線形材料モデルによる静解析

複数の荷重ケースを使用して単一の解析を実行する

複数の荷重ケースを使用して、モデルを設定し、複数の荷重組み合わせの結果を取得します。[解析パラメータ]ダイアログ ボックスの[乗数]タブで(部分的に)モデルを設定します。

節点力またはエッジ力および節点モーメントをモデルに適用する場合、それらの配置先である荷重ケースを[荷重ケース/荷重曲線]フィールドで指定できます。 節点力は、[解析パラメータ: 乗数]ダイアログ ボックスによる影響を受けません。

[荷重ケース乗数]表のダイアログ ボックスでは、[解析パラメータ]ダイアログ ボックスの[乗数]タブにある荷重ケースのそれぞれに対して 1 つの行を作成できます。ダイアログ ボックスに一覧表示された要素タイプは入力値によって乗算されます。

解析を実行する場合、指定した荷重ケースごとに結果のセットが個別に出力されます。結果環境では、[結果オプション][荷重オプション][荷重ケース]で各荷重ケースの結果を確認できます。

反力の計算

典型的な応力解析の計算では、有限要素に反応する節点変位および応力が求められます。場合によっては、モデルによって外部に発せられる力/モーメントの量を認識したいということがあります。例えば、一端が固定され、その反対側で垂直重力を受ける片持ちはり型ビームでは、反力/モーメントが発生します。

図 1: 片持ちはり型ビームのフリーボディ図

F = ビームによって壁に生じる反力

Fd = ビームによって壁に生じる反力モーメント

内部反力の計算機能によって、モデルのすべての節点における反作用がレポートされています。これは、[解析パラメータ]ダイアログ ボックスの[解法]タブにある[反力を計算]チェックボックスをアクティブにすることで有効にすることができます。典型的には、いくつかの境界条件が設定された節点のみでゼロではない反作用が発生します。内部力の計算機能によって、ファイル名.ro ファイルが生成されます。.ro ファイルは、節点の反作用、節点の反作用力と節点でのその違いを含む、直接アクセスのフォーマットされていないファイルです。このファイルは .do ファイルと同様、結果環境で使用できます(ただし、荷重ケース数は 3 倍になります)。反力のテキスト結果は、ファイル名.l ファイルに書き込まれます。

構造解析では、次の方程式系が解かれます。

K D = F (Kij Dj = Fi j sum)

内容

K は、剛性マトリックスです

D は、節点の変位/回転のベクトルです

F は、適用荷重/境界条件のベクトルです

A は、アセンブリ演算子です

ke は、要素レベルの剛性マトリックスです

fe は、要素レベルの適用力のベクトルです(表面力、物体力、熱荷重などを含む)

は、適用された片持ちはり型の力の要素レベルのベクトルです

de は、要素変位ベクトルとして定義されます(例えば、ベクトル D からの要素節点に対応する値)

Fn は、節点の反作用力/モーメントのベクトルです

内部力の計算機能では、次の定義が使用されます。

R = -KD = 節点の反作用

F = 適用された節点力

F - KD = 節点の残りの力(R + F)

-ke de = 要素の反作用

fe + = 要素の反作用力

注: R は、モデルによって外部に発せられた節点の反作用のベクトルを表します。したがって、R はモデルに対する外部からの反作用力のバランスを取る必要があります。(R + F = 0)。構造解析では、KD=F において拘束されている節点に対応する数式が無視されます。内部力の計算機能では、完全な方程式系が使用されます。

構造解析では、遠心力が要素レベルの物体力ではなく節点力として計算されます。境界、ギャップ、剛性要素には質量がないため、遠心力荷重には考慮されません。

反力を正しく計算するには、プロセッサに一貫性がなければなりません。例えば、要素ルーチンは、内部力プロセッサおよび線形応力プロセッサで同一である必要があります。非同期のプロセッサでは、拘束されていない節点でゼロではない残差が発生します。長方形の要素でゼロの残差が発生し、その一方で変形された要素ではゼロではない残差が発生する状況に注意してください。これは、同期の問題が原因となっている場合があります。

場合によっては、反作用の計算でいくつかの要素を無視すると便利なことがあります(例えば、境界要素にアタッチされている節点の反作用を見つける場合、境界要素の剛性は K にアセンブルする必要はありません)。 この場合は、[設定]ボタンを使用します。結果のダイアログ ボックスには、表が表示されます。その表には、パーツ番号を表示する最初の列、追加可能な説明を表示する 2 番目の列、クリック時に表示される次のオプションを提供する 3 番目が表示されます。

荷重と要素

モデルに境界要素(1D 接地バネ、3D 接地バネ、または強制変位)が存在する場合、正確な反力の結果を得るために[境界要素グループを無視]チェック ボックスをオンにする必要があります。これにより、境界要素の反力は無視され、境界要素が接続されるモデルの節点にある反対方向の反力は無効になります。[境界要素グループを無視]オプションは既定でオンになっています。

ソルバー オプション

静的応力解析のタイプは、[解析パラメータ]ダイアログ ボックスの[解法]タブにある[ソルバー タイプ]ドロップダウン メニューから選択できます。関連情報については、「使用可能なソルバー タイプ」も参照してください。利用可能なオプションは次のとおりです。

ヒント: モデルにプレート要素またはシェル要素が含まれる場合は、大規模なモデルにおいてもスパース ソルバーを使用することをお勧めします。大規模なモデルに対して、反復ソルバーが自動的に選択されないようにするために、スパース ソルバーを選択します。

何らかの理由で解析を実行せずに剛性マトリックスを作成する場合は、[剛性計算の後停止]チェックボックスをアクティブにします。これは、別の目的で剛性マトリックスを使用する場合のみに便利です。例えば、別のプログラムから剛性マトリックスにアクセスするなどが挙げられます。剛性マトリックスは解析を実行する際に必ず計算されます。したがって、通常の場合、このオプションには何のメリットもありません。

スパース行列および反復法ソルバーの場合、要素データの読み取りおよびマトリックスの作成で使用できる RAM の容量を[メモリ割り当てのパーセンテージ]フィールドでコントロールします。低い値を指定することをお勧めします。(値が 100% 以下となる場合は、使用可能な物理メモリが使用されます。 100% より大きな値を指定すると、メモリ割り当てにより使用可能な物理メモリと仮想メモリが使用されます。

上記で説明したように、一部のソルバーでは、コンピュータの複数のスレッド/コアを利用できます。これに該当する場合、[スレッド/コアの数]ドロップダウンが有効になります。利用可能なスレッド/コアをすべて使用すれば、最も高速な解法が実現しますが、解析と同時に別のアプリケーションを実行する場合は、その処理能力を確保するために、使用するスレッド/コアの数を減らすよう選択できます。

[反復ソルバー]セクション

反復ソルバーを選択すると、[反復ソルバー]セクションが有効になります。このセクションでの入力は次のとおりです。

重要:
  • 解法の精度は収束許容誤差に依存します。許容誤差が小さいほど解法の精度が向上しますが、より多くの反復が必要になります。反復法の場合と同様、結果をチェックして、適切な精度が得られているかを確認する必要があります。場合によっては、精度を確認する最良の方法として、異なる収束許容範囲を使用して解析を 2 回実行することができます。
  • 静的応力解析では、精度をチェックする手段として、反力をチェックすることができます。概要ファイルの最後(レポート環境のブラウザで表示可能またはノートパッドで編集可能)には、反力およびその他のパラメータの概要が含まれています。大規模な未確定方向の残差によって、収束が不十分な解法が示される場合があります。結果環境で残差力(サポート反作用)が適用荷重に一致するかを確認することもできます。

[スパース ソルバー]セクション

スパース ソルバーを選択した場合、[スパース ソルバー]セクションが有効になります。このセクションでの入力は次のとおりです。

出力ファイルのデータの制御

解析を実行する前に、作成する追加の出力を選択できます。[解析パラメータ]ダイアログ ボックスの[出力]タブでは、出力するデータを制御できます。すべての出力は、次の場合を除きテキスト ファイルに出力されます。