イメージを扱うときには、ディスプレイで適切に表示されるように、作業スペースのイメージを変換する必要があります。これにはモニタ変換の定義と、その後の作業スペースからの変換が関わります。また、モニタを定期的にキャリブレーションする必要があります。
モニタの変換を定義する
display/ フォルダには、アプリケーションのプリファレンスまたは SynColor 構成ファイルで graphicsMonitor エイリアス(および適切な場合には broadcastMonitor エイリアス)として定義できる変換が含まれています。
このフォルダの変換の代わりとして、graphicsMonitor または broadcastMonitor エイリアスとして ICC (International Color Consortium)プロファイルを使用することもできます。ICC プロファイルは、コンピュータ業界でのモニタのカラー管理の標準的な方法です。これは特にオペレーティング システムに統合されている MacOS および Windows に当てはまりますが、Linux でも通常は指定されたモニタ用の ICC プロファイルを得ることができます。サードパーティのモニタ キャリブレーション製品も、通常は ICC プロファイルを生成します。
ICC プロファイルはこのように一般的なため、モニタの変換として ICC プロファイルを使用することは便利なだけでなく、(Adobe 製品などの) ICC カラー管理を使用する別のソフトウェアとの相互運用が行いやすくなります。
作業スペースから変換する
graphicsMonitor および broadcastMonitor エイリアスを定義すると、currentMonitor エイリアスを参照する表示変換を適用できるようになります。currentMonitor エイリアスは、描画先のディスプレイに応じて graphicsMonitor または broadcastMonitor を使用します。
次の変換を使用することができます。
- display/broadcast/HD-video_to_current-monitor
- display/CIE-XYZ_to_current-monitor
- film/ADX/ADX10_to_current-monitor
- film/ADX/ADX16_to_current-monitor
- RRT+ODT/ACES_to_current-monitor
これらの変換のいずれかでイメージが適切な作業スペースにない場合、必要な変換を行うカスタム .ctf ファイルを書き出すことができます。
- イメージがシーンリニアで ACES にない場合、ACES に変換して ACES_to_current-monitor に適用することができます。たとえば、シーンリニア ProPhoto 値での作業を行っている場合、primaries/ フォルダの ProPhoto-RIMM_to_CIE-XYZ、CIE-XYZ_to_ACES の順に使用して、ACES_to_current-monitor に適用します。
- イメージがログ スペースにある場合、film/ フォルダのいずれかの変換を適用して、上記のようにシーンリニアから変換する前に、シーンリニアに変換します。
- イメージがビデオエンコードされている場合、CIE XYZ に変換してから display/CIE-XYZ_to_current-monitor 変換を使用します。
- DCDM を表示するには、display/DCDM ディレクトリから DCI_to_CIE-XYZ を適用し、次に CIE-XYZ_to_current-monitor を適用します。DCDM で別のクリエイティブ白色点が使用された場合は、DCI-D60_to_CIE-XYZ など別の変換を使用する必要がある場合があります。
モニタをキャリブレーションする
表示されるイメージが意図されたカラーを正確に表現するために、モニタをキャリブレーションする必要があります。モニタの応答は使用時間とともに変動するため、キャリブレーションは定期的に行う必要があります。
キャリブレーションに関連する、2 つのコンピュータ モニタのクラスがあります。
- 一部のハイエンド モニタには、内部キャリブレーション回路があります。これらのモニタはキャリブレーションを行って、異なる原色のセットを使用する別のモニタをエミュレートすることができます。目的に応じてこれらのモニタを調整するには、製造元のソフトウェアを使用します。
- その他のモニタはサードパーティ製品を使用して外部でキャリブレーションを行い、モニタ変換として使用できる ICC プロファイルを生成する必要があります。
広範囲なモニタでビデオ カラー スペースのビデオ成果物を扱う場合、最終的な出力の正確なプレビューを得るには 2 つの方法があります。
- モニタに内部キャリブレーション回路がある場合は、ビデオの目的に合わせてキャリブレーションできます。たとえば HD ビデオの場合、モニタを Rec.709 原色、D65 白色点、2.4 ガンマにキャリブレーションできます。この場合は、ディスプレイにカラー管理を適用する必要がありません。
- または、広範囲な目的のためにモニタをキャリブレーションしたまま、display/broadcast/ フォルダの HD-video_to_current-monitor 変換を表示変換として使用できます。
オートデスク システムをキャリブレーションする
EIZO モニタに付属するオートデスクのクリエイティブ フィニッシング製品では(CG245、CG246、CG277)、キャリブレーションに製造元のソフトウェアを使用できます。display/Eizo フォルダのモニタ変換は、モニタが出荷時の既定(ネイティブ原色、D65 白色点、ガンマ 2.2)にキャリブレーションされていることを前提としています。
ただし、これらは広範囲なモニタのため、別の目的用にキャリブレーションする必要がある場合もあります。この場合、その目的が作業スペースと異なる場合には、作業スペースからモニタの現在の目的に変換するカラー変換を適用する必要があります。
旧バージョンのオートデスク クリエイティブ フィニッシング システムには、「Lustre カラー管理ユーザ ガイド」に記載されている手順を使用してプローブに依存するモニタがあります。これらのモニタの既定の設定は異なる可能性があります。