コマンドのエイリアスおよびシートカット キーを使用すると、作図領域と AutoCAD ユーザ インタフェース(UI)の間でマウス カーソルを移動せずにコマンドを開始することができます。コマンドのエイリアスおよびショートカット キーを使用することで、完全なコマンド名よりも覚えやすくなります。また、独自のコマンドのエイリアスおよびショートカット キーを作成すると、より効率的に作業できるようになります。
製品には、あらかじめ定義されているコマンドのエイリアスがいくつかあります。既に、意識せずに使用しているかもしれません。少し試してみましょう。
CIRCLE[円]コマンドが開始されます。
ERASE[削除]コマンドが開始されます。
LAYER[画層管理]コマンドが開始され、[画層プロパティ管理]パレットが表示されます。
あらかじめ定義されているショートカット キーを使用することもできます。
このショートカット キーを押すたびに、グリッドのオン/オフが切り替わります。
このショートカット キーを押すたびに、[クイック計算]パレットの表示/非表示が切り替わります。
このショートカット キーを押すたびに、フル スクリーン表示のオン/オフが切り替わります。フル スクリーン表示でも、クイック アクセス ツールバー、コマンド ウィンドウ、ステータス バーは非表示になりません。
acad.pgp ファイル(AutoCAD LT の場合は acadlt.pgp ファイル)を編集して、コマンドのエイリアスを再定義したり追加したりすることができます。この例では、既存のエイリアス対して独自のエイリアスが優先的に使用されるようにして、新しいエイリアスを追加します。
PGP ファイルの書式について少し説明します。
<Alias>,*<Full command name
A, *ARC
ファイル内のこの行は、A を ARC[円弧]コマンドのコマンド エイリアスとして定義しています。
既存のコマンドのエイリアスを再定義する場合でも、エイリアスの定義は必ずファイルの最後にある[User Defined Command Aliases]セクションに追加してください。PGP ファイル内の最後の定義が、製品にロードされます。
完了すると、次のようになります。
このコマンドは、最新の変更内容を現在の AutoCAD セッションにロードします。
AutoCAD では、Express Tool として[Alias Editor]を使用することができます。このエディタには、コマンドのエイリアスを編集するためのユーザ インタフェースがあります。
[Alias Editor]を開くには、次のいずれかを行います。
[AutoCAD Alias Editor]ダイアログ ボックスが表示され、コマンドのエイリアスを追加、編集、除去することができます。
コマンドのエイリアスは、AutoCAD コマンドの開始にのみ使用できます。コマンドのオプションや値を渡すことはできません。コマンドにオプションや値を渡すには、簡単な AutoLISP プログラムが最適です。次の例では、AutoLISP を使用して省略名を持つ 3 つのコマンドを定義します。
AutoLISP プログラミングを使用するには、作成、ロード、テストの 3 つの基本的な手順があります。
(defun c:ZP ()(command "._zoom" "_p"))
(defun c:ZE ()(command "._zoom" "_e"))
(defun c:C2 ()(command "._-layer" "_m" "Obj" "" "._circle" "_2p"))これによって、Obj という名前の画層を作成し、その新しい画層を現在に設定し、CIRCLE[円]コマンドを開始して 2 点オプションを使用するエイリアスが定義されます。
AutoLISP ファイルは、使用する前にロードする必要があります。現在の AutoCAD セッションのためにファイルを手動でロードしたり、AutoCAD を起動するたびに LSP ファイルが自動的にロードされるように設定したりできます。
コマンド プロンプトに対して APPLOAD と入力することもできます。
[コマンド ヒストリ]ウィンドウに、ファイルがロードされたことを示すメッセージが表示されます。
AutoCAD を起動するたびに LSP ファイルを自動的にロードするには、次の手順に従います。
コマンド プロンプトに対して APPLOAD と入力することもできます。
次回 AutoCAD を再起動したり図面を開iいたときに、LSP ファイルが自動的にロードされ、LSP ファイルで定義されているコマンドが使用できるようになります。
ZOOM[ズーム]コマンドの[直前(P)]オプションが実行されます。
ZOOM[ズーム]コマンドの[オブジェクト範囲(E)]オプションが実行されます。
Obj 画層が作成され、それが現在の画層になり、CIRCLE[円]コマンドの[2 点(2P)]オプションが開始されます。
ショートカット キーは、カスタマイズ(CUIx)ファイルで定義します。この例では、REVCLOUD[雲マーク]コマンドの[矩形状(R)]オプションを実行するためのショートカット キーを定義します。
これにより、定義済みショートカット キーの完全なリストがエディタの右側に表示されます。
新しいショートカット キーを定義するには、コマンドを[コマンド一覧]から[ショートカット キー]ノードにドラッグし、それにキーの組み合わせを割り当てます。
[プロパティ]セクションには、[ショートカット キー]以外の値が事前に入力されています。Ctrl+Shift+R を割り当てます。
結果は次の図のようになります。
REVCLOUD[雲マーク]コマンドの[矩形状(R)]オプションが実行されます。
加えた変更に満足できない場合は、CUIx ファイルを前回保存したときの状態またはプログラムの既定に復元することができます。
特定のコマンドのスペルを頻繁に間違える場合は、AutoCorrect を試してみることをお勧めします。AutoCorrect 機能を有効にすると、コマンド ラインの入力候補リストに、過去のスペルミスに基づいて入力候補が表示されます。頻繁にスペルを間違えるコマンドやシステム変数を AutoCorrect リストに手動で追加することもできます。
これにより、この演習では 1 回の試行で、スペル間違いの単語をコマンドに関連付けることができます。
コマンド ウィンドウに[不明なコマンド]と表示されます。
これにより、スペル間違いの WPIOUT が実際のコマンド WIPEOUT に関連付けられます。
スペル間違いのコマンドが WIPEOUT[ワイプアウト]コマンドとして認識されるようになりました。
オプションを既定に戻しましょう。
AutoCorrect ファイルにコマンドを手動で入力することもできます。
メモ帳で AutoCorrectUserDB.pgp ファイルが開きます。このファイルの形式は、「スペル間違いの単語, *正しいコマンド名」です。
間違いが修正され、CIRCLE[円]コマンドが開始されます。
これらのコマンド ライン機能をカスタマイズすると、効率を次のレベルに向上させることができます。独自のコマンド エイリアスおよびショートカット キーを定義すると、長期的に時間を節約することができます。
コマンドのエイリアス、ショートカット キー、および AutoCorrect に関して頻繁に使用されるコマンドとシステム変数を次に示します。
コマンド | 説 明 |
---|---|
ALIASEDIT (AutoCAD のみ) | AutoCAD コマンドのエイリアスを作成、修正、削除します。 |
APPLOAD[アプリケーションロード] | アプリケーションをロード、ロード解除したり、起動時にロードするアプリケーションを定義します。 |
CUI[ユーザ インタフェースをカスタマイズ] | 製品のカスタマイズされたユーザ インタフェース要素を管理します。 |
REINIT[再初期化] | ディジタイザ、ディジタイザ入出力ポート、プログラム パラメータ ファイルを再初期化します。 |
システム変数 | 説 明 | 既定値 | 保存場所 |
---|---|---|---|
RE-INIT | ディジタイザ、ディジタイザ ポート、および acad.pgp ファイルを再初期化します。(ビットコード) | 0 | 保存されません |