レンダラは、コマンドライン上で Alias Scene Description Language ファイルからレイキャスト イメージ ファイルまたはレイトレース イメージ ファイルを作成します。Alias レンダリング プログラムで作成されるイメージ ファイルを以下に示します。
Windows 版 Alias Renderer は、Alias ファイルをレンダリングするためのコマンドライン ツールです。レンダリングしたファイルから、アニメーションとして再生できるイメージ シーケンスが作成されます。
powercaster と powertracer の機能は、別途購入してシステムにインストールしなければなりません。
上記の 4 つのレンダリング プログラムはすべて同じ引数を使用します。renderer、raytracer、powercaster、powertracer の使用ステートメントを以下に示します。
| <command> [-a#] [-b#] [-B#] [-c <quantized_output_file>] [-C <color_map_filename>] [-d <filename>] [-e#] [-E#] [-f <script>] [-h#] [-H] [-J] [-k] [-K#] [-m <filename>] [-p <filename>] [-P] [-q#] [-Q#] [-r#] [-R#] [-s#] [-S#] [-t#] [-T#] [-w#] [-W#] [-x#] [-y#] [-Y#] [<sdl_filename>] | |
| <command> | renderer、raytracer、powercaster、powertracer のいずれかを示す |
| -a# | アンチエイリアス レベル(aalevel)を整数 # に設定します。aalevel は、ピクセルごとの最大アンチエイリアス レベルです。 |
| -b# | アニメーション シーケンスのフレーム数を浮動小数点数 # に設定します。 |
| -B# | アニメーション シーケンスの拡張子を整数 # に設定します。 |
| -c <quantized_output_file> | 各フレームの後で、量子化したイメージをファイル<quantized_output_file>に出力します。 |
| -C color_map_filename | 各フレームの後で、SGI イメージ フォーマット ファイル<color_map_filename>をカラー マップとして使用し、量子化で参照します。* |
| -d <filename> | <filename>をデプスファイル名として使用します。 |
| -e# | アニメーション シーケンスの終了フレーム番号を浮動小数点数 # に設定します。 |
| -E# | アニメーション シーケンスの拡張子の長さを整数 # に設定する。# は拡張子の前に付ける 0 の数を表します。たとえば、-E 4 と指定すれば、フレーム 1 を示す<file>.0001 としてファイルの拡張子を生成します。 |
| -f <script> | 各フレームの後で、プログラム <script> を起動します。 |
| -h# | ビューポートを変更せずに、レンダリングする部分的なイメージの高さを整数 # に設定します。レンダリングする二次領域は、常にイメージの左下隅から始まります。整数 # はビューポートを中心に、このウィンドウの原点を移動します。 |
| -H | オンライン ヘルプを表示します。 |
| -J | ピクセルごとの表示時間を表わす「timing」という名前のデプス ファイルを作成します。 |
| -k | 一度読み込んだ後、デプス マップをメモリに保存します。** |
| -K# | ディスクのデプス マップの使用を # に切り替えます。0 は OFF を表わし、0 以外の数値は ON を表わします。*** |
| -m <filename> | マット ファイルを作成し、<filename> をファイル名として使用します。 |
| -n# | レンダリングで使用するプロセッサ数を整数 # に設定します。このオプションは、powertracer と powercaster でのみ使用可能です。 |
| -p <filename> | <filename> を pix ファイル名として使用します。 |
| -P | DOF か Quantize がオンではない場合、グローをかけていないイメージを保存します。このオプションでは、グローをかけたイメージとグローをかけていないイメージの両方をディスクに保存できます。グローをかけていないイメージの名前はグローをかけたイメージと同じで、さらに .ng という接尾辞が付きます。 |
| -q# | quiet フラグを # に設定します。# に使用できる値は、0、1、2 |
| -Q# | X 方向とビューポートの解像度を整数 # に設定します。このオプションは、SDL ファイルで指定した解像度を無効にする場合に便利です。たとえば、クイック プレビュー レンダリングで、レンダリングの NTSC と 1/4 NTSC を切り替える場合などです。 |
| -r# | アスペクト比を浮動小数点数 # に設定します。 |
| -R# | Y 方向とビューポートの解像度を整数 # に設定します。このオプションは、SDL ファイルで指定した解像度を無効にする場合に便利です。たとえば、クイック プレビュー レンダリングで、レンダリングの NTSC と 1/4 NTSC を切り替える場合などです。 |
| -s# | アニメーション シーケンスの開始フレーム番号を浮動小数点数 # に設定します。 |
| -S# | アニメーション シーケンスの最初の拡張子を整数 # に設定します。 |
| -t# | aathreshold を整数 # に設定します。aathreshold はアンチエイリアスの閾値で、カラーの違いにもとづいてピクセルのスーパーサンプリングを行います。この値を大きくすると、スーパーサンプリングはカラーの細かい違いに左右されます。 |
| -T# | タイルの Y ピクセルの数を整数 # に設定します。タイルとは、一緒にレンダリングされるピクセルの並びのことです。このオプションを使用する主な理由は、Y の値を減らしてメモリの使用量を削減することです。これにより、レンダリングのためにイメージを分割する際のタイル サイズを制御でき、最終的なイメージやその解像度には影響を与えません。 |
| -v | 通常、ビューポート領域以外をレンダリングします。 |
| -V | イメージを隠線レンダリングします。 |
| -w# | ビューポートを変更せずに、レンダリングする部分的なイメージの幅を整数 # に設定します。レンダリングする二次領域は、常にイメージの左下隅から始まります。整数 # はビューポートを中心に、このウィンドウの原点を移動します。 |
| -W# | バックグラウンドの ylow を # に設定します。ylow と yhigh は、指定されたピクセル単位でバックグラウンドを表示するレンダリング領域を定義します。 |
| -x# | xleft を整数 # に設定します。xleft は、レンダリングされる部分的なイメージの左隅です。 |
| -y# | ylow を整数 # に設定します。ylow は、レンダリングされる部分的なイメージの左隅です。 |
| -Y# | バックグラウンドの yhigh を # に設定します。ylow と yhigh は、指定されたピクセル単位でバックグラウンドを表示するレンダリング領域を定義します。 |
| sdl_filename | SDL ファイル名を特定のファイル名に設定します。ファイル名が指定されていない場合は、標準入力が使用されます。 |
* 必要に応じて、レンダラはレンダリング後にイメージを量子化します。オプション -C では、すでに作成したカラー テーブルをイメージの量子化に使用できます。ただし、aquant の方がイメージをより速く量子化できます。
** 一般的には、影を落とすスポットライトに depth_input ファイルを指定すれば、そのファイルはすべてのフレームで読み込まれます。-k を指定すれば、レンダラは最初のフレームのレンダリング中に一度だけシャドウ マップを読み込みます。
*** SDL ファイルを編集して影を落とすスポット ライトに depth_input コマンドか depth_output コマンドを追加するよりも、このコマンド ライン オプションが使用されます。-K 1 のようにゼロ以外の値に設定すれば、レンダラは、カレント ディレクトリのスポットライトの名前でデプス アウトプット ファイルを自動的に作成します。デプス アウトプット ファイルがすでにある場合は、そのファイルが使用されます。
上のオプションを使用した場合、SDL ファイルの同等の SDL キーワード設定はすべて無効になります。
次に、レンダリング ユーティリティの使い方について、いくつか例をあげて説明します。
コマンドの
renderer testframe.sdlは、testframe.sdl という名前の SDL ファイルをレンダリングします。SDL ファイル内に設定されているすべてのパラメータとキーワードが使用されます。設定されていないキーワードがあってその値が必要な場合は、そのパラメータの既定値が使用されます。
コマンドの
renderer -a0 -s1 -b2 -e20 -p testpix -q0 -h512 -w512 -x0 -y0 scene.sdlは、scene.sdl という名前の SDL ファイルをレンダリングします。レンダリングするシーンはアニメーションです。
aalevelmax を 0 に設定すると、アンチエイリアシングは OFF になります。SDL ファイルで指定されたアニメーションは、-s1 -b2 -e20 を指定すると無効になり、フレーム ステップ 2 でアニメーションの最初から 20 フレームがレンダリングされます。通常のメッセージが出力され、テスト イメージ サイズは 512×512 平方ピクセルになります。アニメーション シーケンスが、testpix という名前で始まる一連のファイルに出力されます。
コマンドの
renderer -s 1.5 -e 3.5 -b .25 -S 1 -B 2 -E 3 sdl/fooにより、以下が作成されます。
foo.001 (a snap shot of the animation at time 1.5) foo.003 (a snap shot of the animation at time 1.75) foo.005 (a snap shot of the animation at time 2.0) ... foo.019 (a snap shot of the animation at time 3.25) foo.021 (a snap shot of the animation at time 3.5)512x512 イメージの場合、コマンド
renderer -h 255 -w 255 -x 255 -y 255 sdl/fooにより、元のイメージの右上にある 255 x 255 ピクセルの領域が作成されます。
保存したジオメトリは、モーション ブラーと互換性がありません。
保存したジオメトリを使用するレンダリング プロセスを停止して起動した場合、保存したジオメトリを維持することはできません。
保存したジオメトリはメモリを大量に使用します。使用するには、利用できるスワップ スペースが最低 100 メガバイトなければなりません。
Alias バックグラウンドでは、現在のレンダリングの Y ピクセル スパンの 上下間で補間が行われます。サブ領域のみをレンダリングする場合は、バックグラウンドが Y で多数繰り返されるので、意図したとおりにレンダリングされない可能性があります。したがって、-W オプションと -Y オプションを使用して、Alias がバックグラウンド配置を計算できる最終的な解像度を指定します。
SDLファイルはバイナリフォーマットであるため、プラットフォーム間での互換性があります。SDL ファイルを編集するには、最初にスタンドアロン ユーティリティ bsdl を使用してテキストに変換する必要があります。TIFF ファイル フォーマットも、プラット フォーム間での互換性をもつイメージ表示フォーマットです。これ以外のすべてのイメージ フォーマットは、自動的に SGI イメージ フォーマットで読み取られて保存されます。
テクスチャ マッッピング ファイルは、レンダリングする前に圧縮解凍してはなりません。