レンダリングおよびライティング API の新機能

MUIDrawManager::mesh() インタフェースがオーバーロードされて、float データ型をサポートする新しいインタフェースが追加されました。

void mesh( Primitive mode, 
    const MFloatPointArray& position,
    const MFloatVectorArray* normal = NULL,
    const MColorArray* color = NULL,
    const MUintArray* index = NULL,
    const MFloatPointArray* texcoord = NULL 
    );

ビューポート 2.0 のマウスイベントを処理する次の MPxSelectionContext::doPress()、MPxSelectionContext::doRelease()、MPxSelectionContext::doDrag()、および MPxSelectionContext::doHold() 仮想関数が追加されました。

MPxSelectionContext からクラスを取得するときにこれらの関数をオーバーライドして、ボタンを押す、またはボタンを放すといったマウスイベントを処理できるようになりました。
- virtual MStatus doPress (MEvent & event, MHWRender::MUIDrawManager& drawMgr, const MHWRender::MFrameContext& context);
- virtual MStatus doRelease(MEvent & event, MHWRender::MUIDrawManager& drawMgr, const MHWRender::MFrameContext& context);
- virtual MStatus doDrag (MEvent & event, MHWRender::MUIDrawManager& drawMgr, const MHWRender::MFrameContext& context);
- virtual MStatus doHold (MEvent & event, MHWRender::MUIDrawManager& drawMgr, const MHWRender::MFrameContext& context);
旧式の既定ビューポートとビューポート 2.0 の両方でプラグインを正しく動作させる場合は、MPxSelectionContext の旧式の実装を変更しないで維持することができますが、ビューポート 2.0 の実装はオーバーライドする必要があります。

詳細については、開発キットのサンプル moveTool を参照してください。

シェーディング

MPxShaderOverride クラスが新たに Maya シェーディングノードをサポートしたことにより、ビューポート 2.0 でパーティクルスプライトをシェーディングできるようになりました。カスタムスプライトシェーダの作成の詳細については、customSpriteShader/customSpriteShader.cpp サンプルプラグインを参照してください。
カスタムシェーダフラグメント開発のデバッグのために、MShaderInstance::writeEffectSourceToFile() メソッドが追加されました。このメソッドは、最終シェーダフラグメントが現在の描画 API で最終エフェクトソースにどのように変換されるのかを確認する場合に使用します。
シェーダフラグメントを検証するには、最終エフェクトソースから生成されたシェーダインスタンスをコンパイルして、バインドします。フラグメントデバッグコードのパスを有効にするには、MAYA_CUSTOMSPRITESHADER_DEBUG_FRAGMENTS = 1 環境変数を設定します。Maya スクリプトエディタ(Script Editor)にシェーダコンパイルに関するエラーまたは警告が表示されることがあります。エラーまたは警告が表示された場合は、XML でフラグメントを変更します。更新が完了したら、Maya を再起動してシーンをリロードし、修正内容をテストします。

詳細については、customSpriteShader/customSpriteShader.cpp サンプルプラグインを参照してください。
新しい customSpriteShader/customSpriteShader.cpp サンプルプラグインは、C++ API または XML スキーマを使用してジオメトリシェーダフラグメントを接続する方法を示します。また、MPxShaderOverride クラスを使用してパーティクルスプライト用のカスタムシェーダを作成する方法も示します。
このプラグインは MShaderInstance::addInputFragment() を使用してフラグメントグラフからシェーダインスタンスを作成することにより、ジオメトリシェーダフラグメントを接続します。フラグメントグラフの接続、プロパティ、値、および出力は、XML スキーマで拒否されます。

付属の customFileTextureOutputColor.xml ファイルに入力テクスチャのカラー管理の実装も含まれています。このファイルには、sRGB 空間またはリニア空間のテクスチャカラーを Maya で変換する方法が記述されています。具体的なニーズに応じて、既存の MShaderInstance::createShaderInstanceWithColorManagementFragment() インタフェースを使用するか、customFileTextureOutputColor.xml を参照してカラー管理のカスタム実装を行うこともできます。MPxShaderOverride::isTransparent() 仮想メソッドは透明度通知を処理します。

シェーダフラグメントをデバッグするために、新しい MShaderInstance::writeEffectSourceToFile() インタフェースを使用してシェーダインスタンスの最終エフェクトソースがディスクに書き込まれます。バインド中に、または MShaderManager::getLastError() を使用して照会しているときに、Maya スクリプトエディタ(Script Editor)にシェーダコンパイルエラーが表示されることがあります。

customSpriteShader プラグインはビューポート 2.0 の OpenGL コアプロファイルモード、OpenGL モード、および DirectX 11 モードをすべてサポートしています。

シェーダからカメラのニアクリッププレーンおよびファークリッププレーンを照会する

均一パラメータまたはセマンティックパラメータを使用して、シェーダからカメラのニアクリッププレーンおよびファークリッププレーンにアクセスして、照会できるようになりました。ファイルまたはバッファから生成されたエフェクトに対する MUniformParameter クラスの DataSemantic 列挙子に、セマンティックを使用する新しいパラメータが追加されました。これらの均一パラメータを使用すると、MPxShaderOverride クラスで作成された完全なエフェクト内のニアクリッププレーンおよびファークリッププレーンにアクセスすることができます。

kSemanticNearClipPlane
kSemanticFarClipPlane

シェーダフラグメントの場合、セマンティック nearClipPlane および farClipPlane を使用するパラメータはビューポート 2.0 によって自動的に更新されます。

描画

MPxDrawOverride クラスに新しい仮想関数が追加され、MPxLocatorNode クラス関数を引き続き使用してプラグイン内のカスタムシェープの選択動作をオーバーライドできるようになりました。MPxDrawOverride クラス関数には、MPxSurfaceShapeUI クラスよりも優先する UI 描画メカニズムも備わっています。
これらの更新は、プラグインのソースコードを変更または再コンパイルしなくても利用できます。

新しい関数は次のとおりです。
- MPxDrawOverride::wantUserSelection()。true に設定されている場合、この関数はオーバーライドされ、MPxDrawOverride::userSelect() を呼び出して選択テストを行えるようになります。それ以外の場合は、描画方法のラスタライゼーションに基づいて実装されます。
- MPxDrawOverride::wantUserSelection() によって MPxDrawOverride::userSelect() が呼び出された場合は、現在の選択コンテキストに MUserData インスタンスが使用されます。
rawfootPrintNode プラグインの例が更新されて、新しい関数の使用法が示されるようになりました。
新しい MPxImagePlaneOverride クラスが追加され、ビューポート 2.0 でカスタムイメージプレーンを描画できるようになりました。プラグインを初期化するときに MPxImagePlaneOverride クラスを作成して、オーバーライドを登録してください。この新しいクラスには次のメソッドが含まれています。
- MPxImagePlaneOverride::updateDG()。updateColorTexture() で使用されるパラメータの更新が必要になるたびに呼び出されます。
- MPxImagePlaneOverride::updateColorTexture()。イメージプレーンを描画するために使用されるテクスチャを更新します。テクスチャにカスタムの未処理データを設定できます。このメソッドはカラーテクスチャのみをサポートします。
C++ および Python 用の新しい customImagePlane/customImagePlane.cpp のサンプルは、新しい MPxImagePlaneOverride クラスの使用方法を示します。内容は次のとおりです。
- 新しいノードを登録する。
- MPxImagePlaneOverride::updateColorTexture() メソッドでカラーテクスチャを操作する。
- MPxImagePlane::loadImageMap() でカラーテクスチャの更新を削除する。
引き続き、MPxImagePlane::loadImageMap() を使用して深度マップを更新する必要があることに注意してください。
返されたデバイス API にビューポート 2.0 が実行されている現在のデバイス API が含まれていない場合、警告メッセージが表示されるようになりました。たとえば、VP2 が OpenGL コアプロファイルモードで実行されているにもかかわらず、supportedDrawAPIs() が MHWRender::kOpenGLCoreProfile を返さない場合は、次のような警告メッセージが表示されます。
エラー: 行 0: 現在の描画 API がサポートされていないため、"drawdb/geometry/apiMesh" 分類のエバリュエータの作成に失敗しました。
footPrintNode、footPrint_GeometryOverride、および rawFootPrintNode 開発キットのサンプルが更新されたため、Maya を並列評価モードで実行している場合の、アニメーション中のビューポートのリフレッシュが改善されました。

一般

MRenderItem クラスに、MRenderItem が Maya インスタンサと互換性があるかどうかを示す新しいメソッドが追加されました。
- MRenderItem::isCompatibleWithMayaInstancer() は、MRenderItem をインスタンスオブジェクトとして Maya インスタンサと一緒に使用することができるかどうかを返します。
- MRenderItem::setCompatibleWithMayaInstancer() には、MRenderItem が作成されたときに Maya Instancer と互換性があるかどうかを通知する機能があります。この API が明示的に呼び出されない場合、状態の既定値は false になり、このオブジェクトは Maya インスタンサによって無視されます。
rawData() 関数(MRenderTarget::rawData()、MTexture::rawData())のパラメータが変更されました。slicePitch パラメータで使用されるデータ型が int& から size_t& に変更されました。
この更新は Maya 内部の変更と一致していて、int 型の上限である 2^31 より大きいテクスチャサイズを使用できるようになりました。この変更により既存のコードが破棄されるため、プラグインを更新および再コンパイルする必要があることに注意してください。

このパラメータの変更に伴い、次のサンプルプラグインが更新されました。
MPxGeometryOverride クラスがフレームコンテキストを提供するようになりました。セットアップからクリーンアップまでの最新のフレームコンテキストにアクセスするには、以下を使用します。
```
 const MFrameContext* getFrameContext() const; 
```
MRenderTargetManager::releaseRenderTarget() 関数が変更されて、非定数ポインタを使用しなくてもレンダーターゲットオブジェクトをリリースできるようになりました。このパラメータタイプに定数ポインタを指定できるようになりました。
たとえば、以前の実装では、レンダーターゲットをリリースする際に、次の呼び出しを行う必要がありました。

targetManager->releaseRenderTarget((MHWRender::MRenderTarget*)colorTarget);

この呼び出しは次のように簡略化されました。

targetManager->releaseRenderTarget(colorTarget);.
OpenMaya ネームスペースの実装中に、下位互換性を保つために次の OpenMayaRender クラスの名前が変更されました。

MGeometry は MGeometryLegacy に名前が変更されました。

MGeometryRequirements はMGeometryRequirementsLegacy に名前が変更されました。

MRenderTarget は MRenderTargetLegacy に名前が変更されました。

OpenMaya ネームスペースの詳細については、「Maya API に対する重要な更新」を参照してください。

レンダリングおよびライティング API の新機能

シェーディング

シェーダからカメラのニア クリップ プレーンおよびファー クリップ プレーンを照会する

描画

一般

シェーダからカメラのニアクリッププレーンおよびファークリッププレーンを照会する