既定では、Inventor 9 以降に移行された R9 以前のプロジェクトはすべて、スタイル ライブラリを使用しないように設定されています。このため、ユーザはスタイル ライブラリを考慮しなくても、アクティブなプロジェクトを継続して進めることができます。新規スタイル機能の多くは、ライブラリを使用しなくても利用できます。
注: 新規のプロジェクトでスタイル ライブラリを使用することは簡単ですが、プロジェクトの途中でスタイル ライブラリに移行するには、注意が必要です。
既存のプロジェクトに対してスタイル ライブラリおよびテンプレート セットを作成するには、次に示す一般的な手順を使用します。
手順 1 - 既存のスタイルを収集する
この手順では、既存(R9 以前)のスタイルをすべて、一連の作業中のドキュメント(作業ドキュメント)に取り込みます。さらに、アクティブなプロジェクトに干渉しないように、移行中に使用する「ダミー プロジェクト」を作成します。
移行プロセスには、次のリソースが必要です。
- パーツ作業ドキュメント
- 図面作業ドキュメント
- ダミー プロジェクト ファイル
- 一時スタイル ライブラリ(オプション、次のセクションを参照)
方法 1 - 既存のドキュメントから作業ドキュメントを作成する
注: この方法は、R9 以前のほとんどまたはすべてのスタイルが、明確に定義されたテンプレートに存在する場合に使用します。
作業ドキュメントとして、テンプレート(または他のドキュメント)のコピーを作成します。
複数のドキュメントからスタイルを移行する場合は、種類の似たドキュメントのスタイルを 1 つの作業ドキュメントに統合することを検討します。たとえば、プラスチックのパーツ、鋼鉄のパーツ、およびアルミニウムのパーツのテンプレートがある場合、これらのテンプレートから 1 つのパーツ作業ドキュメントにすべてのスタイルをコピーします。
ヒント: 統合には、一時スタイル ライブラリを使用するのが最も効率的な方法ですが、スタイルおよび規格エディタでのスタイルのインポート/エクスポートでも行うことができます。
方法 2 - データ収集ドキュメント
注: この方法は、対象となる R9 以前のほとんどまたはすべてのスタイルが、プロジェクトのファイル全体に散在している場合に使用します。
- スタイル ライブラリ マネージャを使用して、一時的なターゲット ライブラリとして使用するスタイル ライブラリを作成します。
- ダミーのプロジェクトを、一時ライブラリを使用するように設定し、このライブラリから一連の作業ドキュメントにスタイルをコピーします。
ヒント:
- 取り込んでいるプロジェクトで使用されているテンプレートから作業ドキュメントを作成すると、処理を高速化できます。
- これらのテンプレートを、取り込み処理に含めます。テンプレート ファイルは、他のファイルよりも先に処理されるため、ほとんどの場合、最終的なライブラリにある最適なバージョンのスタイルが、最初にテンプレートに取り込まれます。
注: ドキュメントのグループから特定のライブラリにスタイルを取り込む場合、取り込み規則では最初のバージョンが優先されます。同じ名前のスタイルがライブラリに存在しない場合は、スタイルがコピーされます。同じ名前のスタイルが存在する場合は、そのスタイルはスキップされて追加されません。
手順 2 - 旧バージョンのスタイルを最適化する
Inventor 9 以降では、設計プロセス全体でのスタイルの使用方法に根本的な変更が加えられました。バージョン 8 以前から移行する場合、スタイル ライブラリの利点を活かすには、多くの場合、スタイルの編集、クリーンアップ、ツイーク、およびその他の最適化が必要になります。最適化の考慮事項は以下のとおりです。
- 寸法やバルーンなど、既存のオブジェクトの拡張機能
- 図面規格による柔軟性の向上
- オブジェクトの既定値および画層による新しい機能
ヒント: (図面の規格):
- R9 以前の規格の図面関連スタイルは、どの規格でも使用できます。
- 図面のオブジェクトで直接使用するスタイルは、その規格の[利用可能なスタイル]一覧に追加する必要があります。
- 作成したオブジェクトの設定(スタイルおよび画層)は、規格のオブジェクト既定サブスタイルによって決定されます。十分に開発されたオブジェクト既定スタイルでは、オブジェクトの作成時に正しいスタイルを適用するために必要なクリックの回数を減らすことにより、生産性を向上させることができます。
ヒント: (画層):
- 画層は、図面内の R9 以前の線のスタイルを置き換え、設定と AutoCAD との互換性に柔軟性を加えます。
- すべての図面オブジェクトは、画層から基本設定を取得します(色、線幅、線種)。
- 画層は、表示設定のコントロールとオブジェクトのグループ化に役立ちます。
- 一部の画層は、R9 以前の線のスタイルを直接置き換えるために必要になる場合があります。一般的に、これらは図面スケッチに必要です。
- ローカルでドキュメントにキャッシュされた規格に含まれていない画層は、[画層]ドロップダウン リスト([注釈]タブにあります)の一番下に区分されています。規格に含まれていない、図面に固有の画層を作成することができます。
手順 3 - 新しいスタイル ライブラリとテンプレート セットを作成する
- スタイル ライブラリ マネージャを使用して、新しい空のスタイル ライブラリを作成します。
- ダミー プロジェクトのスタイル ライブラリ フォルダを新しいライブラリに設定します。
- 作業ドキュメントをそれぞれ開き、適切なスタイルをすべてライブラリに保存します。
または、一時スタイル ライブラリを新しいライブラリとして使用することもできますが、ライブラリで必要のないすべてのスタイルが削除される点に注意してください。
- テンプレート セットを作成するには、プロジェクトの既存のテンプレートを再使用するか(新しいテンプレート セットとして、テンプレートの新しいコピーを作成することをお勧めします)、作業ドキュメントを使用して必要な任意のテンプレートを作成します。
- 各テンプレートの既定のスタイルを設定します。既定値に必要なスタイルは以下のとおりです。
- パーツまたは溶接: 照明
- アセンブリまたはプレゼンテーション: 照明
- 図面: アクティブな規格
- シート メタル: 特殊 – 各シート メタル スタイルは、材料を使用するように設定する必要があります。つまり、ドキュメントでは複数の材料を使用できます。既定値の材料は、既定値のシート メタル スタイルによって使用される材料です。
- [スタイル消去]コマンドを使用して手動消去を実行し、未使用のスタイルをテンプレートから削除します。
- 必要に応じて、各テンプレートのライブラリから完全なスタイル更新を実行して、スタイルが同期されるようにします。
手順 4 - スタイル ライブラリを設定して配置する
スタイル ライブラリとテンプレート セットの準備ができたら、スタイル ライブラリを使用してプロジェクトを設定し、それを使用するために配置します。
- 設計者が使用するプロジェクト ファイルを作成します。ダミー プロジェクトを修正して最終的なプロジェクトとして保存できます。
- 新しいテンプレートおよびスタイル ライブラリを適切な場所に保存します。
- 新しいプロジェクトの[スタイル ライブラリを使用]オプションを[読み取り-書き込み] (管理者の場合)または[読み取り専用] (一般ユーザの場合)に設定し、プロジェクトのフォルダ パスを設定します。
- グローバルに使用する場合、フォルダ オプションを[既定]に設定し、[アプリケーション オプション]の場所の既定値を新しいテンプレートおよびスタイル ライブラリに設定します。
- プロジェクト固有に使用する場合、プロジェクト フォルダのオプションを、テンプレートおよびスタイル ライブラリの場所に明示的に設定します。
- プロジェクト ドキュメントを最適化するには、使用されていないスタイルのすべてのファイルを削除してから、ライブラリと同期させるドキュメント内でスタイルを更新します。
- 新しいプロジェクト ファイルを設計作業グループに配布します。設計者が新しいプロジェクトをアクティブなプロジェクトとして設定します。