タービンは、動く流体のエネルギーを抽出し、機械エネルギーに変換する回転機械です。
大部分のタービンアプリケーションでは、以下を特定することにフォーカスします:
水力タービン、フランスタービン、インパルスタービンの一般的な例を次に示します:
モデリング戦略
効率的な解析には、無関係なフィーチャーやエラーを含まないCADジオメトリが必須です。微小なエッジやサーフェスは除去してください。特に回転翼やボーリュート ケーシングにおいては、それらの除去が重要です。ウェアリングやパッキン周辺のギャップは閉じてください。
吸引側(流入口)と排出側(流出口)を回転翼から少なくとも3-4の水力直径分延長してください。これは境界条件が結果に対して直接作用することを防ぐために必要です。
回転領域は、回転翼を単に囲むだけで、静止部品に接触しないようにする必要があります。また、回転翼の外径とカットウォータ間の中間まで延長する必要があります。回転領域のガイドラインについての詳細
ポンプハウジングのボリュート舌部と翼の前縁周辺の局所的なメッシュ細分割を容易にするには、それらの構築に翼やボリュートを覆う大規模なサーフェスを利用するのではなく、別々のサーフェスを利用します。これにより、それらの重要領域に対する局所的メッシュ細分割の適用が非常に容易になります。
解析設定
タービンアプリケーションの実行方法には大きく2種類あります:
方法 1: 適用荷重。既知の荷重に対する回転速度を特定するには、この方法を用います。
方法 2: 指定速度。回転速度と荷重間の関係を特定するには、この方法を用います。
材料
回転翼の周辺ボリュームに対しては回転領域材料を作成し、割り当てます。材料エディタで、シナリオの種類に既知の回転速度を設定してください。テーブルにより回転速度を指定することで、0から最高速度までを50時間ステップで変化させます。
例:
回転速度(RPM) | 時刻、秒 |
0 | 0 |
3000 | 0.2 |
3000 | 100 |
境界条件
メッシュ
モニタ ポイント
圧力および流量(速度と出力口領域の掛け算)を監視するには、流出口の中心にモニターポイントを作成します。
これには、以下を行います:
両方法(荷重適用と速度指定)とも、定常的回転速度を達成する必要があります。これに最も適した方法が、非衝動的スタートアップの使用です。
ステップ 1: 非衝動的スタートアップ -- 時間ステップサイズと実行する時間ステップ数
完全に発達した流れを達成するには、回転速度と境界条件の立ち上がりを考慮するため、流れを適切に開始するのに十分な時間ステップを実行し、その後十分な回転数分実行することが重要です。この解析は3段階で実行することが適切です:
第 1 段階: 回転速度と境界条件を上げます。
第 2 段階: 単一の翼の通過間隔に等しい時間ステップを使用して、完全に発達した流れを達成するために 20 回の完全な回転を実行します。
第 3 段階: 3 度の移動に相当する時間ステップを使用して、1 回の回転を実行します。最後の回転により、流れ、圧力、および流体トルクが確実に安定状態に達します。
適切な時間ステップサイズとそれぞれの段階で実行すべきステップ数を特定するには、若干の見積もりと簡単な計算が必要です。この作業の簡単な例を次に示します:
例
5枚の翼を持つ回転翼が3000 RPMで回転します。翼間の時間刻み幅は 0.004** 秒**です。t = D / N x 6(D = 360/翼の数、N = RPM); t = 72 / (3000)x(6) = 0.004s
第1段階:
合計で0.4秒(100時間ステップ)が経過します。
第 2 段階:
すなわち、ここでは0.4秒(100時間ステップ)が経過します。
第 3 段階:
時間ステップあたり翼を3度回転させるために必要な時間ステップサイズは0.000167秒(t = 3 / N x 6 = 3 / (3000) x (6) = 0.000167秒)です。
第3段階では、0.02秒(120時間ステップ)が経過します。
まとめ:
時間ステップサイズ | タイムステップ数 | |
第1段階 | 0.004 秒 | 100 |
第 2 段階 | 0.004 秒 | 100 |
第 3 段階 | 0.000167 秒 | 120 |
回転速度に達したら、回転領域を自由回転になるように変更し、抵抗負荷として動作する慣性を割り当てます。これには、以下を行います:
ステップ 2: 指定速度法
結果抽出
流体トルクの時間履歴を表示するには、解析結果 (タブ) > レビュー(展開パネル) > 回転領域結果をクリックします。 このデータはシナリオを含むフォルダに外部 "csv" ファイルとして保存されます。これによりExcelを用いたグラフ化を行うことも可能となります。
流出口に作成されたモニターポイントを用いることで、解析の進行状況を追跡できます。これにより、重要領域における解析進行状況にフォーカスした表示が提供されます。
結果のアニメーション表示を行うには:
大部分のタービンアプリケーションで求められる結果量には次が挙げられます:
避けるべき事項
十分なメッシュ定義を避けてはいけません。一般的に回転の解析は、静解析に比べ、メッシュ分布の影響を非常に受けやすいものとなります。翼の前縁、ボリュート舌部、および翼流路の吸引側等の急勾配領域では、十分なメッシュを確認してください。
衝動的スタートアップは避けてください。最高回転速度が解析の始まりから指定されている場合がこれにあたります。この指定は非現実的であるばかりか、翼流路における分離領域の発生原因となりうるため、避けるべきです。回転領域の回転速度は前述のテーブル定義を用いて段階的に上げてください。