いくつかの損傷が既に発生している構造上で解析を実行します。
損傷許容度とは、構造が損傷を受けた後で必要な構造上の強度または剛性を保持する能力のことです。複合パーツが損傷すると、多数の破損モードが存在する可能性があります。これらの破損モードは構成レベルの不具合(つまり繊維と母材レベルの不具合)なので、このレベルで損傷をモデル化することは適切です。Helius PFA は解析の開始時に要素内の構成レベルの損傷を指定できるので、損傷許容度のモデリングに適しています。たとえば、プレートが重心の影響を受け、影響を受けた領域で拡散母材損傷が発生した場合、損傷した領域を表す要素セットを作成して母材破損をその領域に割り当て、それから解析を開始することができます。解析の開始時に、この領域の SDV1 の値は 2 (母材破損)で、シミュレーションが進行すると領域内で繊維破損が発生し、SDV1 の値は 3 になります。つまり、要素セットに割り当てられた SDV1 の初期値は固定値ではなく、母材または繊維のいずれかの破損基準が満たされれば変化します。
*INITIAL CONDITIONS, TYPE=SOLUTION DAMAGED_ELEMENTS, 3
上のステートメントで、DAMAGED_ELEMENTS は破損領域を表す要素セットの名前で、3 は解析の開始時にこの領域に繊維および母材の損傷が存在する(SDV1 = 3)ことを示します。
状態変数の数が 7 個を超える(*DEPVAR キーワードで指定)を持つ Helius PFA 材料を使用した解析では、1 つまたは複数の空白行を含むキーワード ステートメントが必要です。これらの空白行は、Abaqus がすべての材料に対する状態変数の最大数の値を読み取るために必要となります。*INITIAL CONDITIONS キーワードの適切な使用方法の詳細については、『Abaqus キーワード リファレンス マニュアル』を参照してください。たとえば、7 個の状態変数を持つ Helius PFA の一方向材料と 9 個の状態変数を持つ Helius PFA の粘性材料がモデルに含まれている場合、次のように 3 行のキーワード ステートメントが必要です。
********** *INITIAL CONDITIONS, TYPE=SOLUTION DAMAGED_ELEMENTS, 3, ********
モデルの異なる領域で繊維破損(SDV1 = 3)と母材破損(SDV1 = 2)の両方を指定する場合はどのようにすればよいでしょうか。17 個の状態変数を持つ材料(*DEPVAR)を使用していると仮定します。その結果、各要素セットのリストの後に 2 つの空白行が必要になります。
********** *INITIAL CONDITIONS, TYPE=SOLUTION MATRIX_DAMAGE, 2, FIBER_DAMAGE, 3, ********