非線形解析結果

多くのコマンドは、線形解析結果のコマンドと同じです。非線形解析固有のコマンドを次に示します。

[コンクリート破壊]

モデルに含まれているパーツが鉄筋コンクリート材料モデルに設定されている場合、[結果コンター] [その他の結果] [コンクリート破壊]コマンドが有効になります。このコマンドを選択すると、要素内の積分点に次のタイプの破壊があるかどうかに基づいて、モデルがシェーディングされます。

表 1: コンクリート破壊の値
破壊値 説明
1 最低 1 つの点に亀裂がある
0.5 最低 1 つの点に破壊があるが亀裂はない
0 どの点にも亀裂または破壊はない
ヒント:
  • 値を適切に表示するには、[結果コンター] [設定] [結果を平滑化]チェック ボックスがオフになっていることを確認します。オンになっていると、隣接する要素の異なる結果により表示に影響が生じます。
  • [結果コンター] [設定] [凡例属性] [プリセット]([アウトラインの色]タブ)を[3 色]に設定し、[凡例属性]タブの[マーク][3]に設定すると、色を見分けやすくなります。

[コンクリート破壊]コマンドでは要素の破壊の有無をすばやく表示できますが、[結果の照会] [照会] [現在の結果]を選択すると、さらに詳細な破壊に関する情報を確認できます。クイック アクセス ツールバー [選択] [要素]をクリックして、破壊した要素を選択すると、次の情報を表示できます。

  • 破壊が発生した積分点
  • 積分点での亀裂数(亀裂がある場合)
  • 亀裂の状態。亀裂が開口状態(荷重を伝達できない)か、閉口状態(材料特性によっては、荷重が伝達される可能性がある)かを示します。
  • 相互に垂直な平面では、最大 3 つの亀裂が発生する可能性があります。亀裂方向は、亀裂平面に対して垂直になります。
  • 積分点での破壊の有無
    注: 鉄筋コンクリート材料モデルにおける破壊は、3 つの主応力すべてが圧縮許容値を超過している場合の破壊状態として定義されます。3 つの主応力がすべて負になります。

[応力] [ガスケット]

解析対象にガスケット要素が含まれている場合、[結果コンター] [その他の結果] [ガスケット結果]を選択すると、表示が拡張され、ガスケットの解析結果が追加されます。ガスケット要素の定義により、解析結果はすべて厚さの方向(表面の法線方向)に関連します。

  • [圧力]には、ガスケット要素の圧力が表示されます。
  • [全体的閉鎖]には、上面と底面が相互に接近した距離が表示されます。正の値は、ガスケットが元の位置より薄くなったことを示します。ガスケットの[初期ギャップ]が 0 に設定されている場合に限り、この値はガスケット材料の圧縮と等しくなります。
  • [機械的閉鎖]には、ガスケットの圧縮量が表示されます。この解析結果は、材料特性で入力した[クロージャ]の値に対応します。ガスケットの初期ギャップ特性がゼロ以外の場合、この値は[全体的閉鎖]の値と異なります。この関係は、「機械的閉鎖 = 全体的閉鎖 - 初期ギャップ」となります。
  • [累積塑性クロージャ]には、ガスケットで生じた永久歪み量が表示されます。

[表面接触]

このオプションは、モデルに表面間接触が定義されている場合にのみ有効になります。このコマンドを選択すると、接触ペアの表面間の距離に基づいて、表面間接触に関連する表面がシェーディングされます。節点ごとに、関連するすべての面に基づいて平均法線が計算されます。この法線に沿って、線が他の表面と交差するまで延長されます。面の節点から伸びる法線が他の表面と交差しない場合、その面はシェーディングされません。たとえば、節点が表面を貫通する場合、その節点が含まれる面はシェーディングされません。

[塑性]

このコマンドは、モデルのいずれかのパーツが弾性-塑性材料モデルを使用しており、[要素定義]ダイアログ ボックスの[高度]タブの[追加の出力]ドロップダウン ボックスが[生成されなかった]以外のオプションに設定されている場合にのみ有効になります。

  • [塑性状態]: このコマンドを選択すると、凡例ボックスの値の範囲が 0 ~ 1 になります。0 に対応する色でシェーディングされている領域は弾性状態のまま変わりません。1 に対応する色でシェーディングされた領域は、塑性状態になります。このコンターは、現在の時間ステップでのみ有効です。
  • [降伏応力]: このコマンドを選択すると、下限値として設定された降伏応力に基づいてモデルがシェーディングされます。降伏応力未満のモデルは、すべて凡例ボックスの下限値に対応する色でシェーディングされます。
  • [等価応力]: このコマンドを選択すると、等価(有効)応力に基づいてモデルがシェーディングされます。この応力には、計算向けの降伏曲面のサイズの効果も含まれます。Autodesk Simulation Mechanical では、 移動硬化によるフォン ミーゼス および 移動硬化によるフォン ミーゼス曲線 材料モデルの等価応力は、次のように定義されます。

    ここで、sij は応力偏差テンソルで、αij は逆応力テンソルです。この定義に従うと、等価応力値は、同じ点のフォン ミーゼス応力値とは大幅に異なる可能性があります。

  • [等価ひずみ]: このコマンドを選択すると、等価(有効)ひずみの増分に基づいてモデルがシェーディングされます。これは、塑性ひずみテンソルの大きさに等しいスカラー値です。
    注: 中間節点での塑性解析結果は利用できません。

[損傷]

このコマンドは、モデルの任意のパーツが損傷解析で使用されている場合([要素定義]ダイアログ ボックスの[損傷]タブでいずれかの損傷オプションを選択した場合)に有効になります。損傷解析の結果を次に示します。

  • [繊維: 引張基準]: 繊維方向の引張基準(fI)に基づいてモデルがシェーディングされます。
  • [繊維: 圧縮基準]: 繊維方向の圧縮基準(fII)に基づいてモデルがシェーディングされます。
  • [繊維: 引張損傷]: 繊維の引張損傷(dft)に基づいてモデルがシェーディングされます。
  • [繊維: 圧縮損傷]: 繊維の圧縮損傷(dfc)に基づいてモデルがシェーディングされます。
  • [母材: 引張基準]: 母材方向の引張基準(fIII)に基づいてモデルがシェーディングされます。
  • [母材: 圧縮基準]: 母材方向の圧縮基準(fIV)に基づいてモデルがシェーディングされます。
  • [母材: 引張損傷]: 母材の引張損傷(dmt)に基づいてモデルがシェーディングされます。
  • [母材: 圧縮損傷]: 母材の圧縮損傷(dmc)に基づいてモデルがシェーディングされます。
  • [損傷エネルギー密度]: 損傷エネルギー密度(ΔED)に基づいてモデルがシェーディングされます。損傷エネルギー密度は、要素のすべての損傷を組み合わせたものです。値が 0 の場合、損傷が発生しなかったことを示します。小さい値は、大きな値よりも損傷が少ないことを示します。損傷が発生した方向を特定するには、[結果コンター] [その他の結果] [損傷] [引張損傷]などを選択して、個別の損傷解析の結果を確認します。
  • [粘性エネルギー密度]: 粘性エネルギー密度(ΔEV)に基づいてモデルがシェーディングされます。粘性は安定性を獲得するためにモデルに追加されるため、粘性エネルギー密度は損傷エネルギー密度と比較して小さな値になります。小さな値でない場合、解析結果がユーザ指定の粘性パラメータの影響を受けている可能性があります。
注:
  • 基準の解析結果は、損傷が発生したかどうかを示すのではなく、特定の時間ステップで(追加の)損傷が発生する可能性の有無を示します。
  • 基準の各解析結果の値が 1.0 以上の場合、開始基準が満たされていることを示します。
  • 損傷の解析結果は、累積の損傷程度を示し、値の範囲は 0 ~ 1 です。値が 0 の場合は損傷がないことを示し、要素は全荷重を支持できます。値が 1 の場合は完全な損傷を受けていることを示し、要素は各方向の荷重を支持できません。
  • 中間節点での損傷解析結果は利用できません。

各解析結果の詳細については、「解析の設定と実行」の「非線形」の「材料特性」の「損傷材料特性」の「損傷の理論的記述」を参照してください。

[補助応力]

このコマンドは、初期降伏応力を上回っているモデルのパーツ、および降伏を下回っているモデルのパーツを表示する場合に使用します。 表示される値は、(計算された応力) - (降伏応力)です。負の値は降伏がないことを示し、正の値は降伏があることを示します。このオプションは、降伏基準が指定されている 2D 要素にのみ適用できます。