オーバーモールディングは、2 つの材料が一緒に成形される射出成形プロセスです。オーバーモールディングのタイプには、2 ショット連続オーバーモールディング、マルチ ショット射出成形、またはインサート オーバーモールディングがあります。
- マルチ ショット射出成形では、同じ成形サイクルでキャビティに複数の材料が射出されます。
- インサート オーバーモールディングでは、2 番目の材料を射出する前に、事前に成形されたインサートを金型内に配置します。
- 2 ショット連続オーバーモールディングでは、成形機が 1 番目の材料を閉じたキャビティに射出した後、その金型またはコアを移動して、別の材料を使用する第 2 ショット用のインサートとして第 1 コンポーネントを使用して、第 2 のキャビティを作成します。
オーバーモールディング解析は、2 ステップのプロセスから構成されます。まず、第 1 キャビティで
充填+保圧解析が実行され(第 1 コンポーネント段階)、次に、オーバーモールディング キャビティで
充填+保圧解析または
充填+保圧+反り解析が実行されます(オーバーモールディング段階)。第 2 キャビティにおけるオーバーモールディング段階では、第 1 コンポーネント段階とは異なる材料を使用します。第 1 コンポーネント段階で射出されるインサートの温度は均一ではないため、オーバーモールディング段階で使用される金型と樹脂の温度は、第 1 コンポーネント段階終了時に記録された温度で初期化されます。
注: オーバーモールディング段階で第 2 材料が射出されたとき、第 1 コンポーネント段階で射出された材料は、温度は上昇しても、さらに溶融および流動はしないと仮定します。
通常、接合が可能な材料が特に選択されます。2 番目の材料の射出から発生する熱を利用して接合されます。これにより、接着剤の使用や完成品のアセンブリが不要となります。強固で高品質な仕上がりの複数材料の成形品の作成が可能となります。オーバーモールディング成形品の設計では、均一で強固な接合を確実にするために、インサートおよびオーバーモールディング コンポーネント両方の肉厚が可能な限り均一であることが必要です。リブおよび鋭角のコーナーの使用を避けて、流動の問題を低減させます。
ヒント: 成形品をモデリングをする際に、第 1 コンポーネント段階とオーバーモールディング段階を 2 つのスタディに分割して作成した方が容易な場合があります。次に、これらの 2 つの段階を 1 つのモデルに結合します。
オーバーモールディング成形品は、単一ショット射出成形品よりも冷却に時間を要し、冷却システムの効果も低くなります。インサートは絶縁体として機能し、成形品からの除熱効果は低減されます。しかし、冷却システムを最適化することによりサイクル タイムを短縮できます。
注: 成形品インサートを含む 3D モデルにおけるオーバーモールディング コンポーネントの反り解析では、成形品インサートとオーバーモールディング コンポーネントが完全に接触(密着)していると仮定して計算します。