ゲートにはさまざまな構成がありますが、ゲートの切断方法によって、手動切断ゲートと自動切断ゲートの 2 つに大きく分類できます。手動切断ゲートは、オペレータが 2 次処理中にランナーから成形品を分離する必要があります。
ダイレクト ゲートは通常、1 個取り金型に使用されます。このゲートでは、スプルーを通過した材料が、最小限の圧力降下で急速にキャビティに直接供給されます(下図を参照)。
このタイプのゲートを使用する場合の欠点は、スプルーの切断後、成形品表面にゲート跡が残ってしまうことです。固化状態は、ゲートの厚みではなく、成形品肉厚によって決定されます。通常、スプルー ゲート付近の成形品の収縮は小さく、スプルー ゲート内の収縮は大きくなります。この結果、ゲート付近の引張応力が高くなります。
寸法:
スプルーの開始直径は、成形機のノズルによって決定します。スプルーのオリフィス直径は、ノズル出口の直径より約 1 mm 大きく設定する必要があります。標準的なスプルーでは、0.5 度~1.5 度の勾配角度(1.0 度~3 度のテーパー角度)を設定できます。一般的な勾配角度は約 1.2 度(1 フィート当り 1/2 インチのテーパー角度)です。したがって、スプルーのオリフィス直径と長さが、成形品に接続するスプルーの直径を決定します。通常、スプルーの直径は、成形品肉厚の 2 倍を大幅に上回り、成形サイクル タイムを左右します。
勾配角度が小さいと(最小値 1 度)、突出時にスプルー ブッシュからスプルーが放出されないおそれがあります。勾配角度が大きいと、材料の浪費、冷却時間の延長が起きます。
非標準的なスプルー テーパーは機械加工が高価で、利点もほとんどありません。
ディスク ゲートは多くの場合、円筒状またはドーナツ状の成形品のゲート処理に使用します。このゲートは、同心度が重要な寸法要件となっており、さらにウェルド ラインの発生を防止する場合に効果的です。このゲートは、一般的に成形品からの切断が困難で高価です。
下図に示すように、ディスク ゲートは、成形品のエッジの内側周辺に狭いゲート ランドを設けるため、ゲート切断が容易になります。ディスクには同心スプルー(またはホット ドロップ)から樹脂が供給されるので、ゲートからすべての成形品への均一な流動の維持が容易になります。
寸法:
ゲートの標準的な厚み(H)は、0.2~1.3 mm です。
エッジ ゲートは金型のパーティング ライン上に配置されます(下図を参照)。ゲート断面は矩形で、成形品とランナー間の幅または厚みに勾配を設けることができます。
寸法:
ゲートの標準的な厚み(H)は成形品肉厚の 25%~75% で、幅は厚みの 2 倍~10 倍です。ゲート ランドは短くするのがよく、通常の長さは 0.5~1.0 mm です。大型の成形品では、ゲート ランドの長さも長くなります。
ファン ゲートは、厚みに変化のある幅の広いエッジ ゲートです。大きな入口領域から大規模な成形品または金型のぜい弱部への高速充填が可能です。ファン ゲートは、反りや寸法の安定性が主な懸念事項の場合、幅広い成形品へ均一なフロー フロントを形成するために使用します。
下図に示すように、次を確実にするために、ファン ゲートは幅または厚みに勾配があります。
寸法:
一般的に、優れた設計のファン ゲートでは、2.0 mm 以下の狭いゲート ランドが設定されます。多くの場合、ゲート ランドは非常に狭く、1 mm 以下です。標準的なゲートの幅は成形品の幅と等しい 25 mm です。
ゲート本体の中心部は薄く、エッジ部で厚くなっており、外側のエッジへの流動を促進します。
フィルム ゲートは、直線ランナーとゲート ランドで構成されます。ゲート ランドは、キャビティの幅全体、またはキャビティの一部にまたがります(下図を参照)。
このゲートはファン ゲートと同じ目的で使用されますが、実現はより困難となります。狭いゲート ランドには、ためらいが発生する領域があり、ランドの厚み、ランナーの直径、および流量に非常に大きな影響を受けます。
寸法:
標準的なゲート サイズは小さく、厚み(H)は約 0.2~1.0 mm です。ランド面積(ゲートの長さ(L))も小さくする必要があり、通常、1 mm 未満です。
オーバーラップ ゲートはエッジ ゲートに類似していますが、ゲートの一部が成形品と重なります(下図を参照)。
寸法:
ゲートの標準的な厚み(H)は成形品肉厚の 25%~75% で、幅は厚みの 2 倍~10 倍です。ゲート ランドは短くするのがよく、通常の長さは 0.5~1.0 mm です。大型の成形品では、ゲート ランドの長さも長くなります。
リング ゲートの場合、材料がコアの回りを自由に流れてから、均一なチューブ状の押し出しとして、金型に流れ込み充填します(下図を参照)。
寸法:
ゲートの標準的な厚み(H)は、0.2~1.5 mm です。
スポーク ゲート(4 ポイント ゲートまたはクロス ゲートとも呼ばれる)を下図に示します。このゲートはチューブ状の成形品に使用され、ゲート切断が容易で、材料を節約できます。このゲートの欠点は、ウェルド ラインが発生する可能性があること、および完全な円形は実現できないという点です。
寸法:
ゲート断面は、エッジ ゲートのように矩形にして同様な寸法を設定できます。または、円形の断面にして円形テーパー ゲートと同様な設定ができます。
タブ ゲートは、一般的に、光学部品のように低いせん断応力が要求される成形品で使用されます。ゲート付近に発生する高いせん断応力を付属タブに閉じ込めます。このタブは成形後に切断されます。タブ ゲートは、PC、アクリル、SAN、ABS の各材料の成形において多用されています(下図を参照)。
寸法:
タブの標準的な最小幅(W)は、5 mm です。タブの標準的な最小厚み(H)は、キャビティの奥行きの 75% です。