Autodesk® CFD High Performance Computing (HPC) は、マルチコアコンピュータまたはコンピュータのクラスタ上でのシミュレーション実行をサポートしています。
注: このトピックは Autodesk ® CFD のみに該当し、クラウドでの Autodesk ® CFD の実行には適用されません。
マルチコア コンピュータとは4つ以上のコアを持つコンピュータです。Autodesk® CFDは解析データをCFDServerに送り、そのデータがCFDSolver(計算実行プログラム)に送られることで、解析が実行されます。解析は利用可能なコンピュータコア(CPU)数に応じて複数に分解され、実行されます。
クラスターは高速ネットワーク(イーサネットの一種であるINIFIBAND)を用いて接続されたコンピュータのグループです。クラスタはMicrosoft High Performance Computing Serverと呼ばれるWindowsバージョンで動作します。クラスタ コンピューティングでは、複数のコンピュータおよび搭載されているすべての CPU を使用して、解析を実行します。
HPCの実装方法についての詳細は、Autodesk® CFD Knowledge Baseを参照してください。
用語
- HPC: High Performance Computing
- コア: 単一のプロセッサ
- ヘッド ノード: クラスタ環境におけるメイン サーバ
- コンピュート ノード: クラスタ環境における追加サーバ
必要条件
Autodesk® CFD HPC を実装する前に、次の要素を使用してクラスタ コンピューティング環境を構成しておく必要があります。
- Windows HPC Server 2008 R2 または Windows Server 2012。
- Cluster Manager
- 構成済みのヘッド ノードとコンピュート ノード
注: CFD 2017 が Windows Server 2008 上で正常にインストールおよび動作できるかは検証されていません。
Autodesk® CFD に対応した HPC の実装
HPC を設定するプロセスのほとんどは自動化されていますが、手動で完了する必要がある重要なステップがいくつかあります。
- ヘッド ノードとすべてのコンピュート ノードに、.NET 4 および Visual Studio 2010 ランタイム環境がインストールされていることを確認します。
- ヘッド ノードとすべてのコンピュート ノードで利用可能な、管理者権限を持つユーザ アカウントを作成します。
- ヘッド ノードに Autodesk® CFD をインストールします。
- 手順 2 で作成した管理者アカウントとして、ヘッド ノードで HPCConfig.exe を実行します(このファイルは CFD のインストール フォルダにあります)。
HPCConfig では次のタスクを実行します。
- ネットワーク共有ディレクトリの作成と共有
- ログイン ユーザによる SimCFdServ サービスの再起動
- インストール内容のテスト
- [ソルバー コンピュータ]ダイアログ ボックスをヘッド ノードでのみ設定し、アクセス可能なコンピュート ノードを指定します。
- [設定]タブ > [シミュレーション]パネル > [ソルバー コンピュータ] (ドロップダウン メニュー内)の順にクリックします。
- コンピュート ノードを追加するには、[*** クリックしてコンピュータを追加 ***]をクリックして、コンピュータ名を入力します。
- コンピュート ノードごとに、[コア数]列にアクセス可能なコアの数を入力します。[クラスタを使用]列のチェック ボックスをオンにします。
- 完了したら[OK]をクリックします。
レジストリの更新
場合によってはテスト モデルに失敗することがあります。 これはコンピュート ノードで追加のレジストリ エントリが必要なためです。 このプロセスを自動化するバッチ ファイルが使用できます。 このバッチ ファイルを使用するには、次の手順を実行します。
- の Web サイトから HPC_RegistrySetup.zip をダウンロードし、ヘッド ノードにバッチ ファイル HPC_RegistrySetup.bat を抽出します。
- このバッチ ファイルを実行し、保存される ".reg" ファイルの場所をメモしておきます。このファイルには必要なレジストリ キーが含まれています。
注: このバッチ ファイルは、¥HKEY_LOCAL_MACHINE¥SOFTWARE¥Autodesk¥CFD¥16.0 キーが記述された ".reg" ファイルを作成します。
- この ".reg" ファイルを各コンピュート ノードにコピーします。このキーをコンピュート ノードにインポートするには、管理者アカウントとしてログインします。 ".reg" ファイルをダブルクリックして実行します。
手動による手順
ヘッド ノードからレジストリ エントリをエクスポートして、各コンピュート ノードのレジストリに手動でインポートすることができます。
ヘッド ノードからブランチをエクスポートするには:
- レジストリ エディタを開きます。 (コマンド プロンプトを開いて、"regedit" と入力します)。
- ブラウザで ¥HKEY_LOCAL_MACHINE¥SOFTWARE¥Autodesk¥CFD¥\17.0 というキーを検索します。
- このキーを右クリックし、[エクスポート]をクリックします。エクスポート先のフォルダを参照して、".reg" ファイルの名前を入力します。
- 保存した ".reg" ファイルを各コンピュート ノードにコピーします。
このキーをコンピュート ノードにインポートするには、管理者アカウントとしてログインします。 ".reg" ファイルをダブルクリックして実行します。
ファイアウォールの例外
一部のインスタンスでは、ヘッド ノードにコンピュート ノードおよびファイアウォールの例外を追加する必要があります。すべての例外は UNC パスを使用し、ヘッド ノードの共有フォルダ内の EXE を指定する必要があります。一般的な例外は次のとおりです。
- \\headnode\CFD2017\CFDsolver.exe
- \\headnode\CFD2017\CFDserver.exe
- \\headnode\CFD2017\CFDJobManager.exe
追加の構成
クラスタで複数のジョブを同時に実行するように CFD を設定できます。並行ジョブの数を制御するには、Web サイトから server_config.zip をダウンロードし、ヘッド ノードの Analyze フォルダに設定ファイル server_config.xml を抽出します。並行ジョブごとに固有の CFD ソルバー ライセンスが必要です。たとえば、2 つのライセンスがある場合は、クラスタ上で同時に 2 つのジョブを実行できます。
並行ジョブの数を変更するには、メモ帳で server_config.xml を開き、次の値を変更します。
- maxNumberOfHpcJobs - クラスタ上で同時に実行できるジョブの最大数(この値が CFD のライセンス数を超えることはできません)。
推奨されるハードウェア
コンピュータのハードウェアは急速に進化しているため、最新の推奨ハードウェアのスペックを提示することが難しくなっています。次のハードウェア構成は、執筆の時点ではハイエンドでしたが、現在は別の構成に取って代わられている可能性があります。ハードウェアについて疑問がある場合は、当社のテクニカル サポート チームに問い合わせてください。
HPC クラスタに対応したハードウェア構成:
- デュアルクワッド コア Intel Xeon プロセッサ(55XX または 56XX シリーズ)
- SAS (15,000 RPM) HDD
- 最低 1 GB の RAM を搭載したグラフィックス カード
- ヘッド ノードでは 24 GB の RAM、コンピュート ノードでは 12 GB の RAM
- HPC システムを接続するインフィニバンド ケーブル
マルチコア マシンに対応したハードウェア構成:
- デュアルクワッド コア Intel Xeon プロセッサ(55XX シリーズ)
- SAS (15,000 RPM) HDD
- 最低 1 GB の RAM を搭載したグラフィックス カード
- 12 ~ 24 GB の RAM (平均モデル サイズによって異なる)