十分に冷却したプラスチック成形品を金型から突出可能とするために、金型表面に抜き勾配処理が必要な場合があります。
下図の金型には、赤色で示した面に抜き勾配が設けられていません。成形品をエジェクタ ピンで押して金型から外すには、金型面とプラスチック成形品との間に存在する摩擦力よりも大きい力を成形品にかける必要があります。
次のアニメーションで示すように、金型面に抜き勾配処理をしていない場合、突出プロセスを通じて摩擦抵抗がかかり続けます。プラスチック成形品に抜き勾配がない場合、金型から成形品を突き出せなくなることもあります。成形品を突き出せたとしても、その過程で成形品表面に傷が付き、外観不良品となることもあります。
下図の金型には、赤色で示した面に抜き勾配が設けられています。
次のアニメーションで示すように、成形品をエジェクタ ピンで押して金型から外す際、摩擦による初期抵抗がありますが、この摩擦は成形品が移動するときにはゼロまで低減します。成形品の表面仕上に応じて、高度に磨かれた表面に対しては 1.5°の抜き勾配、粗いレザー状の表面に対しては 6°~ 8°の抜き勾配を設けることで、金型から成形品を容易に突き出すことが可能になります。