Maya のシーンについて検討するときには、「ノードのつながり」を参照するのも 1 つの方法です。個々のノードは、ノード固有の情報とその情報に関連付けられたアクションから成ります。ノードはアトリビュートを使用してそれぞれ情報を受信、保持、送信します。ノードのアトリビュートは、他のノードのアトリビュートと接続して「ノードのつながり」を形成します。Maya のインタフェースを使用するということは、Maya がノードを作成、接続、評価、破棄するということを意味します。作業の基礎となり作業を構築している「ノードのつながり」が、Maya によって絶えず評価され、結果がワーク スペースに表示されます。Maya で実行する作業はすべて、このノードベースのダイナミックなアーキテクチャに基づいています。
Maya のディペンデンシー グラフは、相互に接続されたノード間のリレーションシップを示します。ディペンデンシー グラフを表示するには、ハイパーグラフ(Hypergraph)を使用します。詳細については、「ディペンデンシー グラフ」を参照してください。
ディペンデンシー グラフには、ノードのヒストリ(履歴)が表示されます。ノードのヒストリには、そのノードに接続されている他のノードや、さらにその先に接続されているノードなど、ノードの接続がすべて表示されます。ディペンデンシー グラフでノードのヒストリについて説明するとき、接続の入力(Input)と出力(Output)という用語を使用すると便利です。入力ノードは、自身が評価される前に評価することのできるノードで、出力ノードは自身が評価された後のみに評価することのできるノードです。したがって、Maya では、ノードのヒストリに時間的な前後があることに注意してください。
デフォーマを使用するときには、ノードのヒストリを念頭に置いておくことが重要です。特定のデフォーマで生成されるデフォメーション エフェクトは、そのデフォーマをヒストリのどこに配置したかによって左右されます。これは、デフォメーション エフェクトが、Maya の変形を評価する順序に依存しているためです。この順番を変形順序と言います。
一般に、オブジェクトには必要な数だけデフォーマを適用することができます。デフォメーション エフェクトはデフォーマがオブジェクトを変形する順序によって左右されるため、多種多様なエフェクトを作成することができます。たとえば、ベンド デフォーマを適用してからサイン デフォーマを適用した場合と、サイン デフォーマを適用してからベンド デフォーマを適用した場合とでは変形結果が異なります。
既定では、変形可能オブジェクトの元のシェイプにデフォーマが作用する順番(変形順序)は、デフォーマの作成順になります。つまり、最初に作成したデフォーマが最初にオブジェクトに作用し、最後に作成したデフォーマが最後に作用します。
1 つまたは複数のデフォーマを使用して変形した NURBS 球プリミティブのヒストリを考えてみます。ディペンデンシー グラフでは、作成(Make)ノード(makeNurbSpheren)のすぐ後に元の(変形されていない)オブジェクトのシェイプ(Shape)ノード(nurbsSphereShapenOrig)が続きます。
Maya では、元のシェイプ(Shape)ノードとして表示されるオブジェクトを中間オブジェクトと呼ぶ場合があります。
Maya では、微調整ノード(tweakn)は元のシェイプ(Shape)ノードの後に配置されます(tweak ノードの詳細については、オブジェクトをポイント微調整するを参照)。この微調整ノードの後に、変形を実際に実行するデフォーマ ノードが、通常はデフォーマを作成した順序で配置されます。変形順序は、元のオブジェクトのシェイプ ノードから配置したデフォーマ(Deformer)ノード(出力)の順序で決まります。ただし、デフォーマの作成時にデフォメーションの配置をコントロールして(「変更順序」を参照)、作成後に変形順序を変更することができます(「変形順序を変更する」を参照)。最後に、デフォーマ ノードの後に、球の最終的な(変形後の)シェイプを表わすシェイプ ノード(nurbsSphereShapen)が配置されます。
このように、球のヒストリが変形順序を決定します。Maya は、作成ノードから始めて、最終的な(変形後の)シェイプを表わすシェイプ ノードまで球のすべてのノードを評価していくため、これらのノードの接続を「変形チェーン」と呼びます。