に便利です。2D のみのコマンドでは、Z 方向の直交モード、Z 方向の極トラッキング、Z 方向のオブジェクト トラッキングを使用して 3D 点を入力できるようにすると、混乱しやすく、間違いやすくなる可能性があります。

注: 今後の AutoLISP のバージョンで initget 関数のコントロール ビットが追加される可能性があるので、ここに示されている以外のビットは設定しないでください。
keywords

タイプ: 文字列

一連のキーワード。

戻り値

タイプ: nil

常に nil を返します。

注意

キーワードを指定できる関数には、getintgetrealgetdistgetanglegetorientgetpointgetcornergetkwordentselnentselnentselp があります。キーワードを指定できないユーザ入力関数は、getstring のみです。

次のユーザ入力関数の呼び出しで、予期されるタイプの入力(たとえば getpoint 関数に対しては点の指定)をユーザが行わないと、キーワードがチェックされます。ユーザの入力がリストに存在するキーワードのいずれかと一致した場合、関数はそのキーワードを文字列として返します。アプリケーションは、キーワードを調べ、それぞれに対応する動作を行うことができます。ユーザ入力が予期したタイプではなくキーワードとも一致しない場合、AutoCAD はもう一度入力するようユーザに要求します。initget 関数のビット値とキーワードは、次回のユーザ入力関数の呼び出しのみに適用されます。

initget 関数でコントロール ビットを設定した後で、設定されたビットが意味を持たないユーザ入力関数をアプリケーションが呼び出すと、そのビットは無視されます。

指定された状態についてユーザの入力が正しくない場合(たとえば、ゼロが許可されていないときにゼロを入力するなど)、AutoCAD はメッセージを表示して、もう一度入力するようユーザに要求します。

関数に適用できるコントロール ビット

コントロール ビットは、次の表に示すように、それが意味を持つ getXXX 関数にのみ有効です。

ユーザ入力関数と適用可能なコントロール ビット

   

コントロール ビットの値

関 数

キー

ワード

が有効

null

不可

(1)

ゼロ

不可

(2)

負数

不可

(4)

範囲

なし

(8)

破線

使用

(32)

getint

X

X

X

X

getreal

X

X

X

X

getdist

X

X

X

X

X

getangle

X

X

X

X

getorient

X

X

X

X

getpoint

X

X

X

X

getcorner

X

X

X

X

getkword

X

X

entsel

X

nentsel

X

nentselp

X

ユーザ入力関数と適用可能なコントロール ビット(続き)

 

コントロール ビットの値

関 数

2D

距離

(64)

任意

入力

(128)

直接

距離

(256)

UCS 面

トラッキング

(512)

Z トラッキング

無効

(1024)

getint

 

X

     

getreal

 

X

     

getdist

X

X

X

 

X

getangle

 

X

X

 

X

getorient

 

X

X

 

X

getpoint

 

X

X

X

X

getcorner

 

X

X

X

X

getkword

 

X

     

entsel

         

nentsel

         

nentselp

         
キーワードの詳細

string 引数は、次の規則に従って解釈されます。

  1. 各キーワードは、1 つまたは複数のスペースによって他のキーワードと区切ります。たとえば、"Width Height Depth" によって 3 つのキーワードが定義されます。
  2. 各キーワードには、半角英数字とハイフン(-)のみを含めることができます。

キーワードの短縮形を指定する方法には、次の 2 つがあります。

  • 入力が必要な部分を大文字で、その他の部分を小文字で指定します。大文字による短縮形の指定は、キーワード内のどの部分でも行えます(たとえば、"LType""eXit""toP" など)。
  • キーワード全体を大文字で指定し、その直後にカンマと入力が必要な文字を続けます(たとえば "LTYPE,LT")。この場合、キーワード文字はキーワードの先頭の文字でなければなりません。つまり、"EXIT,X" は無効です。

2 つの簡単な例、"LType""LTYPE,LT" は同じです。ユーザが LT(大文字と小文字のどちらも可)と入力するとキーワードとして認識されます。キーワードのスペルどおりなら、ユーザは入力が必要な部分の後にも文字を入力できます。   この例では、LTYLTYP も認識されますが、L は認識されません。

string 引数全体が大文字か小文字のどちらかのみで、カンマとその後の文字列が存在しない場合、AutoCAD はユーザがキーワード全体を入力したときのみ、キーワードを認識します。

initget 関数は、英語以外の言語に翻訳されたキーワードをサポートしています。キーワード文字列に対する次の構文は、英語以外の言語に翻訳されたキーワードの入力が可能で、言語に依存しないキーワードを返します。

"local1 local2 localn _indep1 indep2 indepn"

ここで、local1 から localn は、英語以外の言語に翻訳されたキーワードです。indep1 から indepn は、言語に依存しないキーワードです。

英語以外の言語に翻訳されたキーワードと、言語に依存しないキーワードの順序は常に同じでなければなりません。また、最初の言語に依存しないキーワードの先頭には、アンダースコアが必要です。次に例を示します。

(initget "Abc Def _Ghi Jkl")
(getkword "\nEnter an option (Abc/Def): ")

A と入力すると Ghi が返され、_J と入力すると Jkl が返されます。

なし