材料の再定義

HINファイルを使用して解析の材料特性を上書きします。

多くの解析では、感度解析を実行するために材料定義をわずかに変更することが必要な場合があります。感度によって、希望の解析に対する静的(材料特性)または動的(引数)データのいずれかが強制的に修正されます。動的材料データは、各解析で HELIUSPFA コマンドにより既に修正されている可能性があります。静的な材料データを修正するには、通常、異なる材料パラメータを使用して目的の材料を再作成し、材料データベースに保存する必要があります。大規模な感度解析では、この作業は明らかに非常に煩雑なものとなります。各解析で新しい材料をデータベースに保存する必要があり、望ましくありません。

このような状況に対処するため、HIN ファイルでは、以下のキーワードを使用して材料データベース内の特定の材料に対する特定の材料パラメータを上書きすることができます。

一方向材料の場合:

*MATERIAL, NAME=material_name, FVF=NEWFVF, MOISTURE=AMBIENT/DRY/WET
pS11, nS11, pS22, nS22, S12, S23
*FIBER
E11, E22, v12, v23, G12, CTE11, CTE22
*MATRIX
E11, E22, v12, v23, G12, CTE11, CTE22

織物材料の場合:

*MATERIAL, NAME=material_name, FVF=NEWFVF, MOISTURE=AMBIENT/DRY/WET
pS11K, pS11U, nS11K, nS11U, S12K, S12U
*FIBER
E11, E22, v12, v23, G12, CTE11, CTE22
*MATRIX
E11, E22, v12, v23, G12, CTE11, CTE22

*MATERIAL キーワードには、構成材料特性を変更するためのいくつかのオプションのパラメータと複数のサブラインがあります。FVF パラメータは、単層の繊維体積分率を上書きするために使用されます。このパラメータを省略すると、材料ファイルに含まれている繊維体積分率が使用されます。MOISTURE パラメータは、材料の含水率、および材料ファイルから読み込まれた材料特性セットを変更するために使用されます。このパラメータを省略すると、AMBIENT の既定の値が使用されます。織物材料の場合、単層の極限(U)と Knee (K)の両方の強度を指定できます。*MATERIAL キーワードの下の行には単層の強度が含まれています。行を省略すると、材料データベースから読み込まれた値が使用されます。

サブキーワード *FIBER および *MATRIX は、指定された材料の繊維および母材の特性をオーバーライドするために使用されます。対応するデータ行では、各構成の個別の特性を指定できます。横等方性は、弾性定数に対して常に強制されます。単層特性は、材料特性が変更された後で生成されます。

材料データベースの材料 IM7_8552 (たとえば ID = 9034)を使用する解析を考えます。ANSYS 材料定義は次のように表示されます。

HELIUSPFA,9034,7,2,1,1,0,0,0,0,0,0,0,0.1,0.0001,0,0,0

次に、材料の繊維体積分率を 60% から 58% に、縦方向引張強度を 2500 MPa から 2000 MPa に、繊維の縦方向係数を 245 GPa から 300 GPa、母材のポアソン比を 0.28 から 0.35 に変更した場合の結果について検討してみましょう。HIN ファイル内の対応する *MATERIAL カードは次のように表示されます。

*MATERIAL, NAME=IM7_8552, FVF=0.58
2000.e6, , , , ,
*FIBER
300.e9, , , , , ,
*MATRIX
, , 0.35, 0.35, , ,

上の場合、MOISTURE パラメータは指定されず、したがって材料ファイルの Ambient の既定の含水率が使用されます。材料パラメータを空白として指定した場合、材料ファイルの値が既定で使用されます。

構成の特性も複合材料の強度も修正されなかった場合は、データ行を仕様から削除することができます。たとえば、繊維体積分率以外のすべての繊維特性を変更しない場合は、*MATERIAL カードは次のように表示されます。

*MATERIAL, NAME=IM7_8552, FVF=0.58
2000.e6, , , , ,
*MATRIX
, , 0.35, 0.35, , ,
注: *MAP キーワードを使用して別の材料にマッピングされている材料の材料特性を再定義するには、ORIGINAL NAME= パラメータを使用する必要があります。例:
*MAP, FROM=NAME, TO=NAME
MATERIAL_B, MATERIAL_A
**
*MATERIAL, ORIGINAL NAME=MATERIAL_B
*MATRIX
, , 0.35, 0.35, , ,

そうでなければ、使用されている基本材料(MATERIAL_A)のみ特性が修正されます。*MATERIAL キーワードを使用して基本材料の材料特性を変更すると、その材料にマッピングされたすべての材料が影響を受けます。

注: この機能は、織物材料ではサポートされていません。