バルブ ゲートの開閉の制御

ホット ランナー システムに関連付けられたバルブ ゲートの開閉を制御するには、バルブ ゲート コントローラが必要です。バルブ ゲートに対する制御を強めるほど、成形品の外観は向上しますが、システムのコストも上昇します。

バルブ ゲートはすべて同時に、または順次開くことができます。 一部のコントローラは、連続充填機能のない通常の成形機に適しています。複数のゲートのある長い成形品の場合、溶解樹脂が通った後、ゲートを順次開くと、無制御のプラスチック フローで生じることがある外観不良が排除されます。

順次または同時に開くバルブ ゲートのほか、瞬時に開くバルブ ゲートもあります。また、一部のバルブ ゲートは、速度を制御した状態で開くようにプログラミングすることで、溶解樹脂のキャビティへの初期流動を遅くして、瞬時バルブ ゲート開に関連する圧力ピークやフロー マークを減らすことができます。制御したバルブ ゲートの開と順次バルブ ゲート設定を組み合わせると、品質が最も高い成形表面が実現します。

このリリースでは、バルブ ゲートの開閉速度を制御する機能を提供します。バルブ ゲートの開閉は既定で「瞬時」に設定されていますが、次のメッシュ タイプでは、バルブ ゲートの開閉速度を制御するためのオプションを使用できます。

速度制御されたバルブ ピンの動きをシミュレーションした場合のバルブ ピン形状

速度制御したバルブ ゲートのシミュレーションを設定する場合は、次のモデリング ガイドラインに従ってください。
  • バルブ ピン先端、つまり、完全に閉じたときにゲート管と接触する部分は、速度制御されたピンの動きに合わせてゲート管形状に従うものと見なされます。

    バルブ ピン先端

  • バルブ ピンの細い方の端部は、ゲートの端部とぴったり重なるものと見なされます。
  • ピンの公称直径は、バルブ ピンの直線部分に対して指定する必要があります。

    ピンの公称直径(A)

  • ピンの公称直径とゲート管形状で計算できないピン先端形状は無視されます。

バルブ ゲート モデリングのガイドライン

  • バルブ ゲートはホット ランナーのみで使用できます。
  • バルブ ゲートは、その初期状態(開または閉)に関わらず、バルブ ピンが開位置になった状態でモデリングする必要があります。これは、バルブ ゲート ビームの寸法の精度を確実にし、閉位置でモデリングした場合に、断面領域ゼロで生じることがある環状ビーム要素を排除するためです。
  • バルブ ゲートは、各ホット ドロップの単一のホット ゲート要素に割り当てる必要があります。ガスアシスト充填+保圧解析では、バルブ ゲートはオーバーフロー ウェル (Midplane モデルでは Midplane またはビーム要素を、3D モデルでは四面体要素を使用してモデリング) にも割り当てることが可能です。
  • バルブ ゲートは、射出位置と同じ要素に割り当てることはできません。バルブ ゲートを設定する前にフィード システムをモデリングするか、ゲートにその長さ方向に複数要素のメッシュが生成されていることを確認して、バルブ ゲートを成形品に接続するゲート要素に割り当てます。
  • バルブ ゲートは、対象要素のプロパティ ダイアログ ボックスの[バルブ制御]タブの[バルブ ゲート コントローラ]を選択し、ホット ゲートまたはオーバーフロー ウェル要素に割り当てます。バルブ ゲート コントローラに割り当てるプロパティでは、バルブ ゲートの初期状態と開閉タイミングを指定します。
  • 各バルブ ゲート コントローラには、識別のために一意の名前を指定する必要があります。同一のバルブ ゲート コントローラを複数のホット ゲートまたはオーバーフロー ウェル要素に割り当てることができます。各ゲートで適切なコントローラを確実に設定するには、各バルブ ゲート コントローラとゲート要素に対して異なるプロパティ名を使用します。
  • バルブ ゲート コントローラは独立して作動します。1 つのバルブ ゲートには、他のバルブ ゲートにフロー フロントが到達したときに、閉じる機能はありません。