ダイナミック シミュレーション(Dynamic Simulation)

流体プロパティのフローをシミュレートするには、そのプロパティのコンテンツの方法(Contents Method)ダイナミック グリッド(Dynamic Grid)に設定する必要があり、速度(Velocity)オフ(ゼロ) (Off)にすることはできません。シミュレーション中、コンテナの値はナビエ ストークス(Navier-Stokes)流体ダイナミクスの方程式(ソルバ)を使って解析され、新しい値と置き換えることで流体モーションが作成されます。このセクションで説明するアトリビュートを使用して、ソルバが使用する情報を設定してください。

重力(Gravity)

重力(Gravity)設定は、シミュレーションが発生するワールド空間の質量の引力をシミュレートする組み込みの重力定数です。負の値を設定すると、ワールド座標系を基準にして下方向への引力が生じます。

重力(Gravity)が 0 の場合、密度(Density)の浮力(Buoyancy)温度(Temperature)の浮力(Buoyancy)にはエフェクトがありません。

粘度(Viscosity)

粘度(Viscosity)は、フローに対する流体の抵抗、すなわちマテリアルの厚みと非液体度を表します。この値が大きいと、流体はタールのようにぼってりと流れます。この値が小さいと、流体は水のようにさらさらと流れます。

(粘度(Viscosity)が 1 の場合、マテリアルのレイノルド数(Reynolds Number)は 0 です。粘度が 0 の場合、マテリアルのレイノルド数は 10000 です。レイノルド数(Reynolds Number) は流体の粘性に比例した流体ダイナミクス方程式を解析する際に使用されるパラメータです。)

摩擦(Friction)

速度(Velocity)をソルビングする際に使われる内部摩擦を設定します。

ダンプ(Damp)

タイム ステップごとに速度(Velocity)ソリューションが 0 方向にダンピングされる度合いを設定します。値が 1 の場合、フローは完全に抑制されます。ダンピングをわずかに適用すると、境界を開いて絶えず強い風を起こし、不安定な状態を作成するときなどに便利です。

ソルバ(Solver)

次のオプションの 1 つを選択します。

なし(None)

ソルバは使用されません。

ナビエ ストークス(Navier-Stokes)

ナビエ ストークス(Navier-Stokes)ソルバが使用されます(渦を巻いて流れるが外側への拡大および内側への圧縮がない流体、空気、およびその他の状況に最適)。

スプリング メッシュ(Spring Mesh)

波動シミュレータが使用されます(波の上下、往復運動に最適)。

高詳細ソルバ(High Detail Solve)

このオプションは、シミュレーション中における密度、速度、およびその他のアトリビュートの拡散を減少させることがあります。たとえば、解像度を上げなくても流体シミュレーションのディテールが非常に詳細に表現され、また回転する渦のシミュレーションが可能になります。高詳細ソルバ(High Detail Solve) オプションの使用は、爆発、流れるクラウド、立ち上る煙のようなエフェクトを作成するのに理想的です。

オフ(Off)

シミュレーションはより速く動作しますが、シミュレーションの進行に伴って密度と速度の両方に大きな拡散が生じます。

高詳細ソルバ(High Detail Solve)を使用しているときに表示されるアーティファクトの中には、密度(Density)または温度(Temperature)張力(Tension)を使用して除去できるものもあります。

速度以外のすべてのグリッド(All Grids Except Velocity)

速度を除くすべてのグリッドに対して追加のソルバ ステップを適用します。必要なシミュレーションの計算時間は高詳細ソルバ(High Detail Solve)オフ(Off)の場合とほぼ同じです。

速度のみ(Velocity Only)

速度グリッド値にのみ、追加のソルバ ステップが適用されます。このオプションを使用すると、密度グリッド上のディテールを高くすることによって生じるアーティファクトを防ぐことができます(グリッド補間(Grid Interpolation)オプションのエルミート(Hermite)を使用すると、低速ながら質の高い結果が得られます。)

すべてのグリッド(All grids)

速度を計算する場合は、まず、追加のソルバ ステップを適用します。また、残りのグリッドに速度を適用する場合も同様です。流体内により多くの細部情報が存在するため、結果として大幅にリアルなシミュレーションが得られます。速度を伝播させるのには密度などのスカラー グリッド値を伝播させるよりはるかに計算上の負担がかかるため、このオプションを使用するとシミュレーションの計算時間が倍になります。

サブステップ(Substeps)

ソルバがフレームごとに計算を実行する回数を指定します。サブステップ(Substeps)は、高速で移動する流体、高密度のグリッドを持つ流体、高詳細ソルバ(High Detail Solve)を使用する場合に、安定性とシミュレーション結果の改善に役立ちます。

ソルバ精度(Solver Quality)

ソルバ精度(Solver Quality)を大きくすると、流体フローの非圧縮性を計算するためにソルバにより使用されるステップの数も増加します。ポワソン ソルバと呼ばれるこの計算は、一般にソルバの中で最も集中的に計算が行われる部分です。

ソルバ精度(Solver Quality)を下げると拡散の度合いが大きくなり、シミュレーションの詳細度が下がります。しかし、ソルバ精度(Solver Quality)を下げる、特に高詳細ソルバ(High Detail Solve)をオフにし、前方への移流(Forward Advection)をオンにした場合、流体をある程度、圧縮できるようになります。エフェクトでセルフ アトラクト(Self Attraction)およびグラディエント フォース(Gradient Force)を使用している場合には、流体に圧縮を追加すると効果的です。詳細については、セルフ アトラクトと反発(Self Attraction and Repulsion)を参照してください。

グリッド補間(Grid Interpolator)

ボクセル グリッド内のポイントから値を取り出す際に使う補間アルゴリズムを選択します。

リニア(Linear)

値はリニアに補間されます。2 つの方法のうち、こちらの方が処理速度が速くなります。

エルミート(hermite)

エルミート カーブを使って流体を補間します。この方法はリニアに比べて拡散は少なくなりますが、特に流体がジオメトリと衝突する場合、シミュレーションが何倍もゆっくりとした速度で実行されます。ソルバによって境界で摩擦(Friction)を計算したい場合は、エルミートを使ってください。(このオプションを高詳細ソルバ(High Detail Solve)の速度のみ(Velocity Only)とともに使用すると、低速ながら質の良い結果が得られます。速度以外のすべてのグリッド(All Grids Except Velocity)すべてのグリッド(All Grids)オプションと一緒には使用しないでください)。

前方への移流(Forward Advection)

前方への移流(Forward Advection)をオンにすると、グリッドを介して密度を前方に押し込む質量保存の前方伝播テクニックを使用して、密度(Density)温度(Temperature)燃料(Fuel)のグリッドが解析されます。速度(Velocity)のグリッドは、前方への移流(Forward Advection)を使用して計算されません。

既定のソルバ方法では、後方伝播テクニックを使用して密度を周囲のボクセルからボクセルに引き込みます。

前方への移流(Forward Advection)を使用して解析した流体エフェクトでは、高詳細ソルバ(High Detail Solve)を使用して既定のソルバ方法よりも密度拡散が小さい場合に、わずかなアーティファクトが生じる可能性があります。前方への移流(Forward Advection)を使用すると、密度がボクセルでスタティックのままであるインスタンスを解決することもできます。

注:

既定のソルバ方法(前方への移流(Forward Advection)をオフ)は、流体フローの非圧縮性に依存し、ソルバ精度(Solver Quality)の設定値が小さい場合に拡散します。前方への移流(Forward Advection)がオンの場合、流体にはこの問題は現れず、圧縮エフェクトを持つシミュレーションに役立つようになります。

開始フレーム(Start Frame)

流体シミュレーションが開始するフレームを設定します。既定は 1.0 です。このフレームより前に、このオブジェクトのためには何も再生されません。このアトリビュートを使うと、選択したフレームに来るまで、流体のフィールドのエフェクトを遅らせることができます。

注:

時間単位(Time units)設定を変更する場合(ウィンドウ > 設定/プリファレンス > プリファレンス(Window > Settings/Preferences > Preferences))は、開始フレーム(Start Frame)を正しい初期値に設定して、開始時間が再計算されるようにする必要があります。

シミュレーション率のスケール(Simulation Rate Scale)

放出やソルビングで使用するタイム ステップをスケールします。

評価の無効化(Disable Evaluation)

このオプションをオンにすると、インタラクティブ再生時のソルビングをオフにできます。流体キャッシュが存在する場合、そのキャッシュからシミュレーションが再生されます。

質量の維持(Conserve Mass)

このオプションをオンにすると、ソルビング中、密度(Density)値の更新時に質量が保存されます。

衝突の使用(Use Collisions)

このオプションをオフにすると、流体フローがコンテナの中にある衝突ジオメトリに衝突しなくなります。

放出の使用(Use Emission)

このオプションをオフにすると、接続された流体エミッタがすべてシミュレーション中に無視されます。

フィールドの使用(Use Fields)

このオプションをオフにすると、シミュレーション中すべての接続した外部フィールドが無視されます。

サブステップでの放出(Emit In Substeps)

オンの場合、流体の放出は 1 ステップに 1 回ではなく、サブステップごとに計算されます。爆発のように、放出速度の速いエフェクトについては、サブステップでの放出(Emit In Substeps)をオンにすると便利です。