解析のリスタートの実行

このページの情報は、特別な指示がある場合を除き、次の解析タイプに適用されます。

非線形応力の便利な機能の 1 つに、最後に収束された時間ステップまたは前回保存したリスタート ステップから解析をリスタートできる機能があります。この機能は、さまざまな状況において便利です。例えば、非線形静解析の実行中に、別のタスクを実行するためにコンピュータを使用しなければならない場合、解析を一旦停止して、タスク完了後に解析をリスタートすることができます。解析の途中で停電が起きた場合でも、最後に収束された時間ステップから解析をリスタートすることができます。さらに、リスタート機能を使用すると、解析で異なる時間ステップ サイズを使用することもできます。その一例として、チェーンを締めることから開始して、次に荷重を取得する解析があります。チェーンの締めを正しくシミュレートするには、小さな時間ステップが必要です。しかし、チェーンの締めが完了すると、シミュレーションは簡素化されます。同じ時間ステップ サイズを使用すると、必要以上に大きな結果ファイルおよび解析時間が発生します。

注: 非線形静解析を停止し、後で再開またはリスタートする場合は、Mechanical Simulation Job Manager から実行中のジョブをキャンセルすることができます。ただし、解析がキャンセルされたときにソルバが一時ファイルまたはリスタート ファイルを書き込む処理中であった場合、解析をリスタートできないことがあります。リスタートが失敗した場合は、最初から解析を再実行する必要があります。
注: シミュレーションの実行前の段階で、イベント中に時間ステップ サイズを変更する必要があると予測される場合は、[解析パラメータ]ダイアログ ボックスの[イベント]タブで複数の時間間隔を定義することができます。この機能は、MES および非線形静的解析で使用できます。詳細については、次のいずれかの該当するページを参照してください。

複数のリスタート時間を保存する

状況によっては、元のモデルを実行する前にリスタート パラメータを設定しなければならない場合があります。既定では、解析リスタートを有効にするデータは、最後の時間ステップに対してのみ保存されます。最後のステップより前の時間ステップからリスタートする場合は、[再スタートデータを保存する間隔]ドロップダウンを次のいずれかの値に設定します。

  • [最後のステップのみ] 最後に収束された時間ステップのみを保存します(そのステップが出力間隔上またはその途中にあるかどうかに関わらず)。
  • [最後の N ステップ]: 最後の N ステップ分のリスタート データを保存します。N は、[N =]フィールドの入力を表します。N ステップより古いリスタート データは、解析の進行と共に削除されます。(N ステップの意味については、以下の説明を参照してください。)
  • [N ステップ毎]: ステップ N から N ステップ毎のリスタート データを保存します。(N ステップの意味については、以下の説明を参照してください。)最後の時間ステップも保存されます(そのステップが出力間隔上またはその途中にあるかどうかに関わらず)。

N ステップの定義は、次に示すように、出力間隔およびその他の出力オプション([設定][モデル設定][パラメータ][出力]タブで指定)によって異なります。

  • 追加の出力が[全時間ステップの出力結果]で保存されていない場合、出力間隔に対応する時間ステップのみが、前述の設定どおりに、保存対象として処理されます。その結果、出力間隔に対応するリスタート データが保存されます。中間の時間ステップで収束されたステップは保存されません。通常、こうしたステップは、時間ステップが自動的に短縮された場合に発生します。
  • [全時間ステップの出力結果]をアクティブにした場合は、収束されたすべての解法を上記の設定で保存します。
  • 出力間隔に対応する時間ステップは、N ステップになります。

解析のリスタートの実行

同一のモデルを使用しているか、別のモデルを使用しているかによって異なりますが、非線形静解析のリスタートで使用できる方法は数多くあります。リスタート方法の使用中は、以下の項目を変更できません。

  1. メッシュ。
  2. 圧力などの要素荷重。
  3. 境界条件。
  4. パーツ剛性の変更の原因となる要素定義の断面データ。
  5. パーツ剛性の変更の原因となる材料特性。
  6. 次に示すその他の項目。

リスタート方法の使用中でも、以下の項目を変更できます。

  1. 質量密度。
  2. 荷重曲線。
  3. 次に示すその他の項目。

いくつかの異なるリスタート方法を次に示します。

  • ソルバ マネージャを使用して解析を再開または延長する: この方法を使用すると、完了した解析時間を延長し、イベントが継続する場合に何が起きるかを決定することができます。また、時間を拡張して(またはしないで)、部分的に完了した解析を再開することもできます。時間ステップ サイズ(出力間隔)は変更できません。元の[持続時間]に対する変更は無視されます。(持続時間の合計は、以下に説明するとおり、[次によって合計を拡張]の入力で変更できます。)
    1. イベントを延長するときは、必要に応じて解析に追加する追加時間の分を荷重曲線で延長してください。
    2. [解析][解析][ソルバ マネージャ]をクリックします。
    3. 適当な設計シナリオの行で[MES の再起動]ボタンをクリックします。
      • [再開]チェックボックスをアクティブにします。
      • 時間を延長するには、[次によって合計を拡張]フィールドで解析をどれだけの時間延長するかを指定します。元のイベント持続時間を拡張せずに部分的に完了した解析を再開する場合は、この値が 0 に設定されたままにします。
      • [OK]をクリックします。最後に完了した時間ステップから解析が再開されます。
    4. [解析]をクリックします。イベントを延長した場合、結果は 0 から、元の持続時間 + [次によって合計を拡張]入力フィールドで指定した時間に変化します。
  • 指定された時間ステップから現在の解析を再開する: この方法は、最後に完了した時間ステップより前の時間ステップから解析を再開する場合に使用します。追加実行の結果は指定されたリスタート時間ステップから元の実行に追加され、以降の結果が上書きされます。たとえば、元の解析が 50 ステップの内 35 ステップまで到達したとします。ステップ 20 から再開すると、元のステップ 21 から 35 までは上書きされます。前の解析からのすべてのファイルが存在する必要があります。時間ステップ サイズ(出力間隔)は変更できません。このタイプのリスタートの手順は、次のとおりです。
    1. [設定][モデル設定][パラメータ][高度][時間ステップ]にある[リスタート]プルダウンを[現在の解析を再開する]に設定します。
    2. [再開ステップ]プルダウン メニューを使用して、再開を開始する時間ステップを選択します。ステップ 0 には特別な意味があります。具体的には、最後の収束時間ステップを表します。
    3. [OK]をクリックして高度な解析パラメータを受け入れ、[OK]をクリックして[解析パラメータ]ダイアログ ボックスを修了します。
    4. [解析][解析][シミュレーションを実行]または[ソルバ マネージャ]のいずれかを使用して解析を開始します。
    5. 結果は、時間 0 から最初に指定した時間までとなります。
  • 別の解析からリスタートする: この方法では、より柔軟な操作が可能ですが、新規モデルに新規結果が配置されます。このタイプのリスタートの実行手順は、次のとおりです。
    1. 別の解析を新規設計シナリオまたは新規モデルにコピーします。
    2. 節点荷重(値および/または方向)は変更できます。
    3. 時間ステップ(出力間隔)は変更できます。
    4. 新規モデルで、[持続時間]を別の解析に追加する時間として設定します。したがって、合計の解析時間は、元の解析の時間と新規モデルの持続間隔を足したものと等しくなります。
    5. 新規モデルで、累積時間に基づき荷重曲線を設定します。この場合、元の解析からの時間から開始します。新規モデルでは、時間 0 から元の解析の時間までの荷重曲線は無視されます。
    6. 新規モデルで、[設定][モデル設定][パラメータ][高度][時間ステップ]タブにある[リスタート]プルダウンを[別の解析から再起動]に設定します。
    7. [参照]ボタンをクリックして、[リスタートするモデルの名前]を選択します。
    8. [再開ステップ]プルダウンを使用して、再開を開始する時間ステップを選択します。ステップ 0 には特別な意味があります。具体的には、最後の収束時間ステップを表します。
    9. [解析][解析][シミュレーションを実行]または[ソルバ マネージャ]のいずれかを使用して解析を開始します。
    10. 結果は次のように計算されます。
      1. 結果環境の時間は、ゼロではない(前の解析からの)リスタート ステップの時間で開始します。終了時間は開始時間に新しいモデルのイベント持続時間を加えた時間です。
      2. 結果環境の時間ステップ番号は、0 から新規モデルの時間ステップ数までです。
      注: 解析リスタートの[モデルの単位系]は、元の解析の[モデルの単位系]と同じである必要があります。

      [別の解析からリスタート]の方法を使用する場合、解析全体の結果が 2 つ以上のモデルで生成されます。各実行からのアニメーションを追加して、解析全体に対する 1 つのアニメーションを作成することができます。その手順は次のとおりです。

      1. 時間ステップ番号が注釈に表示されている場合は、注釈を非表示にするか、テキストを削除することをお勧めします。各解析は時間ステップ番号 0 から開始されるため、アニメーションを追加すると、その番号がスムースに展開しない場合があります。
      2. 1 番目のアニメーションを通常どおり作成します。([結果コンター][キャプチャ][アニメーション][AVI ファイルに保存])設定する間、[目標の解像度]に注目します。これは追加のアニメーションで必要になります。
      3. 最初の解析のプレゼンテーションを保存します。(ブラウザでプレゼンテーション名を右クリックして、[モデルに保存]を選択します。)これによって、結果タイプ、モデルの表示、凡例設定などが保存されます。
      4. 次のモデルを開きます。
      5. [結果オプション][その他][ツール][プレゼンテーションをインポート]メニューを使用して、最初のモデルを選択します。保存したプレゼンテーションが現在のモデルに読み込まれます。
      6. 保存したプレゼンテーションをツリー表示の[保存したプレゼンテーション]ブランチで選択して、[アクティブ化]を選択します。 前回の設定を表示する新規結果ウィンドウが開きます。
      7. アニメーション ダイアログにアクセスします([結果コンター][キャプチャ][アニメーション][AVI ファイルに保存])。前回のアニメーション ファイル名を選択して、アニメーションを追加するオプションを確実に選択します。
      8. 現在の解析から、アニメ化する適切なステップ番号を設定します。通常、前回の解析の最後のステップと現在の解析のステップ 0 は同じです。したがって、[開始ステップ]を 1 に設定します。
      9. 必要な場合は、[目的の解像度]を最初のアニメーションと同じ解像度に設定します。
      10. [保存] ボタンをクリックします。現在のモデルのアニメーションが前回のアニメーションに追加されます。
      11. リスタートしたそれぞれの解析に対して、手順 d から j を繰り返します。