前提:基礎が運動する多自由度振動系において、物体の質量が 225 kg、支持構造物の剛性が 35000 N/m、減衰率が 0.188 であるとします。基礎は正弦振動するものとし、その振幅は 0.28 cm、振動数は系の固有振動数であるとします。
|
実際の構造 基礎部分はこの構造物の固有振動数で振動します。 |
|
等価な模式図 k = 35000 N/m ζ = 0.188 振動解析に関する書籍での慣例にならって、質量および基礎の絶対運動を x および y で表します。位置を時間の関数として表す場合は、斜体の x および y を使用します。 |
値を特定する対象:
支持構造物は、その全体を詳細にモデル化する代わりに、トラス要素で表すことができます(トラス要素の剛性 k は A*E/L で与えられることに注意)。質量は、トラスの端部に作用する集中質量として表されます。運動する基礎は固定境界条件として表され、基礎の振動は擬似的に基礎励振または基礎の加速度で表されます。質量が作用するトラス要素の端部に境界条件を与えることにより、その質量の振動を軸方向に限定します。
[ステップ]
モデルを作成する:
[作成]
[ライン]を使用して、支持構造物を表すラインを追加します。[構造体として使用]チェック ボックスがオフになっていることを確認します。トラス要素は 3D であるため描画の向きは任意ですが、整合性を保つためにも、既存イメージの向きに合わせることをお勧めします。剛性の値 A*E/L が適切である限り、要素の長さは任意ですが、ここでは長さとして 2 cm を選択することをお勧めします。始点を(0,0,0)、次の端点を(0,0,2)としてラインを描画します。ダイアログ ボックスを閉じます。
[ナビゲーション]
[全体表示]を使用してモデル全体を全体表示します。
[形状]
[点または長方形]および[選択]
[選択]
[頂点])、右クリックして、[追加]
[節点境界条件]を選択します。[ピン拘束]をクリックして、節点を X、Y、および Z の並進移動(Tx, Ty, Tz)に固定します。[OK]をクリックして、境界条件を適用します。(トラス要素には回転の自由度がないため、この状況では[固定]という境界条件でも適用することができます)。
[形状]
[点または長方形]および[選択]
[選択]
[頂点])、右クリックして、[追加]
[節点境界条件]を選択します。バネは、軸(Z)方向には自由に移動できる必要がありますが、転倒はしないようにする必要があります。[Tx]チェック ボックスおよび[Ty]チェック ボックスをオンにします。[OK]をクリックして、境界条件を適用します。
[節点集中質量]を選択します。[質量単位]オプションが選択されていることを確認した上で、[X方向]の質量(キログラム単位)として 225 を入力します。(質量が 3 つの方向すべてに対して一様に作用するよう、[一様]チェック ボックスはオンしておく必要があります)。[OK]をクリックして、集中質量を適用します。
[形状]
[点または長方形]および[選択]
[選択]
[ライン])、それを 4 つに分割します([作成]
[修正]
[分割]
[4]
[OK])。これにより、使用するソルバーに対して 3 つの節点が新たに作成されます。このとき、これらの節点が移動できる方向を軸方向に限定する必要があります。節点の周囲にあるボックスをドラッグして頂点を選択し([選択]
[形状]
[長方形]および[選択]
[選択]
[頂点])、右クリックして、[追加]
[節点境界条件]を選択します。ダイアログ ウィンドウのタイトル バーに、節点境界条件オブジェクトを作成中であるという内容のメッセージが表示されます。[Tx]チェック ボックスおよび[Ty]チェック ボックスをオンにします。[OK]をクリックして、境界条件を適用します。
[モデル設定]
[パラメータ]を選択し、[計算する周波数の数]/[計算するモードの数]に 1 を入力します。[OK]をクリックします。(作成したモデルは自由度が 1 であるため、計算する周波数はただ 1 つです。) 手順 1: 固有値解析を実行する
[解析]
[シミュレーションを実行]コマンドを使用して解析を実行します。解析が完了すると、結果環境にモデルが表示されます。固有振動数 1.985 cycles/sec を記録しておきます。 手順 2: 周波数応答解析を実行する
[変更]
[タイプ]
[線形]
[周波数応答解析])。新しい設計シナリオにモデルをコピーするかどうかを確認するプロンプトが表示されたら、[はい]をクリックします。固有値解析の結果は[設計シナリオ 1]に、周波数応答解析の結果は[設計シナリオ 2]にそれぞれ表示されます。また[設計シナリオ]を選択すれば、どちらの結果にも瞬時にアクセスできます。
[モデル設定]
[パラメータ]を選択し、[解析設定]をクリックします。([出力コントロール]にある各オプションは、テキストベースの出力を追加的に取得する場合にのみ使用するためのものです。通常はアクティブにしておく必要はありません。)4 つのタブで、荷重の定義をすべて入力します。これら複数のタブで入力する内容をまとめると次のようになります。
[解析]
[シミュレーションを実行]コマンドを使用して解析を実行します。解析が完了すると、結果環境にモデルが表示されます。
[変位]
[Z]コマンドを使用します。
[解析指定]
[応答タイプ]ドロップダウン メニューを使用して、それぞれのタイプを表示します。この例題では、同相成分は実質的に 0 であるため、異相での結果と SRSS での結果は同じです。質量は、基礎を基準として最大で 0.745 cm 移動します。 Relative displacement z = x - y Absolute displacement x = z + y The motion of the base is given as y = Y*sin(ωt) and the relative displacement z = Z*sin(ωt-φ), where φ is the phase angle. Thus, x = Z*sin(ωt-φ) + Y*sin(ωt)
周波数応答解析の要約ファイル(レポート環境からアクセス可能)から、計算された位相角は元々 90 度(下記参照)なので、
x = Z*sin(ωt-φ) + Y*sin(ωt) = Z*sin(ωt-90) + Y*sin(ωt) = -Z*cos(ωt) + Y*sin(ωt)
位相が異なるため、x の最大変位 X は Y+Z にはなりません。最後の式は x = X*sin(ωt + φ)と書き換えることができます。ただし、X = sqrt(Z2 + Y2)は最大変位、φ は位相角です。よって、Z = 0.745 cm、Y = 0.280 cm で、質量の絶対変位は 0.796 cm となります。
周波数応答解析の概要ファイルから抜粋:
START OF LOAD 1 Applied frequency case # 1 (Applied frequency = 1.985E+00 Hx) Mode No. Phase Angel (Deg.) Amplitude 1 8.9934E+01 1.1172E+00
手順 3: 時間履歴解析を実行する
[環境]
[FEA エディタ])。
[変更]
[タイプ]
[線形]
[過渡応答解析(モード法)])。新しい設計シナリオにモデルをコピーするかどうかを確認するプロンプトが表示されたら、[はい]をクリックします。過渡応答の結果は[設計シナリオ 3]に表示されます。
[モデル設定]
[パラメータ]
)。
[解析]
[シミュレーションを実行]をクリックします。
[変位]
[Z])。
[形状]
[点または長方形]および[選択]
[選択]
[節点]を選択後、モデルの上部にある節点をクリックします)。右クリックして、[グラフの値]を選択します。これにより、第 2 のプレゼンテーション ウィンドウが作成され、そこにグラフが表示されます。結果は図 2 のように表示されます。準定常状態には、約 5 周期で達します。目視で確認すると、支持構造物を基準とした質量の予想変位は 0.75 cm 前後と判断できます。
[荷重ケース オプション]
[荷重ケース]
[設定]を選択した後、値として 400 を入力し、[OK]をクリックします。前後いくつかの時間ステップを移動しながら([結果コンター]
[荷重ケース オプション]
[次へ]または[戻る])、変位が最大であるステップを特定します。ステップ 403 で、変位の値 0.742 cm が確認できます。 
図 2: 質量の変位のプロット
モデルおよび結果のアーカイブ(ground motion.ach)は、Autodesk Simulation インストール ディレクトリの Models サブフォルダに保存されます。
この例題については、振動解析に関する数多くの書籍に記載されている方法を用いて解を求めることができます。この例題は、『Vibration Analysis 第 2 版』(著者 Robert K. Vierck、発行者 Harper & Row)の「例 4-9」(129~130 ページ)を参考にしたものです。