適切なエントリを使用して、ユーザ定義の複合材料を定義します。
Helius PFA のユーザ定義の複合材料をまとめて定義するエントリは、CONNECT SERVICE、GENUDS、MATUSR、および MATUDS です。Helius PFA のユーザ定義の複合材料を指定する MSC Nastran バルク データ ファイルからの次のエントリを検討してください。
CONNECT SERVICE hpfa 'autodesk.hpfa'
GENUDS, hpfa
MATUSR, 9034, 1, 23
MATUDS, 9034, MATUSR, hpfa, UMAT
, REAL, 1, 1, 1, 0, 0, 0, 0,
, , 0, 0, 0, 0, 0.01, 0.01, 0
, , 0, 0,
CONNECT SERVICE エントリは、ユーザ定義のサービスのサービス ID とサービス名を定義します。このエントリは、Helius PFA のユーザ材料サブルーチン ライブラリに接続するために、上記のように定義する必要があります。GENUDS および MATUDS エントリは、CONNECT SERVICE エントリで定義されたサービス ID を参照します。
GENUDS エントリは、荷重ケースの開始、増分の開始、増分の終了、および荷重ケースの終了時に、ユーザのサブルーチンに材料データを渡すように MSC Nastran に指示します。
MATUSR エントリは、ユーザ定義の材料モデルを定義します。9034 は、材料フォルダにある HPFAMatDB.xml ファイル内で見つかった材料 ID 番号を表します。材料 ID 番号の詳細については、「付録 E」を参照してください。番号 1 は、ユーザ定義の座標系で指定される材料の応力とひずみを MSC Nastran に指示します。番号 23 は、変形勾配、回転、および伸張比をユーザ サブルーチンに渡すように MSC Nastran に指示します。
MATUDS エントリは、Helius PFA で使用する拡張された材料モデルを定義します。9034 は、材料フォルダにある HPFAMatDB.xml ファイル内で見つかった材料 ID 番号を表します。MATUSR フィールドは、材料エントリ名を MSC Nastran に指示します。hpfa フィールドは、CONNECT SERVICE ステートメントに使用されるグループ名を MSC Nastran に指示します。UMAT は、エントリに関連付けられているユーザ サブルーチン名を MSC Nastran に指示します。REAL キーワードは、次に続くデータに real の文字タイプがあることを示します。次に続くフィールドは、指定された材料に対するユーザ材料定数を表します。材料に使用するマルチスケールの構成関係の正確なフォームを決定するために、ユーザ材料定数は Helius PFA のユーザ材料サブルーチンによってまとめて使用されます。
注: 個別の MATUSR と MATUDS エントリが、解析で使用する各 Helius PFA 複合材料に対して必要です。
ユーザ材料定数
どの Helius PFA 材料でも、ユーザ材料定数の数は、3~16 の範囲内である必要があります。最初の 3 つのユーザ材料定数は、Helius PFA のすべての材料で必要です。「付録 A」には、各ユーザ材料定数の詳細な説明があり、各定数の許容値の範囲、各材料を表すために使用するマルチスケール構成関係に各定数が与える影響などを参照できます。Helius PFA を使用した解析でよく定義される各ユーザ材料定数のリストと簡単な説明を次に示します。
- 単位系: この 1 番目のユーザ材料定数は、構成関係と応力の計算に使用するべき単位系を指定します。上記の例では、1 番目のユーザ材料定数の値は 1 で、Helius PFA では構成関係と応力を既定の単位系(N/m/K)で計算する必要があることを示しています。この他にカスタム(ユーザ定義)の単位系に加えて、3 つの単位系があり(2 -> N/mm/K、3 -> lb/in/R、4 -> lb/ft/R)、1 番目のユーザ材料定数に特定の値を指定して要求することができます。カスタム単位系の定義の詳細については、「HIN ファイル」セクションを参照してください。
- 主要材料座標系: Helius PFA では、複合材料の主要材料座標系で構成関係を示し、応力を計算します。この 2 番目のユーザ材料定数は、使用する主要材料座標系の特定の方向を指定します。
- 一方向ミクロ構造: 既定の主要材料座標系は、繊維方向と一致する '1' 方向に設定され、'2'、'3' 方向は横等方性の材料平面内に配置されます。この既定の主要材料座標系の方向は、2 番目のユーザ材料定数値を 1 に設定することで選択されます。しかし、モデル作成プロセスに利便性を加えてシンプルにする目的で、'2' 方向を繊維方向に一致させ、'1'、'3' 方向が横等方性の材料平面内に配置されるように、主要材料座標系の方向を変更することができます。この主要材料座標系の代替方向は、2 番目のユーザ材料定数値を 2 に設定することで選択されます。一般に、2 番目のユーザ材料定数の数値は、繊維方向と一致している特定の主要材料軸を示します。
- 織物ミクロ構造: 既定の主要材料座標系は充填けん引方向と一致する '1' 方向に設定され、'2' 方向は反りけん引方向に対応し、'3' 方向 は面外方向に対応しています。この既定の主要材料座標系の方向は、2 番目のユーザ材料定数値を 1 に設定することで選択されます。しかし、モデル作成プロセスに利便性を加えてシンプルにする目的で、'2' 方向を充填けん引方向に一致させ、'1' 方向を反りけん引に対応するように、主要材料座標系の方向を変更することができます。この主要材料座標系の代替方向は、2 番目のユーザ材料定数値を 2 に設定することで選択されます。さらに、'3' 方向を充填けん引方向に一致させ、'2' 方向を反りけん引に対応するように、主要材料座標系の方向を変更することができます。この主要材料座標系の特定の方向は、2 番目のユーザ材料定数値を 3 に設定することで選択されます。一般に、2 番目のユーザ材料定数の数値は、充填けん引方向と一致している特定の主要材料軸を示します。
- 進行性破損解析: この 3 番目のユーザ材料定数は、製品の進行性破損解析機能をアクティブまたは非アクティブにします。進行性破損機能をアクティブにして、破損が選択した破損基準で予測された場合、Helius PFA では選択した損傷の進展方法に基づいて、要素の剛性が劣化されます。この機能を非アクティブにした場合は、解析全体を通じて要素の剛性は一定のままになります。通常、これは線形解析と呼ばれます。
- 一方向ミクロ構造: 1 の値で進行性破損解析機能がアクティブになり、0 (ゼロ)の値で進行性破損解析機能が非アクティブになります。
- 織物ミクロ構造: 0 (ゼロ)の値で進行性破損機能が非アクティブになります。1 の値で進行性破損機能がアクティブになり、破損した材料特性を計算するために、材料データ ファイルからの母材と繊維の劣化レベルが使用されます。2 の値で進行性破損機能がアクティブになり、破損した材料特性を計算するために、12 番目と 14 番目のユーザ材料定数で指定された母材と繊維の劣化レベルが使用されます。平織物に対して 2 の値を選択すると、織物材料ごとに前処理時間が約 45~60 秒長くかかります。値が 1 の場合は、破損した材料特性は既に材料ファイルに格納されているため、前処理の実行時間は長くなりません。
- 破損前非線形性(MCT 破損基準を使用した一方向複合材料のみでオプション): この 4 番目のユーザ材料定数は、製品の破損前非線形性機能をアクティブまたは非アクティブにします。1 の値で破損前非線形性機能がアクティブになり、既定値の 0 (ゼロ)では破損前非線形性機能が非アクティブになります。破損前非線形性機能をアクティブにした場合、Helius PFA では、通常、一方向繊維強化複合材料に発生する非線形縦方向のせん断応力/ひずみ応答を明示的に考慮します。破損前非線形性機能は、母材構成材料の縦方向せん断剛性で一連の個別の低減を引き起こし、複合材料の非線形縦方向のせん断応答が実験測定データとよく一致するようになります。破損前非線形性機能は、複合材料の縦方向せん断弾性率にのみ影響を与えます(つまり
対
、および
対
)。他の 4 つの複合材料の応力とひずみ成分の応答は、この機能によって影響は受けないことに留意してください。また、破損前非線形性機能によって、複合材料破損時のせん断応力レベルは変更されませんが、破損前の複合材料の縦方向せん断変形が全体的に増加する結果となります。
- 損傷の進展方法: この 5 番目のユーザ材料定数では、瞬間的またはエネルギー ベースの損傷の進展方法を選択できます。0 (ゼロ)の値で瞬間的な劣化がアクティブになり、2 の値でエネルギー ベースの劣化がアクティブになります。
- 静水圧による強化(MCT 破損基準を使用した一方向複合材料でオプション): この 6 番目のユーザ材料定数は、製品の静水圧による強化機能をアクティブまたは非アクティブにします。1 の値で静水圧による強化機能がアクティブになり、既定値の 0 (ゼロ)では静水圧による強化機能が非アクティブになります。静水圧による強化機能をアクティブにした場合、Helius PFA では、実験で観察される静水圧縮応力の存在による複合材料の強化を明示的に考慮します。母材構成の静水圧縮応力がしきい値を超えている場合は、母材構成と繊維構成両方の強度は、母材構成内の静水圧縮応力レベルに等しいレベルまで増加されます。
- 温度: この 7 番目のユーザ材料定数は、解析で使用する材料データ ファイル(mdata ファイル)の環境に対応する温度値を指定するために使用されます。たとえば、mdata ファイルに 600、650、700 R という特性の環境がある場合、7 番目の定数値は 650 となり、650 R に格納されている特性が解析に使用されます。温度値を含水率フラグ(ユーザ材料定数 16)と一緒に使用して、解析に使用する環境を完全に指定します。mdata ファイルに 1 組の特性が含まれている場合、7 番目のユーザ材料定数を空白にしておくことができます。
7 番目のユーザ材料定数値を -1.0 に設定すると、温度依存機能がアクティブになります。温度依存をアクティブにした場合、材料ファイルに保存している最低/最高温度点の境界内にある任意の温度に対して、複合材料と構成の特性を線形補間します。保存している最低温度データムより低い温度は、Helius PFA では最低温度データムで保存されている材料特性を使用します(保存している温度データ点の境界を超えて特性を外挿することはありません)。保存されている最高温度データムより高い温度も同様に処理されます。Helius PFA の温度依存材料特性の使用の詳細については、「理論マニュアル」を参照してください。
- 破損基準フラグ: この 8 番目の材料定数は、複合材料の破損開始の評価に使用する基準を指定します。一方向複合材料に有効な値は次のとおりです。
-1. ユーザ
0. MCT
1. 最大応力
2. 最大ひずみ
3. Tsai-Hill
4. Tsai-Wu
5. Christensen
6. Hashin
7. Puck
8. LaRC02
平織物複合材料の基準フラグに使用できる値は次のとおりです。
-1. ユーザ
0. MCT
1. 最大応力
2. 最大ひずみ
- 補助基準パラメータ 1: このユーザ材料定数 9 は、一部の補助破損基準パラメータを指定するために使用します。Tsai-Wu を選択した場合、この定数はクロス積項、f* を表します。Hashin を選択した場合、この定数は縦方向せん断応力の繊維破損基準、α への寄与を表します。
- 補助基準パラメータ 2: このユーザ材料定数 10 は、一部の補助破損基準パラメータを指定するために使用します。Tsai-Wu を選択した場合、この定数は破損時のオプションの等二軸応力(σ11 と σ22 の組み合わせ)を表します。この値が不明の場合は、ゼロのままにしておくことができます。
- 平均要素厚さ/劣化時間: これはユーザ材料定数 11 です。エネルギー ベースの劣化を使用した解析では、この値は、材料に関連付けられている 3D (ソリッド)要素の平均要素厚さを表します。平均要素厚さをソリッド要素で使用して、単層平面にある要素の領域を表す代表的な要素の長さを計算します。2D 要素(シェル要素および平面応力要素)ではこの値は無視されるため、1.0 として入力する必要があります。
注: 平均要素厚さは、エネルギー ベースの劣化を使用した解析でのみ使用できます。エネルギー ベースの劣化を使用しない解析では、この値は無視されます。
注: 平均要素厚さは、一方向複合材料でのみ使用できます。この 11 番目のユーザ材料定数は、織物複合材料では無視されます。
- 母材破損後剛性/母材劣化エネルギー: エネルギー ベースの劣化を使用しない解析では、この 12 番目のユーザ材料定数は、母材の構成破損発生後の母材構成の損傷したヤング率の定義に使用される割合です。具体的には、この値は破損した母材構成係数と破損していない母材構成係数との比率です。0.1 の値は、積分点で母材破損が発生した後、6 つの母材構成係数(
、
、
、
、
、
)がすべて元の損傷していない母材構成係数の 10% にまで低減したことを意味します。母材破損後剛性値は 0 (ゼロ)より大きく、1 以下である必要があります。既定では母材破損後剛性値は 0.1 に設定されています。
エネルギー ベースの劣化を使用した解析の場合、この値は破損イベント後に複合材料剛性の線形劣化があると仮定して、母材破損前後のエネルギー散逸量の合計を示します。具体的には、複合材料の
、
、
、
、
が母材破損イベント後に、このエネルギー、繊維破損時の複合材料の応力状態、および要素の体積に基づいて劣化します。
注: 織物複合材料で母材破損後剛性が指定されている場合、3 番目のユーザ材料定数(進行性破損解析)の値を 2 に設定する必要があります。3 番目の定数値を 1 に設定した場合、12 番目のユーザ定数は無視されます。
- 繊維破損後剛性: 瞬間的な劣化を使用した解析では、この 13 番目のユーザ材料定数は、繊維の構成破損発生後の繊維構成の損傷したヤング率の定義に使用される割合です。具体的には、この値は破損した繊維構成係数と破損していない繊維構成係数との比率です。0.01 の値は、積分点で繊維破損が発生した後、6 つの繊維構成係数(
、
、
、
、
、
)がすべて元の損傷していない繊維構成係数の 1% にまで低減したことを意味します。繊維破損後剛性値は 0 (ゼロ)より大きく、1 以下である必要があります。繊維破損後剛性の既定値は、自動的に 1E-06 に設定されます。
注: 織物複合材料で繊維破損後剛性が指定されている場合、3 番目のユーザ材料定数(進行性破損解析)の値を 2 に設定する必要があります。3 番目の定数値を 1 に設定した場合、13 番目のユーザ定数は無視されます。
- 繊維劣化エネルギー: エネルギー ベースの劣化を使用した解析では、この 14 番目のユーザ材料定数は、繊維破損イベント前後に複合材料剛性の線形劣化があると仮定して、繊維破損に対するエネルギー散逸量の合計を示します。具体的には、複合材料の
、
、
が、このエネルギー、繊維破損時の複合材料の応力状態、および要素の体積に基づいて線形に劣化します。
- ユーザ材料定数 15: 15 番目の定数は未使用です。
- 含水率: この 16 番目のユーザ材料定数は、解析で使用する材料データ ファイル(mdata ファイル)の環境に対応する含水率フラグを指定するために使用されます。この定数の値は、[環境]には 0 (ゼロ)、[乾性]条件には 1、[湿潤]条件には 2 を設定する必要があります。たとえば、mdata ファイルに[環境]、[乾性]、[湿潤]という特性の環境があり、16 番目の定数値を 1 に設定した場合、[乾性]含水率特性が解析に使用されます。含水率フラグを温度値(ユーザ材料定数 7)と一緒に使用して、解析に使用する環境を完全に指定します。mdata ファイルに 1 組の特性が含まれている場合、16 番目のユーザ材料定数を空白にしておくことができます。