線形材料モデルによる静解析でギャップ要素およびサーフェス接触要素(このページでは併せて「ギャップ要素」と呼びます)を使用する際、次のいくつかの制約があります。特に指定のない限り、この情報は自作のギャップ要素、サーフェス接触で設定された 3D CAD モデル、サーフェス接触で設定された 2D メッシュに関するものです。
静解析のギャップ要素とサーフェス接触要素により、解法は反復解になります。たわみがわからないと、ギャップ要素の開閉も不明です。ギャップ要素の開閉がわからないと、たわみを計算できません。したがって、解法は次のようになります。
通常、解の収束に必要な反復回数は不明なため、ギャップ要素のあるモデルの実行時間はギャップのない同一モデルよりも大幅に長くなる傾向があります。
対処が必要な問題として、ギャップ要素によってのみ拘束されるサブアセンブリの剛体モーションがあります(ここでサブアセンブリとは、多数のパーツが接着された接着体を指します)。解法が反復解であるため、一部の反復では解のギャップ要素が不十分で、すべてのサブアセンブリに静的安定度を確保できない可能性があるので常に注意が必要です。したがって、モデルの全パーツがギャップ要素に依存せずに静的安定度を得る必要があります。
パーツが他のパーツと接触するまで自由に移動できる場合は、これらのフリーのパーツは弱いばね(弱い境界要素)で拘束する必要があります。その目的は、すべてのパーツの安定性を確保しながらも、プロセス中にはそれらが大きな距離を移動できるようにすることです。ギャップ要素が一部の反復の解に含まれていない場合、弱いばねがパーツを拘束して解析を計算できるようにします。ただしその後、一部のギャップ要素が接触したことを検出すると、次の反復を続行してギャップ要素を含めます。弱い境界要素は実際に存在しないため、剛性は結果への影響が最小限になるように設定する必要があります。
境界要素の詳しい追加方法は次のとおりです。
[選択]
[頂点])。全方向に安定性を与えるには、任意の節点が一直線に並ばないようにする必要があります。サブアセンブリが境界条件によって一部の方向に拘束されている場合や、要素のタイプが自由度に欠けている場合は、頂点を 2 つ以下にすることができます。境界要素の目標は、移動 3 方向と回転 3 方向の全 6 方向でパーツを静的に安定させることです。
[節点 3D 接地バネ]を選択します。
許容可能な剛性は F/d = (1 lb)/(0.05 インチ) = 20 lb/in となります。
モデルと反復プロセスの安定性を役立てるには、解析パラメータの[接触]タブで設定を表示します。これより後のセッションの「線形材料モデルによる静解析」ページの「接触オプション」を参照してください。
解析後、ログ ファイルを([レポート]環境から)表示して反復プロセスの動作を確認します。出力例を次に示します。
| **** Begin solving nonlinear equations | ||||||||
| ITER | CLOSE | OPEN | frON | fOFF | LOADFACT | TOTALf | CLOSED/TOTAL | CRC-CHECK |
| 1 | 9 | 0 | 0 | 0 | 1.0000E+00 | 0 | 9/11 | 123408E4 |
| 2 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1.0000E+00 | 0 | 8/11 | 6BB6B604 |
| 3 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1.0000E+00 | 0 | 7/11 | 665639D4 |
| 4 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1.0000E+00 | 0 | 6/11 | 40CE5738 |
| 5 | 0 | 1 | 0 | 0 | 1.0000E+00 | 0 | 5/11 | FB5D11B9 |
| **** Solution has converged. | ||||||||
ただし、
境界要素をモデルのパーツの安定化に使用した場合は、[結果]環境で境界要素の軸力を確認できます。軸力の大きさは、モデルに加えられた荷重と比べて十分に小さくなければなりません。