次世代ソルバー

CFD2 の概要

Autodesk® CFD の解析効率を高める継続的な取り組みにより、新しいソルバーが開発されました。CFD 2016 では、このソルバーは「CFD2」と呼ばれ、制限された機能で利用できます。このソルバーを有効にするには、一連のフラグを変更する、または CFD 2016 のインストール フォルダに含まる構成ツールを使用して実行できます。Autodesk® CFD の将来のバージョンでも、CFD2 の開発は続行される予定で、CFD 2016 では初期プレビューとして提供しています。

CFD2 は、約 1000 万~5000 万要素を含む大規模なシミュレーション用に特別に設計されています。元のソルバーとは異なり、CFD2 はプロセス/スレッドのハイブリッドとして、各プロセスを複数のスレッド上で実行することが可能です。さらに、CFD 2 はキャッシュ パフォーマンスを最適化するように設計されています。CFD 2 では、複数の計算ノードを使用した場合に、大規模なモデルにおいて大幅に解析時間を高速化できます。単一の計算ノード上での小規模なモデルでのパフォーマンスは、既定の CFD ソルバーと同様です。

CFD2 のアーキテクチャは、複数の計算ノードで構成される、多数のプロセッサとクラスタを持つシステムに最適です。標準のネットワーク接続を使用するシステムで適切に機能します。インフィニバンドなどの高パフォーマンスの接続により、解析速度がさらに向上しますが、CFD2 の利点を利用する上で必須ではありません。

サポートされる機能

CFD2 では、CFD 2016 の限られた機能をサポートしています。

制約事項

次の機能項目は、CFD 2016 内の CFD2 ではサポートされていません。

  • 輻射
  • 圧縮性流れ
  • 2 次元モデル
  • k-ε 以外の乱流モデル
  • サーフェス部品
  • 可変材料特性
  • スカラー
  • 逆止弁材料デバイス
  • TEC 材料デバイス
  • 非ニュートン流体
  • PCB 材料デバイス
  • 回転領域
  • モニター ポイント
  • 節点熱源
  • 非定常の境界条件
  • 周期境界条件
  • モーション
  • 押出しメッシュ
  • キャビテーション
  • 湿潤空気
  • 煙の可視化
  • 水齢
  • 熱快適性
  • 熱交換器材料デバイス
  • 自由サーフェス

CFD2 ソルバーを有効にするには

CFD2 を有効にするには、主に次の 2 つのステップがあります。

CFD2 構成ウィザードを実行する

構成ウィザードは、CFD インストール フォルダ(Program Files¥Autodesk¥CFD 2016)内にあり、CFD2Config.exe と呼ばれます。このファイルを実行する権限がない場合は、システム管理者に問い合わせてサポートを得てください。

CFD2 には、単一ノードまたはクラスタ向けの 2 通りの構成方法があります。構成ステップとオプションは、選択した方法によって異なります。

単一ノード

Autodesk® CFD は、システム構成に基づいて、構成オプションを自動的に定義します。既定をそのまま使用するか、またはご使用のシステムに適切な構成オプションに変更します。

構成オプション

説明

ソケット/ノード

通常、計算ノード上のソケット数に設定します。1 つの MPI プロセスが各ソケットで起動されます。

コア/ソケット

通常、これはソケットごとの物理コア数で、MPI プロセスごとに呼び出される計算スレッド数を定義します。

ハイパースレッディング

ご使用のシステムがハイパースレッディングを採用している場合に有効にします。ハイパースレッディングはアフィニティ設定にのみが使用されます。いかなる作業の実行にも仮想コアはロードされません。

アフィニティ

アフィニティは、各計算スレッドを特定のコアにロックします。これにより、オペレーティング システムが使用するコアを決定する手間を省略できるため、パフォーマンスを向上させることができます。

収束の判断基準

これは、計算に使用する基準のカットオフを示します。0.01 の値がほとんどの解析に適しています

時間ステップサイズ

これは固定の疑似時間ステップ サイズを設定するために使用されますが、使用されることは稀です。

表示頻度

CFD2 を実行すると、[表示頻度]によって定義された反復間隔で CFD のユーザ インタフェースに結果を送信します。これにより、既定のソルバーと同様に、シミュレーションの計算中に結果を確認できます。

各反復後に結果を送信すると時間がかかるため、CFD2 とユーザ インタフェース間で効率的なコミュニケーションを実現するには、値を 10 に設定します。表示があまりにも速く更新されている場合は、[表示頻度]を 100 まで上げてコミュニケーションを低減できます。これにより、並列パフォーマンスも向上されます。

クラスタ

ステップ 1: ヘッド ノードおよびスレーブ ノードの IP アドレスを入力します。

ステップ 2: 構成オプションを定義します。Autodesk® CFD は、ご使用のシステム構成に基づいて、これらの設定を自動的に定義します。既定をそのまま使用するか、またはご使用のクラスタに適切な構成オプションに変更します。構成オプションは、ノード内コミュニケーションが追加されている以外は、単一ノードと同じです。

構成オプション

説明

ノード内コミュニケーション

ソケット経由で同じノード上のプロセス間で MPI メッセージが渡されます。これは一般的に必要とされるオプションではありませんが、ご使用のシステムで必要な場合に使用できます。

ステップ 3: ユーザ資格情報を入力します。これにより、MPI がユーザの資格情報を使用して、計算コンピュータにアクセスできます。

クラスタの実装に対して構成ウィザードを実行する場合、次のステップが発生します。

  1. HPCAnalyze フォルダが、CFD インストール フォルダ内に作成されます。このフォルダは、すべての計算ノードがこれにアクセスできるように、ネットワーク共有として定義されます。
  2. インストール フォルダ内の計算ノードは、ヘッド ノードであるとみなされます。
  3. CFD2_share_MPICH フォルダは、すべてのプロセスに同等なアクセスを提供するために、ネットワーク共有として作成されます。
  4. CFD2_config.dat ファイルが作成され、CFD_share_directory と HPCAnalyze_share_directory のフォルダが定義されます。
  5. 「nodes.txt」という名前のファイルが HPCAnalyze フォルダに書き込まれます。このファイルには、[構成オプション]ダイアログでソケット/ノード数が指定された計算ノードの IP アドレスが含まれています。
  6. ユーザの資格情報(ユーザ名とパスワード)は、HPCAnalyze¥cred.txt ファイルに格納されます。

フラグ設定を有効にして割り当てる

CFD2 を有効にするには、3 つのフラグを設定する必要があります。

フラグ

説明

dump_cfd2_flag

流れ解析のみの場合は、2 の値を割り当てます。

熱解析のみの場合は、4 を割り当てます。

結合された流れ解析および熱解析の場合は、6 を割り当てます。

これは CFD2 ソルバーに予想されるモデル データのタイプを指示します。

mesh_BLSimplex

1

CFD2 ソルバーはプリズム要素をサポートしないため、このフラグによりメッシャーは 4 面体のみを作成します。このフラグを使用しない場合、メッシャーは境界層メッシュ内にプリズム要素を作成します。

Split_Energy

流体要素および固体要素を含む流れおよび熱シミュレーションに対して 1 を設定

これにより、CFD2 ソルバーでサポートされない、流体/固体インタフェース間の節点の共有を防止できます。