遠心力荷重では、ユーザが指定した軸を中心に回転するモデル全体の影響をシミュレーションします。材料の質量密度がゼロでないパーツのみが影響を受けます。モデルは、実際には回転しません。角回転または角加速度(あるいは両方)により発生する力に等しい力が計算され、各要素の節点に適用されます。
線形材料による静解析、固有値解析(初期応力考慮)、および線形座屈解析の 3 種類の線形解析で遠心力荷重がサポートされています。モデルは、一定の速度で回転したり、一定の角加速度で回転したり、その両方で回転することができます。
コマンドの実装は線形解析間で若干異なります。3 つの解析すべてにおいて、実際の荷重を[解析パラメータ]ダイアログ ボックスの[遠心]タブで定義します。また、回転軸および角加速度の軸は 3D 空間内の任意の点を通過できます(つまり、軸は全体座標系の原点を通過する必要はありません)。違いは次のとおりです。
MES と 非線形材料による静解析の 2 種類の非線形解析で遠心力荷重がサポートされています。回転速度と角加速度は荷重曲線に基づいて経時的に変化します。回転速度と角加速度の両方に同じ荷重曲線を使用するか、2 つの異なる荷重曲線を指定することができます。遠心力荷重は、[高度解析パラメータ]ダイアログ ボックスの[遠心]タブで定義します。これには次の 2 つの方法でアクセスできます。
遠心力荷重をサポートするいずれの非線形解析にも次の特性があります。
モデルに遠心力荷重を適用するには、次の手順を実行します。
たとえば、図 1 のように原点を中心とする円を考えてみます。原点の Z 軸を中心とした回転を指定するには、[軸上の 1 点]の座標を(0,0,0)、[方向]の座標を(0,0,1)と入力します。円は中心を軸として回転し、中心は固定されます。
図 1: 原点を中心に回転するモデル 1
ただし、図 2 のように(3,0,0)を中心とする円に対して遠心力荷重を同様に設定した場合、荷重は原点を中心にした円の回転に基づきます。つまり、円の中心は、全体座標系の原点を中心とする円形の軌道に沿って移動します。図 3 は、図 2 の円に一定の遠心力荷重を適用した場合の、円の軌道を示しています。
図 2: モデル 2 – 中心が全体座標系の原点ではない円
図 3: 原点を中心に回転するモデル 2 の解釈