AECアプリケーションでの熱境界条件

これらのガイドラインは、機械、自然、外部換気を含む主要な3つのAECモデルすべてに適用できます。ただし、流れ境界条件はアプリケーションタイプ毎に個別であり、それぞれのトピックで説明されています。

概要

解析の目標がモデル空間全体、あるいは構成要素や居住者のの温度分布を理解することである場合、熱境界条件を適用します。AECでは伝熱に関連した解析課題が多く、以下は代表的な例です:

基本的アプローチ

熱境界条件を使う最初のステップは、モデル内の既知の条件を理解し、表現することです:

これらの条件について、より一般的な情報を説明した境界条件のトピックを参照してください。

サーフェス ベースの熱境界条件

内部空間のみを含む(外部環境を省略した)モデルには、外側サーフェスに熱伝達係数、輻射、温度等の境界条件を適用します。これらの条件により、壁や窓などの要素を通じた空間へのエネルギーの流入および流出を可能にします。

よく使われるサーフェスベースの伝熱条件としては、温度、熱伝達係数、輻射、熱流束があります。

サーフェス境界条件は、外側サーフェスまたは抑制された部品(このような部品は片側がメッシュされたボリュームに接し、もう片側は何にも接していません)に隣接するサーフェスにのみ適用します。

たとえば、建物の壁、屋根、窓がメッシュ分割されていれば、外側サーフェスの周囲に熱境界条件を適用します:

しかし、壁、屋根、窓が抑制されている(メッシュ分割されていない)場合には、抑制された壁の内部空気ボリュームに接するサーフェスに熱境界条件を適用します:

ボリュームベースの熱境界条件

ボリュームベースの熱境界条件は、単位体積あるいは合計ベースでモデルに入る熱を設定します。

発熱境界条件は、発熱部品からの熱をモデル化するのに使用します。この例には、以下が含まれます。

必ず選択モードをボリュームに設定してください(右クリックして選択タイプとしてボリュームを選択)。

ボリューム熱荷重についての詳細

AEC でよく使われるサーフェス ベースの境界条件

熱伝達率

周囲の環境を実際にモデル化することなく、周囲への伝熱をシミュレートするには、 熱伝達率 境界条件を外部サーフェスに適用します。値は物理デバイスを取り囲む空気に依存します:

  • 空気が静止している場合、値は 5 W/m²K を指定します。
  • 空気が動いている場合、値は 20 W/m² K を指定します。
  • 参照温度 = 周囲温度 とします。

伝わる熱の量は熱伝達率の値や指定された参照温度とサーフェス上の結果温度の差に依存します。

ボリューム内の伝導とサーフェスからの対流の両方を考慮するには、熱伝達率境界条件を抑制された壁、窓、屋根の内側サーフェスに適用します。壁にはR値の逆数、窓にはUファクターの逆数を適用します。

熱伝達率は温度差に基づいているため、FahrenheitとRankineの絶対オフセットは方程式から除外され、BTU/ft²/h/RとBTU/ft²/h/Fは相互に使用できます。

熱伝達率境界条件についての詳細

温度

1つまたは複数のサーフェスに既知の均一な温度を割り当てるには温度を使用します。代表的な使い方には次が含まれます:

温度境界条件についての詳細

輻射

輻射境界条件は、モデル外部の任意の黒体との熱交換をモデル化するのに使用します。輻射条件は熱伝達率同様、温度差に基づいてモデルに熱を加え、あるいは取り除きます。輻射境界条件を使用するのに、Radiationソルバーを起動する必要はありません。

輻射境界条件を建築アプリケーションに使用する代表的な例は、夜空への熱損失のシミュレートです。雲のない晴れた夜空の温度は -40 °Fにもなり、その放射率は0.3になります。

輻射境界条件についての詳細

熱流束

熱流束境界条件は、外側面を通じた熱の追加または遮断をモデルかするのに使用します。

建築アプリケーションでの熱流束の代表的例は、太陽熱負荷のモデル化(太陽熱ソルバーを使う代わりとして)です。上部が直接露出している場合の太陽熱負荷(約 910 W/m²K)をシミュレートするには、150~300 W/m² K の熱流束を割り当てます。この値は材料の仕上げ、反射、周囲の障害物によって異なります。

熱流束境界条件についての詳細