平歯車のバックラッシュ公差を設計する

(歯車セット内の各歯車用に定義された)バックラッシュ タイプ

実際の歯車を製造するには、固有のバックラッシュ公差を使用する必要があります。機械加工条件と作動条件を考慮した上で、公差を指定します。

平歯車およびはすば歯車に関して、適切なバックラッシュ量を得るには、2 通りの代替方法があります。1 つは、ホブを理論的な標準深さより深い空間まで沈め込むことによって歯厚を減らす方法です。もう 1 つは、軸間距離を理論上計算された距離よりも増やす方法です。

バックラッシュの設計時に考慮すべき要因は、次のとおりです。

バックラッシュ量は、ジョブ所要量に対して過多にならないようにする必要があります。量が十分で、加工コストが必要以上に高くないことを確認してください。

ペアの各歯車の歯厚に関しては通例、バックラッシュ公差の半分を考慮します。ただし、例外があります。たとえば、歯数が少ないピニオンに対しては、被駆動歯車の公差をすべて指定します。そうすることにより、ピニオン歯の磨耗を回避できます。

歯車メッシュのタイプ 円形方向 t と法線方向 j n の関係 円形方向 t と中心方向 j r の関係 円形方向 t と角度方向 j の関係
平歯車 j n = j t cos α
はすば歯車 j nn = j tt cos α n cos β

はすば歯車メッシュのバックラッシュ

歯底について言えば、はすば歯車にはバックラッシュが 2 種類あります。歯面 の法線方向にある断面 “n” と、軸に垂直な直交方向にある断面 “t” です。

j nn

歯面 の法線方向にあるバックラッシュ

j nt

歯に垂直な断面において円形方向のバックラッシュ

j tn

歯に垂直な断面において歯面 の法線方向にあるバックラッシュ

j tt

軸に垂直な円形方向にあるバックラッシュ

歯に垂直な平面:

j nn = j nt cos α n

ピッチ サーフェス:

j nt = j tt cos β

軸に垂直な平面

j tn = j tt cos α t

ここで

α

圧力角

α n

法線方向の圧力角 α = α n

α t

横断方向の圧力角

β

ねじれ角

d

ピッチ円直径