単変量解析法: 不安定な反り

成形品の反りが安定している場合、つまり、成形品の変形が、線形応力-歪の挙動を想定した微小変形解析によって適切に予測できる場合、総変形に対する 3 つの収縮変量それぞれの寄与分については、線形性と加法性があると見なすことができます。

これらの各変量に起因する成形品の反りを算定するために、3 つの個別解析が実行されます。それぞれの解析では、1 つの要因のみによる寄与分を計算に入れ、他の 2 つの要因による効果は除外します。それぞれの単変量解析で、成形品の変形の大きさを図示して検討することにより、反りの主要な要因が明らかになります。この機能は、Midplane、Dual Domain、および 3D の解析テクノロジでサポートしています。

冷却差単変量解析

この解析では、冷却差のみを原因とした場合の、収縮に対するその寄与分を計算します。

各要素の表側と裏側、および垂直な方向と平行な方向に対して、冷却差に起因する収縮を算定するには、充填+保圧解析の一部として収縮計算により決定された総収縮量から、収縮差と配向による効果の寄与分を差し引きます。

たとえば、要素表側の平行な配向方向に対しては、冷却の寄与分は以下のとおりです。

ここで、

収縮差単変量解析

この解析では、収縮差のみを原因とした場合の、収縮に対するその寄与分を計算します。

収縮に対する配向の影響の寄与分を除外するには、平行と垂直両方の配向方向で同じ収縮値を、各要素に割り当てます。この値は、線形収縮値 であり、次の式によって算出されます。

ここで、 は、充填+保圧解析の一部として収縮計算で決定された等方性収縮です。

冷却差の寄与分を除外するには、この の値を要素の上部と下部の両方に割り当てます。

配向の影響単変量解析

この解析では、配向の影響のみを原因とした場合の、収縮に対するその寄与分を計算します。

収縮に対する収縮差の寄与分を除外するには、線形収縮値 を充填+保圧解析の一部として収縮計算で決定された平行および垂直な収縮の結果から差し引きます。

収縮に対する冷却差の寄与分を除外するには、要素の表側と裏側の両方に、同じ平行および垂直な収縮値を割り当てます。