コマンドのエイリアス、ショートカット キー、AutoCorrect

コマンドのエイリアスおよびシートカット キーを使用すると、作図領域と AutoCAD ユーザ インタフェース(UI)の間でマウス カーソルを移動せずにコマンドを開始することができます。コマンドのエイリアスおよびショートカット キーを使用することで、完全なコマンド名よりも覚えやすくなります。また、独自のコマンドのエイリアスおよびショートカット キーを作成すると、より効率的に作業できるようになります。

注: ビデオに音声および字幕はありません。
注: 手順、イメージ、ビデオは、お使いのバージョンの製品と若干異なる場合があります。

コマンドのエイリアスおよびショートカット キーを使用する

製品には、あらかじめ定義されているコマンドのエイリアスがいくつかあります。既に、意識せずに使用しているかもしれません。少し試してみましょう。

  1. いくつかのオブジェクトが含まれた図面を開きます。
  2. コマンド プロンプトに対して C と入力します。

    CIRCLE[円]コマンドが開始されます。

  3. コマンド プロンプトに対して E と入力します。

    ERASE[削除]コマンドが開始されます。

  4. コマンド プロンプトに対して LA と入力します。

    LAYER[画層管理]コマンドが開始され、[画層プロパティ管理]パレットが表示されます。

あらかじめ定義されているショートカット キーを使用することもできます。

  1. コマンド プロンプトに対して [Ctrl]+[G] を押します。

    このショートカット キーを押すたびに、グリッドのオン/オフが切り替わります。

  2. コマンド プロンプトに対して [Ctrl]+[8] を押します。

    このショートカット キーを押すたびに、[クイック計算]パレットの表示/非表示が切り替わります。

  3. コマンド プロンプトに対して [Ctrl]+[0] を押します。

    このショートカット キーを押すたびに、フル スクリーン表示のオン/オフが切り替わります。フル スクリーン表示でも、クイック アクセス ツールバー、コマンド ウィンドウ、ステータス バーは非表示になりません。

コマンドのエイリアスをカスタマイズする

acad.pgp ファイル(AutoCAD LT の場合は acadlt.pgp ファイル)を編集して、コマンドのエイリアスを再定義したり追加したりすることができます。この例では、既存のエイリアス対して独自のエイリアスが優先的に使用されるようにして、新しいエイリアスを追加します。

  1. [管理]タブ > [カスタマイズ]パネル > [エイリアスを編集]ドロップダウン メニュー > [エイリアスを編集]をクリックします。 検索

    PGP ファイルの書式について少し説明します。

    <Alias>,*<Full command name
    A, *ARC

    ファイル内のこの行は、A を ARC[円弧]コマンドのコマンド エイリアスとして定義しています。

    注: 行頭のセミコロン(;)はコメントを示します。

    既存のコマンドのエイリアスを再定義する場合でも、エイリアスの定義は必ずファイルの最後にある[User Defined Command Aliases]セクションに追加してください。PGP ファイル内の最後の定義が、製品にロードされます。

  2. ファイルの最後までスクロールして、[User Defined Command Aliases]というラベルが付いたセクションを探します。
  3. C, *COPY と入力します。
  4. RV, *REVCLOUD と入力します。

    完了すると、次のようになります。

  5. ファイルを保存します。
  6. コマンド プロンプトに対して REINIT と入力します。

    このコマンドは、最新の変更内容を現在の AutoCAD セッションにロードします。

  7. [再初期化]ダイアログ ボックスで、[PGP ファイル]をオンにします。
  8. [OK]をクリックします。
  9. 新しいコマンドのエイリアスを試します。

Alias Editor (AutoCAD のみ)

AutoCAD では、Express Tool として[Alias Editor]を使用することができます。このエディタには、コマンドのエイリアスを編集するためのユーザ インタフェースがあります。

[Alias Editor]を開くには、次のいずれかを行います。

[AutoCAD Alias Editor]ダイアログ ボックスが表示され、コマンドのエイリアスを追加、編集、除去することができます。

注:
  • 新規および編集したコマンド エイリアスは、PGP ファイルの[User Defined Command Aliases]セクションの最後に追加されます。
  • 除去したコマンド エイリアスは、先頭にセミコロンを追加することでコメント アウトされます。
  • [OK]をクリックした後に REINIT[再初期化]コマンドが実行され、現在の AutoCAD セッションに変更が適用されます。

エイリアスのように使用できる AutoLISP コマンド

コマンドのエイリアスは、AutoCAD コマンドの開始にのみ使用できます。コマンドのオプションや値を渡すことはできません。コマンドにオプションや値を渡すには、簡単な AutoLISP プログラムが最適です。次の例では、AutoLISP を使用して省略名を持つ 3 つのコマンドを定義します。

注: AutoLISP は、AutoCAD LT 2024 以降で使用可能です。

AutoLISP プログラミングを使用するには、作成、ロード、テストの 3 つの基本的な手順があります。

作成

  1. AutoCAD の外部で[メモ帳]を開きます。
    注: Word などのワード プロセッサではなく、[メモ帳]などのテキスト エディタを使用してください。
  2. 次のように入力して、[前画面ズーム]のエイリアスを定義します。
    (defun c:ZP ()(command "._zoom" "_p"))
  3. 次のように入力して、[オブジェクト範囲ズーム]のエイリアスを定義します。
    (defun c:ZE ()(command "._zoom" "_e"))
  4. 次の行に、次のように入力します。
    (defun c:C2 ()(command "._-layer" "_m"
    "Obj" "" "._circle" "_2p"))
    これによって、Obj という名前の画層を作成し、その新しい画層を現在に設定し、CIRCLE[円]コマンドを開始して 2 点オプションを使用するエイリアスが定義されます。
    注: 1 つの LSP ファイルに複数のコマンド定義を入力することができます。AutoLISP の使用方法の詳細については、「チュートリアル: 開発を始めましょう(AutoLISP)」を参照してください。
  5. ファイルに myaliases.lsp という名前を付けて保存します。

ロード

AutoLISP ファイルは、使用する前にロードする必要があります。現在の AutoCAD セッションのためにファイルを手動でロードしたり、AutoCAD を起動するたびに LSP ファイルが自動的にロードされるように設定したりできます。

  1. [管理]タブ > [アプリケーション]パネル > [アプリ ロード]をクリックします。 検索

    コマンド プロンプトに対して APPLOAD と入力することもできます。

  2. [アプリケーションのロード/ロード解除]ダイアログ ボックスで、LSP ファイルを保存したフォルダを参照します。
  3. ファイル myaliases.lsp を選択します。
  4. [ロード]をクリックします。
  5. [ファイルのロード – セキュリティの問題]ダイアログ ボックスが表示されたら、再度[ロード]をクリックします。
  6. [閉じる]をクリックして、アプリケーション ウィンドウに戻ります。

    [コマンド ヒストリ]ウィンドウに、ファイルがロードされたことを示すメッセージが表示されます。

    注: エラーが表示された場合は、表示された内容(特に引用符と括弧)が正しいかどうかを確認します。

AutoCAD を起動するたびに LSP ファイルを自動的にロードするには、次の手順に従います。

  1. [管理]タブ > [アプリケーション]パネル > [アプリ ロード]をクリックします。 検索

    コマンド プロンプトに対して APPLOAD と入力することもできます。

  2. [スタートアップ登録]領域の[内容]をクリックします。
  3. [スタートアップ登録]ダイアログ ボックスで、[追加]をクリックします。
  4. 作成した myaliases.lsp ファイルを探して選択します。[開く]をクリックします。
    ファイルが[スタートアップ登録]に追加されます。
  5. 各ダイアログ ボックスの[閉じる]ボタンをクリックします。

次回 AutoCAD を再起動したり図面を開iいたときに、LSP ファイルが自動的にロードされ、LSP ファイルで定義されているコマンドが使用できるようになります。

注: LSP ファイルを配置したフォルダを信頼できる場所に追加する必要がある場合があります。追加しない場合は、AutoCAD がファイルをロードしようとするたびに、次の警告が表示されます。

テスト

  1. 開いている図面の一部の領域を拡大ズームします。
  2. コマンド プロンプトに対して ZP と入力します。

    ZOOM[ズーム]コマンドの[直前(P)]オプションが実行されます。

  3. コマンド プロンプトに対して ZE と入力します。

    ZOOM[ズーム]コマンドの[オブジェクト範囲(E)]オプションが実行されます。

  4. コマンド プロンプトに対して C2 と入力します。

    Obj 画層が作成され、それが現在の画層になり、CIRCLE[円]コマンドの[2 点(2P)]オプションが開始されます。

ショートカット キーをカスタマイズする

ショートカット キーは、カスタマイズ(CUIx)ファイルで定義します。この例では、REVCLOUD[雲マーク]コマンドの[矩形状(R)]オプションを実行するためのショートカット キーを定義します。

  1. コマンド プロンプトに対して CUI と入力します。
  2. [キーボード ショートカット]ノード、およびその下の[ショートカット キー]ノードを展開します。
  3. [ショートカット キー]を選択します。

    これにより、定義済みショートカット キーの完全なリストがエディタの右側に表示されます。

    注: 一般的なコマンドのエイリアスとショートカット キーのリストは、https://www.autodesk.co.jp/shortcuts/autocad にも記載されています。

    新しいショートカット キーを定義するには、コマンドを[コマンド一覧]から[ショートカット キー]ノードにドラッグし、それにキーの組み合わせを割り当てます。

  4. [コマンド一覧]ペインで、[矩形状雲マーク]までスクロール ダウンします。
  5. それを[ショートカット キー]ノードにドラッグします。
    ヒント: ドラッグ中に、ダイアログ ボックスの外側に移動してからコマンドを配置する領域に戻ると、自動スクロールが行われなくなります。これにより、コマンドを目的の場所に正確に配置しやすくなります。
  6. ショートカット キーに追加した[矩形状雲マーク]を選択します。

    [プロパティ]セクションには、[ショートカット キー]以外の値が事前に入力されています。Ctrl+Shift+R を割り当てます。

  7. [プロパティ]領域の[キー]フィールドで、次のいずれかを行います。
    • Ctrl+Shift+R と入力します。
    • [...]をクリックし、[ショートカット キー]ダイアログ ボックスで[Ctrl]+[Shift]+[R]を押して、[OK]をクリックします。

    結果は次の図のようになります。

  8. [OK]をクリックして、[ユーザ インタフェースをカスタマイズ] (CUI)エディタを終了します。
  9. コマンド プロンプトに対して、[Ctrl]+[Shift]+[R]を押します。

    REVCLOUD[雲マーク]コマンドの[矩形状(R)]オプションが実行されます。

CUIx ファイルを復元する

加えた変更に満足できない場合は、CUIx ファイルを前回保存したときの状態またはプログラムの既定に復元することができます。

  1. コマンド プロンプトに対して CUI と入力します。
  2. [すべてのファイル内のカスタマイズ]ペインで、[ACAD]ノード(AutoCAD LT の場合は[ACAD LT]ノード)を右クリックします。
  3. 次のいずれかを選択します。
    • [ACAD.CUIX (AutoCAD LT の場合は ACADLT.CUIX)を復元] - CUIx を前回保存したときの状態に復元します。
    • [ACAD.CUIX (AutoCAD LT の場合は ACADLT.CUIX)をリセット] - CUIx を元のインストール直後の状態にリセットします。
  4. 警告が表示されたら、[続ける]をクリックします。
  5. [OK]をクリックして、[ユーザ インタフェースをカスタマイズ] (CUI)エディタを終了します。

AutoCorrect

特定のコマンドのスペルを頻繁に間違える場合は、AutoCorrect を試してみることをお勧めします。AutoCorrect 機能を有効にすると、コマンド ラインの入力候補リストに、過去のスペルミスに基づいて入力候補が表示されます。頻繁にスペルを間違えるコマンドやシステム変数を AutoCorrect リストに手動で追加することもできます。

  1. コマンド プロンプトに対して INPUTSEARCHOPTIONS と入力します。
    ダイアログ ボックスには、AutoCorrect の設定に関するセクションがあります。
  2. まだオンでない場合は、[AutoCorrect]をオンにします。
  3. AutoCorrect の[修正を記憶]を 1 ミスタイプに設定します。

    これにより、この演習では 1 回の試行で、スペル間違いの単語をコマンドに関連付けることができます。

  4. [OK]をクリックします。
  5. コマンド プロンプトに対して WPIOUT と入力します。

    コマンド ウィンドウに[不明なコマンド]と表示されます。

  6. コマンド プロンプトに対して WPIOUT と入力しますが、[Enter]を押しません。
  7. 使用可能なコマンドのリストから、WIPEOUT を選択します。

    これにより、スペル間違いの WPIOUT が実際のコマンド WIPEOUT に関連付けられます。

  8. [Esc]を押してコマンド プロンプトをクリアします。
  9. コマンド プロンプトに対して WPIOUT と入力します。

    スペル間違いのコマンドが WIPEOUT[ワイプアウト]コマンドとして認識されるようになりました。

    オプションを既定に戻しましょう。

  10. コマンド プロンプトに対して INPUTSEARCHOPTIONS と入力します。
  11. [修正を記憶]を元の 3 ミスタイプに変更します。
  12. [OK]をクリックします。

    AutoCorrect ファイルにコマンドを手動で入力することもできます。

  13. [管理]タブ > [カスタマイズ]パネル > [エイリアスを編集]ドロップダウン メニュー > [AutoCorrect リストを編集]をクリックします。 検索

    メモ帳で AutoCorrectUserDB.pgp ファイルが開きます。このファイルの形式は、「スペル間違いの単語, *正しいコマンド名」です。

  14. 最初の空白行に CRIRCLE, *CIRCLE と入力します。
  15. [ファイル] > [上書き保存]をクリックして[メモ帳]を閉じます。
  16. コマンド プロンプトに対して REINIT と入力します。
  17. PGP ファイルを選択し、[OK]をクリックします。
  18. コマンド プロンプトに対して CRIRCLE と入力します。

    間違いが修正され、CIRCLE[円]コマンドが開始されます。

まとめ

これらのコマンド ライン機能をカスタマイズすると、効率を次のレベルに向上させることができます。独自のコマンド エイリアスおよびショートカット キーを定義すると、長期的に時間を節約することができます。

関連コマンドとシステム変数

コマンドのエイリアス、ショートカット キー、および AutoCorrect に関して頻繁に使用されるコマンドとシステム変数を次に示します。

コマンド 説 明
ALIASEDIT AutoCAD コマンドのエイリアスを作成、修正、削除します。
APPLOAD[アプリケーションロード] アプリケーションをロード、ロード解除したり、起動時にロードするアプリケーションを定義します。
CUI[ユーザ インタフェースをカスタマイズ] 製品のカスタマイズされたユーザ インタフェース要素を管理します。
REINIT[再初期化] ディジタイザ、ディジタイザ入出力ポート、プログラム パラメータ ファイルを再初期化します。
システム変数 説 明 既定値 保存場所
RE-INIT ディジタイザ、ディジタイザ ポート、および acad.pgp ファイルを再初期化します。(ビットコード) 0 保存されません