第 9 章:境界条件の割り当て

前へ: 演習 2 | 次へ: 演習 3

前の章では、デザインスタディ内で材料を割り当て、作成、管理する方法について紹介しました。この章では、設計が周囲環境とどのように相互動作するかについて見ていきます。流速、圧力、温度等の境界条件を開口部や特定の位置に適用することにより、設計を外の世界と「接続する」ことになります。さらに、境界条件を使って電子機器の熱管理シミュレーションで見られるような熱散逸等、内部熱荷重を指定することも可能です。

境界条件は、シミュレーションモデルの入力を定義します。流速や体積流量などの条件は、流体がモデルにどのように入り、出て行くかを定義します。熱伝達率や熱流束など、モデルとその周囲とのエネルギーの交換を定義する条件もあります。

境界条件はまた、シミュレーションモデルをその周囲と連携させます。境界条件が指定されていない場合、シミュレーションは定義されず、ほとんどの場合続行できません。ほとんどの境界条件は、定常状態または過渡状態として定義できます。定常状態の境界条件は、シミュレーション全体を通じて不変です。過渡状態の境界条件は時間とともに変化します。イベントや周期的現象によく用いられます。

注: 流れおよび熱は、指定された位置からモデルに入り、モデルから出ます。境界条件を持たない外部サーフェスは、断熱壁(流れも伝熱もない)と見なされます。

境界条件の使用

境界条件を割り当てるには

まず、設定(タブ)> セットアップタスク(パネル)(A)またはデザインスタディ バー(B)から、境界条件タスクを選択します:

モデルの近くで作業するには:

  1. モデル エンティティ(サーフェスまたは部品)上で左クリックします。
  2. 状況依存ツールバー上で編集ボタンをクリックします。
  3. 境界条件イック編集ダイアログで設定を指定します。

または、モデル エンティティまたはデザイン スタディ バーのブランチ上で右クリックし、[編集]をクリックします。

モデルから離れて作業するには:

  1. モデル エンティティ(サーフェスまたは部品)上で左クリックして選択します。
  2. 境界条件パネルで編集をクリックします。
  3. 境界条件イック編集ダイアログで設定を指定します。

クイック編集ダイアログで境界条件を指定するには:

  1. 条件の種類を設定します。
  2. 単位を設定します(該当する場合)。
  3. [時刻の変化]を設定します([定常解析]または[非定常解析])。
  4. 流速に垂直速度または速度成分、あるいは圧力に静圧またはゲージ圧など条件に固有の設定を適用します。流速、体積流量、質量流量の流れの方向を変更します。
  5. 値を指定します。
  6. 適用をクリックします。

境界条件の定義と適用を行うには

もう1つのワークフローが境界条件をモデルに適用する前に作成する方法です。

  1. 境界条件状況依存パネルで編集をクリックします。または、デザインスタディバーの境界条件ブランチを右クリックし、新規境界条件...を選択します。
  2. 境界条件クイック編集ダイアログで境界条件を定義し、適用をクリックします。
  3. 未適用の設定をデザインスタディバーから、モデル エンティティ上にドラッグします:

注: 現時点で他のオブジェクトに割り当て済みの設定を割り当てるには、デザインスタディバーからモデルエンティティにドラッグします。

境界条件を削除するには

特定のエンティティから境界条件を削除するには(複数の方法):

複数のエンティティから 1 つの境界条件を削除するには:

  1. デザインスタディバーの境界条件ブランチを展開します。
  2. 削除する条件を右クリックします。
  3. 削除をクリックします。

すべての境界条件を削除するには:

  1. デザインスタディバーの境界条件ブランチを右クリックします。
  2. すべて削除をクリックします。

流れ境界条件

流れ境界条件は次のような問いに答えるものです。

流れはいくつかの方法で駆動されます。

流れ境界条件は外部サーフェスに適用され、通常次を含みます。

流入口

流出口

流量

Pstatic = 0

P static = 0

流量

Pstatic > 0

Pstatic = 0

外部ファン(押し込み)

Pstatic = 0

Pstatic = 0

外部ファン(引き出し)

Pstatic = 0 (内部ファン)

Pstatic = 0

最もよく使用される流れ境界条件

流速

  • 流速は流入口境界条件としてよく使われます。
  • 選択されたサーフェスに対して垂直または直交座標系成分で指定します。
  • 流速は向きをモデルの外側方向に定義すれば流出口に適用できます。
  • 完全に発達した流れプロファイルを流速条件に指定するには、十分に発達したをチェックします。

体積流量

  • 平坦な流入口(場合によっては流出口)に適用します。
  • これは密度が一定である場合に便利です。
  • 完全に発達した流れプロファイルを体積流量条件に指定するには、十分に発達したをチェックします。

質量流量

  • 主に流入口(平坦のみ)に適用されます。
  • 質量流量は適用された方向がモデル外の場合流出口に適用できます。

圧力

  • 圧力境界条件は通常流出口条件として使用されます。
  • 推奨される(そして最も便利な)流出口条件は、静的、ゲージ圧力で値が0の条件です。
  • 流出口にこれ以外の条件は必要ありません。
  • 装置を通る際の圧力損失がわかっている場合、圧力損失を流入口に(静的ゲージ圧として)指定し、静的ゲージ圧0を流出口に指定します。

スリップ/対称

  • スリップ条件は、通常壁でストップする流れを壁面に沿って流れるようにします。
  • ただし、流体は壁を通って流れることはできません。
  • スリップ壁面は、対称面を定義する際にも役立ちます。
  • 対称サーフェスは、座標系に対して平行である必要はありません。

Autodesk® CFD には他にも使用できる流れ境界条件があります。上に上げたものは最もよく使用されるタイプです。ここをクリックして Autodesk® CFD で使用されるすべての流れ境界条件の説明を表示

伝熱境界条件

熱は既知の温度、熱荷重(半導体チップなど)、輻射、電流への抵抗により発生します。熱境界条件は次のような問いに答えるものです:

注: Autodesk® CFD で熱伝達を解析するには、モデルに温度を指定していなければなりません。これは温度として指定することも、熱伝達率境界条件として指定することも可能です。

最もよく使用される熱伝達境界条件

温度

  • 伝熱解析を実行する場合、温度境界条件をすべての流入口に指定します。
  • 温度条件はほとんどの伝熱解析に推奨されます。
  • 温度は、圧縮性伝熱解析の流入口温度として使用します。

総熱流束(指定面積)

  • 総熱流束は、適用されたサーフェスに熱を直接加えるサーフェス境界条件です。
  • 総熱流束条件は直接適用します。(サーフェス面積で割らずに)
  • このことは、適用されたサーフェスの面積が変更された場合も、値を再計算する必要がないため便利です。
  • 総熱流束は外側壁面にのみ使用します。

熱伝達率

  • 対流条件としても知られるこの条件は、冷却効果をシミュレートするのに使用します。
  • 装置の外部の環境の効果をシミュレートするには、熱伝達率を外側サーフェスに適用します。
  • 外側サーフェスにのみ適用してください。

熱放射(輻射)

  • 輻射境界条件は、選択したサーフェスとモデル外部の熱源間の輻射伝熱計算をシミュレートします。
  • これは、熱源温度とサーフェス境界条件を使用し、一定の熱荷重にサーフェスをさらすという点において「輻射熱伝達率」です。

発熱量(部品単位)

  • 発熱量(部品単位)条件は、部品のボリュームで除算されない熱荷重です。
  • この境界条件は、部品のボリュームが変化した場合も値を調整する必要がないため、ほとんどの熱荷重アプリケーションに推奨される条件です。

Autodesk® CFD には他にも使用できる熱伝達境界条件があります。上に上げたものは最もよく使用されるタイプです。ここをクリックして Autodesk® CFD で使用されるすべての熱伝達境界条件の説明を表示

前へ: 演習 2 | 次へ: 演習 3

トレーニングのタイトル ページに戻る