Helius PFA がどのように Abaqus/Standard に統合されるのかについて説明します。
複合構造に対する Abaqus の構造レベル有限要素解析において、Helius PFA は、複合材料の平均応力/ひずみフィールドを素早く正確に構成の平均応力/ひずみフィールドに分解します。構成平均応力の状態は、ミクロ構造の構成材料ごとの損傷進展と材料破損を予測するために Helius PFA によって使用されます。続いて、現在の複合平均剛性を正確に評価するために現在の損傷ミクロ構造が均質化されます。
Helius PFA は、構造レベルの有限要素解析の実行に必要な時間を大幅に増やすことなく、拡張された複合モデリング機能を提供するように設計されています。 これを使用して構造レベルの有限要素解析を拡張する場合、1 回の構造レベル平衡反復を実行するために必要な時間はわずか 2~3 パーセント増えるだけです(実現される解析の精度向上から見れば非常に経済的です)。またこれは、特に構造レベルの進行性破損シミュレーションの収束の堅牢性を高めるために開発されています。その結果、Helius PFA によって強化された解析能力により、より少ない平衡反復で荷重履歴全体を正しく解決できるようになります。
以下の図は、Helius PFA ソフトウェアの個々のコンポーネントのスケマティク、および Abaqus/Standard ソフトウェア コンポーネントとの相互関係を示します。青の長方形は、Abaqus/Standard のコンポーネントを示します。赤いひし形は、入力と出力を含むファイルを表します。緑の楕円形は、Helius PFA ソフトウェアの各コンポーネントを示します。Helius PFA のグラフィカル ユーザ インタフェース(GUI)は Abaqus/CAE 内部からアクセスされ、Helius PFA を使用した有限要素解析中に必要となる Abaqus 入力ファイル パラメータの定義を支援します。 ユーザ定義の材料サブルーチンは、構成関係を計算し、Abaqus/Standard 有限要素コードの応力を計算します。ユーザ定義の材料サブルーチンには、個々の構成(繊維と母材)および均質化された複合材料のすべての MCT 構成関係が含まれています。さらに、ユーザ定義の材料サブルーチンには構成ベースの破損基準および非線形の構成損傷アルゴリズムが含まれています。これらは、複合材料の現在の損傷状態を反映するように、構成および均質化された複合材料の剛性を劣化させます。Abaqus/Standard 有限要素コードは、構成関係または応力が要求される各ガウス積分点においてユーザ定義の材料のサブルーチンを呼び出します。
以下の図では、MCT マルチスケール材料モデルを完全に定義するために必要なすべての材料係数が複合材料ライブラリに格納されています。特定の複合材料を Helius PFA により拡張された有限要素モデルで使用するには、MCT 材料の特性指定を実行し、固有の材料ファイルを複合材料ライブラリに追加する必要があります。 以下に示すように、ユーザ定義の材料サブルーチンは、複合材料ライブラリを開いて読み込み、モデルで使用される複合材料に必要な材料係数を抽出します。材料ライブラリは Helius PFA の粘性材料には必要ありません。粘性材料を定義するのに必要な入力数は複合材料の場合よりもはるかに少ないので、すべての材料は Abaqus 入力ファイル内に定義されます。
上の図に示したソフトウェア モジュールに加えて、Helius PFA には Composite Material Manager と xStiff の 2 つの追加補助プログラムが含まれています。Composite Material Manager は、新しい複合材料を特性指定し、それを Helius PFA 複合材料ライブラリに追加するスタンドアロン プログラムです。xStiff は Helius PFA と互換性をもつ Abaqus 入力ファイルを簡単に作成するためのプログラムです。 これは、統合の程度が低い要素によって要求される外部剛性パラメータを自動的に計算して挿入します。厳密な粘性材料を使用する解析には xStiff は必要ありません。
また、Helius PFA は Abaqus/Explicit とも互換性があります。ただし一部の機能は利用できません。