Helius PFA で最適な動作をするよう、コントロール パラメータを修正します。
暗黙的な有限要素ソルバを使用する場合、良好な収束(つまり完全な収束)を複合構造の進行性破損シミュレーションで達成するのは難しいということは、広く認知されています。実際、多くの進行性破損シミュレーションが早い段階で終了しますが、これはグローバル構造の破損によるものではなく、有限要素コードが特定の荷重ステップで収束した解を取得することができないためです。この問題を考慮し、全体の収束率と合成物の進行性破損のシミュレーションの安定性を向上させるために、Helius PFA は大幅に最適化されました。ただし、その優れた収束特性を十分に利用するには、Abaqus/Standard によって使用される非線解析プロセスを管理する既定の設定をいくつか変更する必要があります。これらの変更は、*CONTROLS キーワード ステートメントを使用して実行することができます。これらの解析コントロールが Abaqus/Explicit 解析には適用されないことに注意してください。
Abaqus/Standard では、非線形解析プロセスの既定の設定は、ニュートン-ラフソン アルゴリズムの基本的な仮定に基づいています。これは、複合構造の非線形応答がグローバル レベルとローカル レベルの両方で十分にスムーズであるという仮定からです。ただし、複合構造の進行性破損シミュレーションにおける複合構造の非線形応答は、特にローカル レベルでは材料破損によって材料ヤング率が瞬時に減少するため、スムーズになりません。進行性破損シミュレーションにおいて収束を得ることが難しい主な原因は、この非スムーズな材料応答にあります。Helius PFA における材料の非線形性を管理する方法は、特にこの局所的な非スムーズな材料応答に対処するために設計されています。ただし、Abaqus の収束コントロール パラメータの既定の設定を変更し、Helius PFA が有限要素シミュレーションの収束特性を改善できるようにする必要があります。これらの既定の設定は、*CONTROLS キーワード ステートメントの最初のデータ行によって変更することができます。*CONTROLS キーワード ステートメントは、入力ファイルの *STATIC キーワード ステートメントの直後に配置する必要があります。*CONTROLS キーワード ステートメントの最初のデータ行は 11 の単位量を含んでいます。これらの 11 の単位量の既定値を、以下の *CONTROLS キーワード ステートメントに示します。
*CONTROLS, PARAMETERS=TIME INCREMENTATION 4,8,9,16,10,4,12,5,5,3,50
定性的に言えば、これらの既定値に対して必要となる変更は、コードが時間増分サイズの低減(またはカットバック)の必要性を評価する前に Abaqus/Standard が実行する平衡反復の数を大幅に増やすことを意図しています。有限要素解析で Helius PFA が使用される場合、Abaqus 入力ファイルは次の *CONTROLS キーワード ステートメントを使用する必要があります。
*CONTROLS, PARAMETERS=TIME INCREMENTATION 1000,1000,1000,1000,1000, , , , ,10,1000
単位量 1、2、3、4、5 および 11 の値が 1000 に設定され、10 番目の単位量の値が 10 に設定されていることに注意してください。データ行のその他すべての単位量には、既定の値を適用できます。これらの変更によって、Abaqus は、平衡反復数が 1000 に到達するまで待機し、それから時間増分のサイズを減らす必要があるかを評価するようになります。
すべての準静的解析のための Abaqus 入力ファイルには、よく知られている *STATIC キーワード ステートメントがあります。*STATIC ステートメントによって使用される単一データ行には、希望の時間増分スキームを集合的に指定する 4 つの単位量が含まれています。1 番目の単位量は最初の時間増のサイズを指定します。2 番目の単位量は、現在のステップで解析される時間の合計を指定します。3 番目の単位量は、現在のステップで使用される時間増分の最小許容サイズを指定します。4 番目の単位量は、現在のステップで使用される時間増分の最大許容サイズを指定します。Helius PFA を使用することで、特定の時間増分に対して収束された解を取得する Abaqus の能力が向上するので、全解析を時間増分を減らすことなく実行できる可能性があります。したがって、*STATIC キーワード ステートメントのデータ行で日常的に使用するパラメータを試験的に使ってみることができます。
接触と誤った破損
Helius PFA シミュレーションに接触が含まれていると、上の解析コントロール セット(*CONTROLS)は、接触が最初に確立されたときに誤った破損予測を生成する場合があります。そのため、最初のステップは上記の解析コントロールを含まない個別のステップで確立することを推奨します。